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銀河機動旋風~真紅の緋音~  作者: 恥骨又造Mark.2
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24/24

善戦

「吹き飛ばすまでにいかにしても、一部破壊はできた。ダメージもあるようだな。

それでも……」

「グッ。こ、小癪な真似を……。痛みが身体を駆け巡る。

リスクを排除します。はぁああ」


依然、機械人間への有効打だとして波動弾は一級品だった。

しかし、致命傷には至らない。


そして、伯爵は驚く手法で対抗策を講じた

体にダメージが行き渡る前に自ら腕を捥ぎ取った。


「うげッ! 何をするんだ。機械人間が自暴自棄になったか?」

「ノーノーです。この身体になっても貴女の武器はやっかいです。

ロジカルな思考によって、元を絶ったまでです。ニンゲンのように一時な感情で間違いを起こさない。

そして、なければもう一度、生成すればいいんです」

 

伯爵はシニカルな笑みを見せて余裕を出している。

再びエネルギーを放出し、残骸と化した監視ロボットをさらに取り込もうとした。

そんな伯爵の言葉に聞く耳を持たず、緋音は攻撃に転じた。


「これでは息つく間がありません。ですが、迂闊に近付き過ぎです。

今度は貴女が報いを受ける番です」


「何を言って……! ま、まずい」


宙を舞い一刀両断する態勢で緋音は無防備だった。

後方から襲いかかってくる物体の気配を察知できてはいる。


一種のゾーンに入っている彼女は目視している動きが若干、スローに捉えることができる。

剣によって受け流し、後方からの攻撃に直撃を避けられた。


伯爵の切断された腕からの強襲は失敗に終わったようにみえた。


「なんと。あの態勢で私の隠し玉を避けるとは。しかし、その代償はありましたね?」

「グっ。つくづく嫌な野郎だ。流石に無傷とはいかないわね……」


宙を舞っている状態にて被弾したことで緋音は着地時に足を挫いてしまった。

こうなってしまっては戦況が大きく変わってしまう。


翼を捥がれた鳥のようだった。

彼女の持ち味である旋風を巻き超すほどのスピードを失った。


「いやはや。名残惜しい。ここでチェックメイトにしましょう。

陛下もお喜びになられます。きっと、継承者としての力が発現でもしてきたのでしょう」


「少し前のあたしだったら、諦めていたかもね。ここまできたなら、徹底的に抗う。

たとえ、みっともなくても……」


勝ち誇る伯爵は緋音へと近づき二度目の勝利を確信した。


――その時だった。


「緋音ッ! 伏せろッ!!」


どこからともなく聞き覚えがある声が響いたと同時に、赤い閃光が伯爵の右肩を貫いた。

威力は凄まじく巨体である伯爵を容赦なく貫通している。

一瞬にして鋼鉄の破片が飛び散った。


さらに、遅れてもう一人増援がやってきた。


「アン様ッーー!! ご無事でしょうか! こら、バミューダ。

アン様に当たってしまう危険性も考えんか!」

「それは申し訳ねェ、参謀。ただ、タイミングはここしかなった。

だが、緋音ならきっと、大丈夫だってその……信じてた」


絶体絶命の状況下で緋音を助けるべくバミューダと参謀が駆けつけた。

バミューダによって危機を免れた。


「助けに来てやったぜ、姫様……。さぁ、やるぜっ!」

「来るのが少しばかり遅いんじゃないの?」


少し照れた容姿でライフルを肩で担ぎつつ右指で帽子をクイと上げて、

バミューダは緋音へと手を差し伸べた。


「ありがとうバミューダに参謀☆ これで役者は揃った! 

