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ソレイユだけが気づいていない~ステータス鑑定で遊んでいたらとんでもないことになりました~  作者: こる
第五章

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19.移植

 さて、やってまいりました、王宮の奥。

 王宮の秘密の通路を通ってきたんだけど、その間目隠しされてて、王宮内の装飾とか色々全部見られなかったんだよね、がっかりだよ!


 今は、なにも植えてない土が掘り返された庭の真ん中に四人で立っている。

 周囲に明かりはないし、わたしたちも、お揃いの黒いマントを頭から被って正体を隠しているのだ。

 庭の周囲には人の気配がするし、警備の人たちも巡回している。

 わたしたちのかなり後方の建物から、こっちを見ている人がいるので、王宮内にもこれからやることを知ってる人がいるんだろうと思う。そりゃそうだよね、カミルの独断では無理だろうし、この場所を作った人もいるだろう。


「防犯上仕方ないんだ、今回は諦めてくれ」

「今回は?」

 カミルの言葉に彼を見上げれば、ニッと口の端を上げられた。


「君たちのことだから、今後、正面から正々堂々入れるようになりそうだと思ってな」

「正々堂々というと……」

 たのもー! という声が脳裏に響いた気がした。


「道場破りではありませんわよ」

 頭で考えただけなのに、すぐにオブディティに突っ込まれる。

 どうしてわかったんだろう。


「殿下、実は……イルンの若木ですが、移植と同時に、この場所がほとんど木に占められてしまうのですが、構わないでしょうか」

 ライゼスが説明すると、カミルが怪訝な顔になる。

「は? この庭が、か?」


 サイズ感を伝えてなかったもんねぇ。

 ぽかんとするのも仕方ないよ。


「カミリオン殿下、もし不都合があるのでしたら、しばらくの間、わたくしがこのまま預かっておくこともできますけれど」

 オブディティの申し出に、カミルは首を横に振った。


「いや、このままやってしまったほうがいいだろう。音消しの魔道具を用意するから、少し時間をくれ」

 そう言って、いったん建物の方へ離れてから三名の兵士を連れて戻ってきた。それぞれ手にオルゴールのような魔道具を持っている。父が使っていた盗聴防止の魔道具っぽいけど、音消しと言っていたので効果が違うのかもしれない。


 兵士たちはそれぞれ三方向へと分かれて行き、それぞれ二十メートルくらい離れた場所に立った。

 そして、カミルの手にも同じ魔道具があるので、四方に音消しの魔道具が配置されたことになる。


「オブディティ嬢、ここを中心に、イルンの若木を植えて欲しいのだが、できるか?」

「目印があれば大丈夫ですけれど……この暗さでは……」

「じゃあ、わたしが魔法で目印を作るよ。こんな感じ?」

 電光掲示板のように光の線で、三重丸の真ん中が黒いやつを作った。


「的当てかしら」

「真ん中に当たったら、おいちゃんが良い物をあげようねえ」

「怪しいテキ屋ですわね」

 わたしたちも中心から離れながら、緊張を解すようにくだらないことをこそこそ言い合う。


「……あの光る魔法、かなり汎用性があると思うんだが」

「僕もはじめて見ました。あとで、本人に聞いてみましょう」

「君の恋人は、本当にへ……いや、面白いな」

「そうですね、一緒にいて、とても楽しいです」

 わたしたちと同じく、男子も二人でこそこそ話をしている。


 先を行くライゼスたちが立ち止まり、わたしたちも二人の横に立つ。

 オブディティが深呼吸して、コンセントレーションを高めている。

 そりゃそうだよね、うっかり変なところに出現させてしまったら、大惨事になるかもしれないわけだし。


「ソレイユさんたちと訓練しておいて、本当に良かったですわ。あれだけ練習したのですから、的に当てるくらい、どうってことありませんわね」

 強がりを言うオブディティに、わたしも便乗する。


「ど真ん中に出現できたら、一年分のダイン印の特製チーズをお約束しましょう」

「クッキーもお願いいたしますね」

「……クッキー一年分は、太るよ? あ、イタッ」

 足を踏まれた。


「こちらの準備はできた。いつでもいいぞ」

「わかりました」

 カミルの言葉を受けて、オブディティが右手を前に出して、人差し指で目標を定める。

 目を細め、集中する。


 あ、来る。


 オブディティの指先がトンと小さく跳ねて、次の瞬間、目標の場所にイルンの若木が出現したと思ったら、あっという間にメキメキメキッと嫌な音を立てながら巨大化した。


 音消しをしているのに、音が聞こえた? どれだけ大きな音なんだ!


