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41/41

ー 39 ー ポルフィディオ盗賊団13

時は少し遡りーーー




3番区、ブルーマウンテン・アドレス。


『ブルーマウンテン』というのは、この国屈指の超洗練されたエリアを擁する住所の名前である。

クロロたちか初めてクリアと出会った銀杏並木通りも、ブルーマウンテン・アドレスにある。

超高級ファッション、超高級車、超最高峰の宝飾品、目玉が飛び出るほど高額な不動産…。

このアドレスには、世の中の「最上」が集結している。

最上流層の人間でさえ憧れる、まさに贅沢の終着点とも言えるエリアだ。


そんな街にも、学校がある。

ブルーマウンテン学院。

幼稚園から大学までを一貫して擁する、巨大な教育機関だ。


中でも大学――ブ(・)ル(・)ー(・)マ(・)ウ(・)ン(・)テ(・)ン(・)学(・)院(・)大(・)学(・)――は、超高級エリアという立地と高い偏差値によって、他の大学が追随できないほどの強固なブランド力を誇り、全国的にその名を轟かせている。

そのブランドに引き寄せられるように、国中から美男美女が集う。

入試を突破すれば、誰もが一度は夢見るようなキャンパス・ライフが待っているのだ。


その大学キャンパスの奥―。

国道沿いにある瀟洒な正門から真っ直ぐに伸びる、レンガ敷きの一本道。

その先に、15階建ての巨大な建物がそびえ立っていた。


教会を思わせる伝統的な意匠を残しながらも、現代的に洗練されたビル。

その最上階には、キャンパスを一望できる学長室があった。

そこでは、上質なスーツを身にまとった恰幅のよい男が、窓の外を眺めながら大きく伸びをしていた。

大学学長の淵野辺愛甲(ふちのべ あいこう)だ。


「ああ…外はいい天気だ」

淵野辺学長は、背骨がポキリと鳴る音を聞きながら、満足そうにキャンパスを見下ろした。

忙しくて疲れてはいる。

だが、有酸素運動の後のような、心地よい疲労感だった。


このところ、良いニュースが続いている。

先日の決算では、少子化の中でも過去最高益を記録。

卒業生からは世界的企業のCEOが誕生。社長輩出率が非常に高いのも当大学の自慢で、あらゆる業界に卒業生が社長を務めている会社がある。

スポーツも好調で、駅伝チームだけでなく、野球、バスケットボール、サッカーも軒並み好成績を収め、世間から注目を集めている。

そして、何より――。



「ふふふ ふんふ〜ん ふふふふん、ふふふふんふんふ〜ん」

思わず鼻歌が漏れる。

このメロディは、国内屈指のレジェンド・バンドである『サウザンド・オール・スターズ』のナンバーだ。

この大学のサークルから生まれたバンドであり、もちろんメンバーは全員卒業生。

自分自身も大ファンなのだが――。

なんと学長という役得で、今夜のシークレット・ライブに招待されているのだ!

ライブは今夜!

最高の一日になるぞ!


ピロリン!


PCから通知音が鳴る。

次の会議の10分前を知らせる通知だ。

ライブの楽しみで緩んでいた頬を、パチンと叩いて引き締める。

「よし! ライブまであと少しだ! 残りの仕事も頑張るぞ! あそれっ! エンヤコーッラ!!!」


ドカン!!!!


掛け声に合わせるかのように、目の前のガラスに大きなヒビが走った!

同時に、凄まじい衝撃波が学長室を揺らす!

何か大きな物体が、猛烈な勢いでガラスに激突したのだ!

「あわわわわ……! な、な、なんだ!? ひ、人?人がぶつかった?」



…



クロロが、ゆっくりと目を開く。

脳天を揺さぶるような衝撃の連続で、視界がチカチカしている。

目の前には、レンガ敷きの地面が広がっていた。

どうやら、うつ伏せに倒れているらしい。

「ぐ……ぐぐっ!」

バラバラになりそうな全身の痛みに耐えながら、なんとか意識を失わないように、腹に力を込める。

少しずつ、記憶が鮮明になっていく。


――ーズブロッカとの戦闘中。

背中に強烈な一撃を受け、一気に吹き飛ばされた。

そして、あっという間に後ろに聳え立っているビルのガラスにぶつかり、そのまま地面へ叩きつけられたのだ。



トッ………


「!」


這いつくばるクロロの目の前に、光沢のない黒い靴が降り立った。

クロロは震える首をゆっくりと持ち上げる。


!!!


