閑話:家族への手紙
### 7-14.5 閑話:家族への手紙
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お父様、お母様、お姉様、お兄様へ
王立魔法学園高等部に入学してから、もうすぐひと月になります。
学園での生活は、予想以上に充実しています。授業は難しいですが、魔法理論がとても興味深く、毎日新しい発見があります。
まず、良いお知らせから。
主人公のリリアーナ・ローゼンベルクさんと無事に接触できました。お姉様の助言通り、友好的な関係を築けています。彼女はとても純粋で優しい人で、一緒に魔法理論の話をするのが楽しいです。これなら、悪役令嬢フラグは回避できそうです。
セシリアとエドワードとも再会できました。二人とも元気で、約束通り、魔動機関研究会に一緒に入りました。研究会の中に『プログラマブル魔法陣研究グループ』を作り、三人で活動しています。幼馴染と一緒に研究できるのは、本当に心強いです。
ルームメイトのクララ・フォン・ヴィンターフェルトという友人もできました。伯爵令嬢で、とても明るく社交的な子です。少しおっちょこちょいですが、良い子です。寮での生活も楽しく過ごせています。
研究の方も順調です。高等部二年生のセオドア・グレイヴェンシュタイン先輩と共同研究をしています。プログラマブル魔法陣の理論開発で、来月の研究発表会に論文を提出する予定です。セシリアとエドワードも、応用研究で発表します。
魔動機関研究会では、魔導時計の改良に成功しました。精度が二倍になり、魔力消費も三割削減できました。研究会長のトビアス・シュミット先輩も喜んでくれています。
商会御曹司のマルコ・ロッシーニさんから、魔動機械の商品化の提案をいただきました。アグスさんの魔動バイクも含めて、販売ネットワークで広めたいとのことです。次の長期休暇には、マルコさんが直接領地に来てくださって、アグスさんと会っていただく予定です。その時に正式な契約を結ぶ見込みですので、アグスさんによろしくお伝えください。
それから、三週間後に、お茶会イベントがあります。ゲームの第一回イベントです。セシリアとエドワードが協力してくれる予定なので、うまく回避できると思います。
少し不安なこともあります。
最近、誰かに見られているような気がすることがあります。気のせいかもしれませんが、セシリアも同じ感覚を持っているようです。学園は警備が厳重なので大丈夫だと思いますが、念のためお伝えしておきます。
でも——みんな、とても良い人たちです。
前世では、友達なんてほとんどいませんでした。仕事に追われて、人と深く関わる余裕もありませんでした。
でもこの世界では、家族がいて、友達がいて、研究仲間がいます。
一緒に笑い合ったり、研究したり、悩みを相談したり——そんな日々が、とても楽しいです。
前世とは違う、温かい毎日です。
学園生活、頑張ります。
また近況をお知らせします。
ミユキ・フォン・ヴェルナー
◇ ◇ ◇
数日後——。
領地から、手紙が届いた。
◇ ◇ ◇
愛しいミユキへ
手紙をありがとう。学園での様子が分かって、母は安心しました。
リリアーナさんと仲良くなれたのね。計画通りに進んでいるみたいで何よりです。お姉様の助言が役に立ったようで良かったわ。彼女は良い子のようだから、大切にしてあげてね。
セシリアさんとエドワードさんも一緒なら心強いわね。幼馴染が近くにいるというのは、何よりの安心材料です。三人で助け合って、学園生活を楽しんでください。
クララさんという新しいお友達もできたのね。明るい子は良い影響を与えてくれます。寮での生活、楽しんでいるようで嬉しいわ。
研究も順調とのこと、素晴らしいです。でも、無理はしないでね。体を壊してしまっては元も子もありません。しっかり食事を取って、睡眠時間も確保してくださいね。
マルコ・ロッシーニさんが長期休暇に領地に来てくださるとのこと、お父様とアグスさんにも伝えておきます。ちゃんと準備しておかないとね。
お茶会イベントのこと、気をつけてね。セシリアさんとエドワードさんが協力してくれるなら安心ですが、万が一のことがあったら、すぐにお兄様を呼んでください。
誰かに見られているような感覚があるとのこと——少し心配です。学園の警備は厳重だとは思いますが、油断しないでください。何か不審なことがあれば、すぐに教師や警備に相談してくださいね。
前世とは違う温かい日々——その言葉を読んで、母も涙が出そうになりました。
あなたが笑顔で過ごせているなら、それが何よりです。
家族は、いつでもあなたを見守っています。
何かあったら、遠慮なく相談してくださいね。
体に気をつけて、楽しい学園生活を。
愛を込めて 母より
◇ ◇ ◇
追伸
妹よ。
学園で有名になっているらしいな。「天才魔法陣デバッガー」とは大層な二つ名だ。こちらの騎士団でも噂が広まっている。流石は我が妹、と鼻が高い。
幼馴染たちと協力しているなら安心だ。セシリア嬢もエドワード殿も、信頼できる人物だからな。
お茶会イベント、回避策を忘れるな。何かあったらすぐに俺を呼べ。騎士団の訓練を抜け出してでも駆けつける。
誰かに見られている感覚——気になるな。俺も学園にいるから、時々様子を見に行こう。不審者がいたら、容赦なく捕まえる。
研究は良いが、無理はするな。前世の二の舞にならないように。
元気でいろ。
兄より
◇ ◇ ◇
追伸の追伸
ミユキ、元気そうで何よりよ!
社交界でも、学園での噂が広まっているわ。「辺境の天才令嬢」「魔法陣の魔女」なんて呼ばれてるみたい。『目立たない』計画は完全に失敗ね(笑)
でも心配しないで。悪い噂じゃないの。むしろ評判いいわよ。「優しくて賢い令嬢」「平民とも分け隔てなく接する善良な人」って。悪役令嬢のイメージとは真逆ね。
リリアーナさんとも仲良くなれたようで安心したわ。友好関係を保てば、破滅エンドは絶対に回避できる。その調子で頑張って。
セオドア様との共同研究——少し心配だけど、大丈夫よね? 研究仲間として、ね? 恋愛フラグにはならないように気をつけてね(笑)
マルコ様の提案、面白そうね。ロッシーニ商会は信頼できる商会だから、良い話だと思うわ。
誰かに見られている感覚——私も気をつけるように言っておくわ。社交界で情報を集めてみる。何か分かったらすぐに知らせるわね。
クララさん、社交界でも知ってるわよ。明るくて可愛い子よね。良い友達ができて良かったわ。
体に気をつけて、楽しい学園生活を送ってね。
また手紙ちょうだい。待ってるわ。
姉より
**あとがき**
ちょっと別作品の公開で忙しくしてましたんで本日は簡単に書簡編です。
明日からはまた通常ペースに戻れると思います。
ミユキはこの世界の通信事情の改革はしないのかなあなんておもいつつw




