エピソード ネコさんは、世界を救う⁉
翌朝ミズキは寝ぼけ眼でリビングに入って来た。
「あっお姉ちゃんおはよう」
「おはよう・・・」
「どうしたのそんな眠い顔して!」
「・・そう?ちょっと夜更かしして、今度の仕事の準備してたからかな?」
「お姉ちゃんまだ就職まで時間があるからそんなにムリしないでもいいじゃない?」
「ついつい張り切っただけだから安心して!」
『妹のユウキです。姉は昔からのめり込むと時間を忘れて物事に取り組んでいました。確か中学の頃だったと思うけど、文化祭か何かで学校に一週間泊まり込みで作業をしてました。まぁその時も学校は全く気づいてなくてうちの親が学校に「姉が家に帰ってこない」って連絡して初めてわかった事なんだけど。なんでも屋上で作業してたみたいです』
「じゃあお姉ちゃん後よろしく」
「ユウキちょっと待って!猫はどうすんの」
「あぁ、大丈夫!多分午前中は何しても起きてこないと思うよ」
「そうなの?」
『姉のミズキです。ユウキはあんなこと言って仕事に出かけて行ったけど・・。どう思います!猫って気分屋でいつの間にか後ろに座って、毛繕いしてわたしを襲う準備を平気でする奴らですよね。そんな猫が午前中大人しくしているとはとても思えないんです』
ミズキはユウキを見送るとそっと玄関を開けた。もしもジョン子が玄関にいたらパニックになってしまいそうだからだ。
「いないよね?あぁ〜良かった!」
ミズキはジョン子が居ないと分かると安心してキッチンで出来合いのインスタントコーヒーをいれトーストと目玉焼きをフライパンで焼いて落ち着いて朝ごはんを食べた。その後ユウキの食器も合わせて片付けた後、家を出て隣町まで車を飛ばした。目的は地元の倍の書籍があると言われている図書館に行くことだ。
「昨日、書店では収穫ゼロだったから図書館なら絶版になった本もあるでしょ!」
『姉のミズキです。図書館に行った目的は二つ。一つは猫を遠ざける方法。もう一つは座敷童子について!だったんだけどどちらも全くないんです。ここでも猫については、猫に愛されるためには!に代表される猫の館至上主義的な本。あと座敷童子に至っては全くないんです。あぁわたしはこの世界から拒絶されているんですか?』
ミズキはガックリ肩を落として図書館を後にした。
図書館を後にしたミズキは、ファストフードのドライブスルーに並んでいた。
「なんか車の中で生活した方が安心できるかも・・・」
ミズキは一人ぶつぶつ言いながら順番待ちをしていた。
「ハンバーガーニつと、ナゲットニつ。あとコーラ一つ、大きサイズで」
ミズキは支払いを終えるとコーラを飲みながら車を家へと向かわせていた。
「こんな時は、刺激のあるコーラに限るな!『ゲフッ』。まぁゲップはご愛嬌よ!それにしてもどうしよう。どっちゃみっちゃこのままじゃ私の居場所がなくなってしまうわ。唯一の救いは我が家に座敷童子が住み着いたって事ぐらいかな。今夜、出てくれたら何か願いを伝えようっと」