さぁ、第3ラウンド。ケリをつけるぞ、伯爵!」

「グフフ。よいでしょう。因縁を終わらせましょう」


バミューダは到着した瞬間に緋音の状態を把握している。

本来ならば、バミューダは遠距離による狙撃で相手を一撃で屠る戦闘スタイルだが、

小宇宙銃剣をブレード形態へと変形させて近距戦に打って出た。


「参謀! 緋音の足の応急措置を頼んだ」

「うぬ、任された! 少し離れますぞ。アン様?」


緋音は参謀の方を借りて少し後方へと下がった。


「まずはお座り下さい。包帯で足を固定します」

「うん、ありがとう……!」


思いのほか慣れた手つきで参謀は、緋音の負傷している足を巧みに包帯で固定させた。


「終わりました、アン様」

「ありがとう参謀……。うん? どうしたの」


応急手当てを終えたはずなのに参謀は何か言いたげな表情だった。

その頃、バミューダも過去の因縁について伯爵と舌を交えていた。


「ようやく、おふくろの敵を討てる機会がやってきたぜ。

貴様のことだから、覚えてはいないだろうがな?」


「それは心外ですよ、バミューダ。お母様のことはよく覚えております。

息子の命を懇願する様は無様ったら。この手で仕留めたことは覚えております。

まだ幼かった貴男がいてくれたお陰で大分有利に戦いを進められました。

その傷はお似合いですよ?」

 

ニンゲンへの興味が極端なため伯爵はとうにバミューダの母、ベティのことを

忘れていると踏んでいたバミューダ。


だが、実際には違っていた。

素っ気ない素振りを見せるも伯爵は想像よりも執念深い。


バミューダは目に刻まれた傷と心の奥で深く呪縛のように囚われていた。

一瞬にして脳裏で悪夢が蘇った。


「ハァハァ……。まさか、覚えていたとはな。ある意味、報われたぜ。

これで思う存分、やれる。叩きのめしがいがある」

「これだから、ニンゲンは面白い。時に恐怖心は冷静さをもたらします。

今回は感情的ですね、バミューダ。親子揃って私があの世へと、誘いましょう」


バミューダは吹っ切れた様子で果敢に伯爵へと切りかかった。


「バミューダが動き出した。参謀、あたしも行かなくちゃ。何かあったの?」

「はぁッ! い、いえ。こんな状況にも関わらず、思い耽っておりました。

年は取りたくありません……。面目ありません」

 

――一万二千前、赤子だった緋音に触れて以来、参謀は初めて彼女に触れた。

成長し逞しくもあり、可憐な姿に思いはせている。


「もう今、辛気くさいのはなしだよ。参謀。

もう“お母ちゃん”もあたしのことは心配していないし信じているさ。

だから、終わらせてくるよ! 後方で支援を頼んだよ!」

「承知しました、アン様。ワシも覚悟を決める。レフィーナ様、どうかご加護を……」


応急措置を終えた緋音はバミューダと合流した。


「すまないバミューダ。待たせたッ!」

「お前って奴はいつも俺を待たせやがる。まぁいい。やるぜっ?」


緋音は笑みを浮かべつつ颯爽と戦いへ加わった。

彼らは一切会話することなく阿吽の呼吸によって、伯爵を翻弄し着実にダメージを与えていた。


「こ、小癪な……」


「伯爵! お前は半永久的に不老不死の体を手に入れた。

それは、生命を無下にしてきた俺達ヒトの犠牲によってなりたっている。

俺はあの日から鍛練を積み必死に生きてきた。おふくろの敵を討つ……!」


心身共に疲弊しているはずだが、バミューダの動きや力はピークに達している。

彼は限界突破し新たな次元の強さへと進化していた。

母の死を乗り越え、諦めず力を付けてきた人間が成せる業だった。


「緋音、行くぜッ! 合わせろ波動弾」

「うん。波動弾ッ! いっけー!」


二人の十字砲火による波動弾が炸裂した。

伯爵の全身にダメージが伝わっていく。

機械でできた肉体も崩壊していく。


「勝負あったか……。ただ、コイツはこれで終わらせていいたまじゃない。

汚れ仕事は俺だけでいい。緋音はここで」


「ば、バミューダ……」


バミューダは伯爵との因縁に終止符を打つべく伯爵の元まで移動した。

今の彼は私利私欲のためではなく、

緋音の想いやこれまで散って逝ったレジスタンスの信念が肩に乗っている。


「最後だ伯爵。せめて、一思いにあの世へと送ってやる」


「グシュ――……。

お、おまラ、ニンゲンごときにこのワタシガ! グワッ!」


断末魔にも似た雄叫びを伯爵が上げた。

その瞬間、バミューダは大きく後方へと吹き飛ばされた。


「ば、バミューダ大丈夫か?」

「あぁ、意識は保てている。伯爵野郎の悪あがきだ」


あと一歩で王手のところを、理不尽なルールによってバミューダは振り出しに戻った。

それでも、彼らの見事な攻撃によって最終手段を講じるしかないほど、伯爵を追い詰めた。


――正真正銘、ファイナル・バトルが始まるのだった。

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