1 いざ魔法都市へ
フレデリカが魔法都市と呼ばれるエテルナでの仕事を引き受けたのは、師匠のもとを離れて半年後のことだった。
独り立ちする際に師匠から託された仕事は思いのほか簡単でひと月ほどで終わってしまい、フレデリカは新たな仕事を探していたが、独立したてで名も知られていない魔法使いに回ってくる仕事はなかなかなかった。
そこでお決まり通りギルドに登録して小さな仕事をこなして食いつなぎ、ある程度実績を積むと日雇いではない継続的な仕事も回してもらえるようになった。
魔法都市エテルナは大魔法使いグレアムが作った街と言われている。
山の中腹にある湖の水が街中に巡らされ、汚水は地下を流れて街の外に運び出される。街にはガス燈が整備され、夜も明るいとか。こうした街の設備を維持するには魔力が必要で、その補充のために「魔法使い」が呼ばれたのだ。
とはいえこの仕事も一か月間の臨時採用で、正採用の魔法使いが来るまでの穴埋めだった。それでも魔法都市を直に見られるいい機会で、旅費も先方持ち。
フレデリカはこの仕事を引き受けることにした。
エテルナに着くと、フレデリカは宿に荷物を置いて早速街を散策してみた。
馬車がすれ違ってもなおゆとりのある中央通り、そこから左右に延びる通りもレンガで舗装されている。
王都と帝都をつなぐ街道の街は物流もよく、金さえあればたいていの物は手に入る。ここで商いをする者も多く、高い技術を持った職人が集まることで逸品を求めて客も寄ってくる。街は賑わい、客も住民も羽振りが良さそうだ。
この街の基礎を作ったらしい、魔法使いグレアム。街の広場にはグレアムの銅像が立ち、その台座には彼を称える言葉が連なっている。街の人はグレアムを尊敬し、魔法都市と呼ばれることに誇りを持っているようだ。
日が落ちれば自動的に街灯が灯った。日が暮れた後も商売を続ける店は多く、遅れて宿に着いた者もこの灯りを見ればほっとするだろう。
夕食に入った食堂は豊富な食材をふんだんに使っていて、味もよかった。
宿も値段の割に清潔で居心地がいい。ここなら一か月間快適に過ごせそうだ。




