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ひとりごと部屋  作者: 白井夢子


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思い込み


時に人は――

思い込まなければいけない時があるものです。


そう。

今の私のように。


こんな、「今日めっちゃ花粉日じゃない?」っていう日は。

時間に余裕を持って家を出て、「しっかりマスクして」「歩いて」駅に向かいたいものです。


でもね…

早起きだけど、用意始めるのが遅い私は、

たいがい焦りながら駅に向かうのです。


今日なんて、小走りにならなきゃいけないくらいに時間が迫ってて。

マスクなんて、してられないんですよ。


競歩大会のように歩く日は、密かにはあはあ息が切れる日ですからね。

マスクしてたら酸欠で倒れちゃう。


ここで大事なのが、「密かに」息を切らすというとこです。


オトナという生き物は、

「え?私、いつもこの速さで歩いてますのよ」

って顔して、息を切らす様子を見せないものですから。

静かに、深〜く呼吸しながら、スタスタスタスタ歩くんですよ。

花粉をめいいっぱい吸いながら。


ああ……

花粉でお腹いっぱい。

お腹の中で消化されるといいな……と思いながら。


お腹?

肺じゃないのか?


そんな野暮なことは聞かないで。

肺に入ったら、花粉に負けそうじゃない。


花粉にやられて、今日はハナ出ちゃうよ?

お仕事中はマスクしてるから、少しくらいハナ出ちゃっても、涼しい顔を演じられるけど。

でも、ハナ出ちゃったら、気になって目の前に集中できないじゃん。


それはだめだ。

さらなるミスを招くだけだよ。

ただでさえ、しっかりしてないのに。


だから。そんな時は、思い込むのです。


今、私は確かに花粉を吸っている。

だが、全ての花粉はお腹に落とされた。

私の胃が、花粉を見事に消化して、体内花粉はなかったことになるだろう。

まさに、花粉ゼロ。


そう、思い込むのです。


強く、強く、思い込むと、わりとなんとかなるものだと思うのです。

だから今日も一日、大丈夫。

花粉ゼロ。


あれ?

そういえば。

私、昨日の夜、花粉のお薬飲んだっけ?


昨日……飲んでないかも。

あれ?そういえば一昨日も……?


今、鼻がムズムズするのは、気のせい……?


どうやら余計なことを思い出してしまったみたいです。

忘れておけば、飲んだことになっていたのに。


でも、確かその前の日は飲んだはず。


だったら、大丈夫よね。

三日前の成分が、きっとその効果を発揮し続けてくれてるはず。

さっき吸ったお腹の中の花粉は、もう消化されちゃったけど。

三日前のお薬は、その残像が効果を発揮し続けてくれているはず。


思い出すんだ!

思い込みのその効力を!



むかーし、お仕事が詰まりに詰まって、

「もう無理。行きたくない。マジで嫌」って思ってたときも。

毎朝、鏡の自分に魔法をかけてただろう?


「あなたは女優。女優なのよ。さあ、今日も華麗に演じきりなさい」、って。


売れっ子だから、忙しいのはしょうがないじゃない。

名前を指名されるのは、人気者の証。

決して、いいように使われてるわけじゃないの。

みんなが私に会いたい、って言うなら、笑顔で会わなきゃダメじゃない。

ファンサービスは大事よ。


そして、多分、乗り越えてたじゃん。

人はときに、思い込まなきゃいけない時があるだろう?

それが今日なんだよ。


今、鼻がムズムズするのも、きっと気のせい。


不安なときって饒舌になるよね。

すっごい早さでここでおしゃべりした気がする…


今日はすっごい花粉日なんだって。

あなたも気をつけて。

花粉ゼロを意識して、乗り越えましょうね。


では。

行ってきます。

ゼロ友よ。



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