「お、おめえは……! は、白州!?」


無造作に風に揺れる黒髪。

鋭く、冷徹な瞳。

そして、全身を包む真っ黒な服装――。


間違いない!

組織の試験で出会った、あの白州だ!



白州は、冷たい瞳でクロロを見下ろしている。


(…こいつ。なぜ俺の名を……)

白州はクロロを見つめながら、わずかに目を細める。

(そうか…ハウスの試験にいたヤツか。ズブロッカと一緒にいた金髪のガキも、同じ……)


「ふん……」



クロロは歯を食いしばり、ふらつく身体を無理やり起こす。

そして、よろめきながら立ち上がった。


「へ、へへ!す、すげえ偶然だ!ぐっ!」

激しい痛みが全身を突き抜ける。

それでもクロロは、震える手を白州へ差し出した。

「は、白州……て、手を貸してくれ!お前がいれば百人力だぜ!やべえヤツが……」


バシン!



白州が、クロロの手のひらを払いのけた!


「……ぐあっ!な、何を!?」


白州は、露骨に不快そうな顔をする。


「ちっ……!頭にくるほどバカな野郎だ」

苦虫を噛み潰したような表情で、吐き捨てる。

「俺が味方とでも思ったのか?」


「な、なに!?ど、どういう……!?」

クロロは手のひらを押さえながら、後ずさる。


「……み、味方じゃないって……!お、お前、まさか……!」

クロロの顔から血の気が引く。

「と、盗賊団に……!?」


ズキンッ!


背中に激痛が走る!

(もしかして、さっきの攻撃も……白州の仕業か!)



白州は腕を組み、蔑むような瞳でクロロを睨みつけた。

「ふん。つくづくイライラさせやがる……」

そして、淡々と言い放つ。

「こんな奴が、俺の相手とはな…すぐに殺してしまいそうだ」

一瞬、白州の目が冷たく光る。

「しかし…ハウスのリーダー格とかいう男も、すでに死んだらしい」


「……!」


「全く、ハウスというのは、雑魚の集まりなのか?」


「!!!」

クロロの目が見開かれる。

「なっ……! て、てめえ………!」

拳を握りしめる。

「何てことを言いやがる! 仲間を悪く言うな!取り消せ!」

クロロの瞳に、怒りの炎が宿った。



「あ、あの試験のときはよ……!」

声を震わせながら、白州を睨みつける。

「すげえヤツだと思ったんだ…! オレも、追いついてやろうって…!」


あの時、クロロにとって白州は、圧倒的に強く、自分がいつか追いつきたいと思った存在だった。

だからこそ…!


「お前が……嫌なことを言うんじゃねえ!」

クロロの声が震える。

「しかも……盗賊団なんかに入りやがって……!」

怒り、ショック、悔しさ、やるせなさ…。

言葉では言い表せない複雑な感情が、クロロの胸の中で渦巻いていく。



「ふん。事実だ」

白州は鼻で笑った。


「貴様を見ていたら、思い出したぞ。あのレベルの低い試験の後に、相手をしてやった人(・)形(・)使(・)い(・)がいたな。あれも酷いものだった」


「!!!」


クロロの脳裏に、最終試験で戦った天狗の姿が蘇る。

「に、人形使い……!?試験のあと!?」

クロロの顔色が変わった。

「も、もしかして……イ(・)ン(・)ジ(・)さ(・)ん(・)か!?な、何をしたー!!」


「ふん」

白州は、まるで大したことではないと言うように答える。

「少し遊んでやったら、あっけなく血反吐を吐いて転がった……」



「ぎぎ……!」

クロロの歯が、ギリギリと鳴る。

「な、何だと……!?なんで……そんなことを……!」


胸の奥で渦巻いていたいくつもの感情が――。

怒りへと、一気に振り切れた。


ボンッ!!!!


その瞬間!

クロロの全身から、炎のようなオーラが一気に噴き上がった!!!


「!」

白州の眉がわずかに動く。

「ほう」

白州は組んでいた腕を解いた。


「一丁前に、オーラ・ドライブは使えるようになったようだな」

白州の目が鋭く細くなる。

(そして…オーラ量は、侮れんぞ…)



「白州!」

クロロが叫ぶ。

「おまえの凄さを…こんなことに使うんじゃねーよ!」


ゴゴゴゴゴゴ……!


