ビジター　異邦の天秤

　この世界に流されて数年――。
　青年は浮浪者としてかろうじて生きながらえていた。
　
　ありふれた自然、ありふれた人々の営み。
　未知の言語を覚え、生活も安定しはじめたものの、青年は孤独だった。
　心を乱し、奴隷へと身を落とす中での出会い。
　ある人物との対話を通して、青年は世界の真実を探求することを決意する。

　グウェリアの不死の皇帝、数々の奇跡を行使する魔女、亡国の黒鱗の怪物、不可視の剣聖。
　この世界においてもありえないとされる力を顕現させる者たち――ビジター。
　彼らはいかにして世界の理から外れたのか。
　事象の断片を集め終えたとき、青年は自らの価値を知ることになる。