 わわわっ! 幹に縦にひびが入りはじめてる!

 もしかして、折れちゃうの!?

 成長が急激過ぎたのかも!


「ソレイユ、ヒーリングライト!」

 小声で指示してきたライゼスは、既に両手をイルンの巨木に向けヒーリングライトのライト抜きを放っている。


「うん!」

 わたしも同じように両手からヒーリングライトのライト抜きを出しながら、イルンの巨木のステータスを見る。


 ■イルンの巨木、急激な成長に地力ちりょくが足りず、幹が裂けはじめている。ヒーリングライトでの回復可能。反対側の亀裂が拡大中。


「うわっ、反対側が危ない! わたし、あっち側からやるね!」

「わかった」


 そこら中に蔓延る巨木の根を避けながら大急ぎで反対側に回り込み、成長の止まった幹に両手を付ける。


「折角二百七年越しで地上に出られたんだから、こんなところで枯れないでよ」

 頑張れ、頑張れ、と祈りながら、ヒーリングライトを放ち続ける。


 ■イルンの巨木、治癒率三割、このままでは枯れて倒れてしまう。


 うわあ、急げ急げ!


「美味しい実を成らしたり、葉っぱで雨を受けたり、あなたの好きな太陽の光だって、まだちゃんと浴びてないんだから」

 楽しいことはまだまだあるんだから、頑張れ、諦めるな、しっかり根を張って、ここに生えろ!


 ■イルンの巨木、治癒率五割、このままでは枯れて倒れてしまう。


 うわあ、危険すぎる! この巨木が倒れたら、あっちの建物まで届くよね!


「ライ、じゃなくて。そっち! もっと本気出して!」


 うっかり大声で名前を呼んでしまうところだった! 折角マントで隠れているんだからバレちゃダメだよね!

 光を消すのがまどろっこしくて、全身からヒーリングライトを全開で出して巨木にしがみついた。

 木の反対側からも、ヒーリングライトの光が見える。

 ライゼスも本気を出してくれてるんだ、絶対に枯れさせないぞ!


 ■イルンの巨木、治癒率十割、地に根付いた。


 二人体制は凄い! やっぱりヒーリングライトは光ってなんぼなんだね! ヒーリングライトを消してライゼスたちの元に走る。


「もう大丈――わぁっ」

「この場を離脱するよ」

 ライゼスに担ぎ上げられ、全速力でその場を強制離脱となった。


 だよね、逃げなきゃだよね、だってあの光が当たった人、漏れなく回復してるわけだし。健康で元気な人ばっかりなら、効果はあんまり感じられないだろうからバレずに済むかもしれないけど。周囲を警戒している兵士は結構な人数がいるから、ちょっと無理だねえ。


 ライゼスに担がれて運ばれながら横を見れば、カミルに担がれたオブディティは両手で口を塞いで悲鳴を上げるのを堪えていた。偉い!

ミッションクリア(*´▽`*)v

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誤字脱字報告、大変、大変っ助かっております!
ありがとうございます!!

゜・*.✿*書籍化決定しました!*✿.*・゜
一迅社のアイリスNEO様より令和7年12月2日に発売となりました!

読んでくださる皆さまのおかげです!
ありがとうございます。°(°´ω`°)°。ウレシ泣キ
― 新着の感想 ―
サイズ感を失念していた弊害ですかね。 必要サイズに合わせて地起こしや施肥をしておけば水を散布するとかでクリア可能だったかも? もしくは植物用栄養剤とか活力剤とか。 一番は弟君の誘致かもだけど。 何に…
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