クロロのオーラが、さらに膨れ上がっていく!

レンガ敷きの地面が、オーラの圧力でビリビリと震える。


「目を覚ましてやる!!!」


ドン!!!!!


クロロが地面に敷かれたレンガを吹き飛ばしながら白州に突撃する!



――速い!!!


ズドン!!!


クロロの拳が、白州の顔面へ突き刺さる!!!

――しかし!

白州の手のひらが、その拳を受け止めていた!

「くっ!!!」

クロロは素早く拳を振りほどくと、もう一方の拳を叩き込む!



拳が届く、その瞬間!

バシュッ!!!

白州が上空へ飛び上がった!


「待てっ!」

クロロも、すぐさま後を追う!


「…ふん」

白州が、真下にいるクロロへ向けてオーラ弾を放つ!

ズオッ!!!


「くっ!まずい、人が多いっ!」


クロロも咄嗟にオーラ弾を放つ!

白州のオーラ弾と正面衝突し…!

ドドン!!!

二人の間で、爆炎が噴き上がった!!!


「だあーーーっ!!!」

クロロが爆炎を突き抜け、そのまま白州へ向かって、拳を叩き込む!!!

「ちっ!」

白州が、思わず両腕を交差してガードする!



「だだだだだっ!!!」

クロロが猛然と無数の拳を叩き込む!!!


「……!!!」

白州は、すべての攻撃を受け止め続ける。

(こいつ……!)

白州の目が鋭くなる。

(スピードが速い上に、攻撃力もなかなかある……)

口元が、わずかに上がる。

(……面白い!)



ババッ!!!


白州がクロロのラッシュをかわし、大きく後方へ飛び退いた。


………


「ふふふ…なかなかだったぞ。少しは楽しめそうだ」

白州は腕を組み、クロロを見やる。


「はあっ……はあっ……!」

クロロは肩で荒く息をする。

(く、くそっ……!)

拳を握りしめる。

(ぜ、全部ガードされた!お、オレも随分強くなったはずなのに…や、やっぱり白州はすげえヤツだ…!)


「おい! 白州!」

クロロが叫ぶ。

「そんな力があるのに、なんで盗賊団なんかに入ったんだ! クリアをどうするつもりだっ!」


「……クリア?」

白州が鼻で笑う。

「ふん。そんなものに興味はない」

そして、淡々と言い放つ。

「俺は、ただ強さを求めるだけだ」


「強さって…なんでだ!」

クロロが問い返す。


「ふん。貴様に言う必要など…」

その瞬間。

白州の姿が、クロロの眼前から消えた!


「ないっ!」

バキンッ!!!


「うぐっ!!!」

白州の拳が、クロロの頬へ突き刺さる!!!


「……っ!」

クロロの身体が大きく吹き飛ぶ!

ドカン!!!!

そのまま、近くの校舎の壁を突き破った!!!



ガラガラガラ…!!!


校舎の壁が崩れ、土煙が吹き出す!

中にいた学生たちが悲鳴を上げながら、次々と校舎の外へ飛び出していく!

「きゃああああ!!!」「逃げろーーー!!!」「何なんだよ、これ!!!」


パニックは、あっという間に伝染していった。

学生も教職員も我先にと、正門へ向かって大挙して押し寄せていく。


「ぐぐっ!」

クロロが瓦礫を掻き分け、上空へと浮かび上がる。


「くっ!ば、場所を変えるぞ!」

眼下では、大勢の人々が群れをなして避難している。



「場所を?」

白州が、避難する人々を見下ろす。


「…ふん。そうか」

その口元が、ニヤリと歪んだ。


白州もまた、ゆっくりと浮かび上がる。


「お前は、盗賊団の連中を何人か倒したはずだ…」

冷たい瞳が、クロロを捉える。

「そんなつまらん力じゃないだろう?」


「!?」


白州が、逃げ惑う学生たちへ視線を向ける。

「邪魔者が多すぎて、全力を出せないのだろう? …いいだろう!!!」


白州の口元が、さらに吊り上がる。

「消し去ってやる!」


「お、おい!何を!」


「はああああっ!!!!!」


ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!


次の瞬間!

白州の全身から、凄まじいオーラが噴き出した!!!


「ううっ!!! す、すげえオーラだっ!!!」

まるで巨大な竜巻が突然出現したかのように、白州を中心として猛烈なオーラの圧力が周囲へ噴き出していく!



ズオオオオオオ!!!!!


