表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/81

名前と呼び名(ジャンル:コメディ?)

名前と呼び名


「あたしは、お母さんじゃないっつーの!名前があるのよ!名前が!」

 彼女は怒って言うが、私はため息をついた。

「しょうがないじゃない。名前なんて教えてないんでしょ?」

「教えても呼んでくれるかどうか。」

「呼ばないと思うな。病院だもん。」

「だからって!あたし、独身なのよ?まだお母さんって歳でもないのに!」

「いや、世間一般的にはお母さんの年齢だから。」

「子供もいないのに!」

「しょうがないでしょ!ほら、可愛い息子が散歩って縄もって来てるよ!」

グレー色のコロコロ太った毛むくじゃらの犬が尻尾を振っている。

「コロ。さっき、散歩行ったじゃない。」

「しょうがないでしょ、コロのお母さん、病院の先生に肥満気味だから、散歩させてくださいって言われたんでしょ。」

「だから!あたしは、犬を生んだ覚えはない!」

「いいから諦めて行きなさいよ、飼い主!あんただって、ジロー君のお母さんの名前なんか知ってるの?」

 近所の犬を思い出してみる。

「……知らないケド。」

「苗字さえも、でしょ。その人は、ジロー君のお母さんなのよ。で、あんたはコロのお母さん。はい、散歩行ってらっしゃい!」

「わかったわよ。」

 しぶしぶ、彼女が立ち上がった。

「行ってきます、鍵、閉めておいてね、母さん。」

「はいはい。」

 私は、娘とコロを見送ると、ちょっと笑って鍵を閉めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