表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼女転生だとぉ!!〜あの日舞い降りたオレの天使へ❤︎返せぬ想いは異世界で  作者: 里井雪
冒険者の夢

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/144

救世主

 学園長はエルフの宝珠盗難から、ドルトニア王国の動向、オレの力について、彼女の知り得ることをほぼ全て話した、って、大丈夫なのか?


「そ、そんな、ことが! いや、学園長様から聞いたという事実をもってしても、信じ難いとしか言いようがありません。ですが、ですが、ならば、なおのこと、可愛い娘をそんな危険なことに巻き込む訳にはいきません!」


「長幼之序も顧みず、無礼を承知で言わせてもらいます。お父様は『もし今日が人生最後の日だとして、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことなのか?』と発想したことがありますか?」


 エリナ、本気だ、マジだ、その視線は父をも威圧し黙らせた。


「屋敷の中でメイドに傅かれ、美味しいお菓子とお化粧と夫への愚痴にしか興味が持てない人生を百年送るか? それとも、勇気を持って自ら直感を信じ、短い生涯を全力で駆け抜けるのか? これは選択の問題、私は後者を選んだのです」


 スゲーー、エリナ、まるで、スティーブ・ジョブズじゃねぇかっ! でも、分かる、分かるよ、君はとってもカッコいい!


「足手まといになるのも覚悟の上、だけど、それでも、やってみたいの! お父様、もう、私を止めることなど、できないと思ってください。どうしても気に入らないのなら、親子の縁を切っていただいて問題ありません!」


「お父様、私、長く学園長をしておりますが、この三人ほど優れた生徒を見たことがありません。どうか、娘さんの意思を尊重し、この場を収めていただけませんでしょうか?」


「私が娘を案ずる気持ちに嘘偽りはございません。ですから、なお、了とはできぬお話です。が、しかし、もはや勘当が娘を翻意させる有効な手立てではない、という点は理解しました。という、お答えでいいでしょうか?」


「黙認するということですね?」


「はい。だがな、エリナ、言っておく、お前は一番の親不孝というものを知っているか?」


「?」


「それはな、子が親に葬式を出させることだ! それだけは心せよ」


 そう言って、一通りの挨拶を済ませたエルパニア辺境伯は、娘に付き添われ学園長室を出て行った。今夜は娘の部屋に泊まり、明日、故国に戻るらしい。


 エリナは味噌っカスなんて言ってたが、娘思いのいい父さんじゃねぇか? 少しでも愛情を持っている父親なら「死地に赴く」という娘に「はい、そうですか」なんて言うはずもない。


「学園長、お口添え、ありがとうございました」


「いえいえ、ですが、クリティさんが睨んでいるように、私は腹黒いですよ」


「自分で、腹黒いという、悪人はいないと思いますが」


「個人の安全より、公益を重んじているのかもしれません。ルルメリア姫、クリティさん、そして、エリナ嬢が出会ったのは偶然ではありません。これは神のご意志、いえ、計略と申し上げた方がいいでしょう。ならば、三人を引き離せば、神の(はかりごと)に綻びが生じる。すなわち公共の福祉に反すると」


「なるほど、ですが、フランクに本音を述べる学園長、たとえ悪人であっても、私たちは信頼しておりますよ」


 最後は姫がまとめ、オレたちも、学園長に挨拶をし部屋に引き上げた。遅めの夕食の時。


「今日は、学園長の罠に嵌まった、とも言えますね?」


「ま、いいんじゃないの? 私たちは、世界を旅してその謎を解くために、冒険者をやりたかっただけ、救世主になるなんて考えもしなかったわね」


「学園長、単に情報を集めて売るビジネスだけをやっている人、とも思えないのです」


「この世界を裏で操るフィクサー、とか?」


「さすがに、それは、オーバーな表現でしょうけど、いろいろな権力とも結びついていると思います。もしかしたら、フルシュ国王も一枚噛んでいるのでは? と疑っています」


「お父様が関与している可能性は大かな? だって、卒業後、冒険者をやると手紙を書いたら、ま、お前の人生だから、好きにしろ的な返事が来たもの」


「そうですか! いよいよ、みんなして、世界を救えの大合唱? まぁ、救世主なんて建前で、宝珠窃盗事件の犯人を探してね、でしょうけど」


「冒険者という名の探偵?」


「その程度に止めておいてほしいものです」


「街一つを灰燼に変える大魔法使いが、奥ゆかしいこと」


「茶化さないでください。犯人探しだけでも、かなりの危険が伴います。二人を守り切れるかどうか、とても不安なのですから」


「クリティ、だからね、堅苦しく考えなくていいのよ? 二人の命が繋がっていることを忘れないで。同年同月同日に死せん、などと願わなくとも、すでに誓いは果たされたも同然、そうでしょ?」


 確かにな、前にも言ったが、姫が死ねばオレも死ぬという契約はオレにとって大きな救済だ。だって、そうだろ? オレは姫の死を悼む(いとま)がないのだから。


 いずれにせよ、オレたちに警察のような組織力があるわけでもない、世界を旅し見聞を広めていく中で、情報を集め、手掛かりに行き当たればよし、それくらい気楽に考えておけば、いいのだと思うが。


《で、いいよな?》


《ま、あの神のことだ、犬も歩けば、なんとやら、じゃろうて》


《あのなぁ〜 それ、幸運に当たるという意味か、その逆か、どっちだよ?》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