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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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⑴ コスプレイベント

 その日は、街をあげてのコスプレイベントに賑わっていた。


 明音(あかね)は、仕事の前にひとりで、新作のフラペチーノを手に、立秋を過ぎた、夏の午後、街の喧騒を楽しんでいた。

 

 ふと、景色が歪むような感覚と、不思議なかすかな甘い匂いを感じたとたん、人とぶつかった。ぶつかると言うより、落ちてきた人にあたってしまった、に近いかもしれない。

 それは、朱色の着物を着た小柄な少女だった。

 少女は、道に転んでしまったが、怪我をしてる様子はなく、明音(あかね)が手を差し伸べるとすぐに立ち上がって、言葉もなく頭を下げる。

 どこかおどおどして、他の多くのレイヤーと違い、いわゆる陰キャの風(ふう)を感じさせた。

 明音(あかね)の飲み物が、裾を汚していたが、会話を交わすこともなく、逃げるように消えて行った。


 和のキャラクターを演じるレイヤーも多く、浴衣て街を歩く人も多いので、着物自体は、今日の街では、違和感はないのだけど、露出の多いレイヤーに比べると、雰囲気は少し違う。彼女が何のキャラクターなのかは、明音(あかね)には、全くわからない。

 オタクとは言えない明音(あかね)にとっては、街に溢れるキャラクターの半分も知らないのだから、気にもならなかった。

 目に付いた、紫の帯に付けた、見たことのない黒っぽい動物のぬいぐるみと、あの不思議な匂いだけは、気になっていた。



(AIによるイメージです。時代設定、キャラクター設定を汲んでない場合があります。これから登場するエピソード、登場人物のネタバレがある場合があります)






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