校舎の壁が崩れ落ち、窓ガラスが次々と砕け散る!

キャンパスから避難しようとしていた学生たちが吹き飛ばされ、大学と隣接する国道を走っていた自動車も、猛烈な風圧に煽られ、横転しながら道路を滑っていく!


「ははは!」



!!!


クロロの顔が青ざめる。


(あ、あいつ……!)

白州の膨れ上がるオーラを見つめる。

(この一帯を……オーラの爆発で吹き飛ばす気だ!!!)



クロロがギュンっと察(・)知(・)の範囲を広げる!!!

目を閉じ、周囲のオーラを探る。


(だ、大体の人は逃げたか、この嵐みてえな風でここからうまく外に飛ばされたかしてるが…!まだ人がいる!怯えたオーラの気配がまだある!)


オーラの気配はいくつかの建物に散在している。こ、これはまずいぞ!!!



…


「わわわわわ!どどどどうなってるんだ!!!」

淵野辺学長が、ガラスが砕け散った窓枠に必死にしがみつきながら、半泣きで叫んでいる。


どういう経緯なのか全くわからないが、突然、竜巻と大地震が一気に我が大学に押し寄せてきているようだ。


「たっ、助けてくれーーー!ライブがーーー!!!」



…



「消え去ってしまえーーー!!!」

白州が両手両足を大の字に広げる!


ズオッ!!!!!!!!!!


次の瞬間!

白州を中心に、凄まじい光が炸裂した!!!

灼熱の光が、一瞬にして周囲を飲み込んでいく……!

いつかのレビオラの爆発を彷彿とさせる、圧倒的な破壊力だった。


ゴゴゴゴゴ…!


静寂ーーー


先ほどまで聳え立っていた校舎のビルは消え去り、キャンパスは一瞬のうちに、黒い土が剥き出しの更地になっていた。




「ん!?」

白州が上空を見上げる。


「はあっ、はあっ」


クロロが、逃げ遅れた学生たち数十人を抱えて、宙に浮かんでいた。

その中には爆発で顔を煤だらけにした、淵野辺学長の姿もあった。


「み、みんな、無事か?すぐに降ろすから、そしたらさっさと逃げんだぞ!」

ヒュンッ!


クロロは黒い土と道路の境目へ、一気に降下する。

そして、学生たちをゆっくりと地面へ降ろした。


「き、君…!」

淵野辺学長が、煤だらけの顔を上げる。

「ありがとう!この恩は忘れんぞ!」

学長は学生たちを連れ、正門の方へ向かって一目散に走り去っていった。


…


その様子を、白州が上空から見下ろしている。

眉間には、わずかに皺が寄っていた。

(…今の一(・)瞬(・)で、どうやって全員を助け出した?)


クロロが、ゆっくりと宙へ浮かび上がり、白州と真正面から対峙した。

「おまえ~~~!!!」

クロロの怒りが爆発する!

「とんでもねえことしやがって!!!」



しかし、白州は不敵に笑った。

「ふふふ……」

その瞳には、先ほどまでとは違う色が宿っている。


「どうやら、お前…面白いイマジネット・オーラを持っているようだな」

ゆっくりと右手を掲げる。


「見せてみろ!さもないと都市スターノを灰にするぞ!」

白州の右手に、オーラが集まり始める。



クロロが息を呑む。

白州はさらにオーラを右手へ集中させていく。


「このっ!わかった!だったら見せてやるよ!!!オレのイマジネット・オーラを!!!」


ドドンッ!!!

クロロの全身から巨大なバーナーの炎のようなオーラが、猛烈な勢いで噴き上がった!!!






その少し前ーーー



ジメイ神宮境内ーーー


「くそっ、あの新入りのガ(・)キ(・)め!」

ズブロッカが、クロロを吹き飛ばした黒い影が飛び去った方角を見つめる。


「が、ガキ?」


「おう。ちょうどてめえぐらいの歳だな」

ズブロッカが、面倒くさそうに鼻を鳴らす。

「いつも黒づくめの格好で、陰気くせえ生意気な野郎だが……」


ーく、黒づくめ!


コン太の脳裏に、組織の試験で出会った少年の姿がフラッシュバックする!


(ー!や、やっぱり!は、白州か!

ま、まさか盗賊団の一員になってたとはー!)


今思えば、試験で白州が見せた圧倒的な動きは、既にオーラ・ドライブを使いこなしていたからに他ならないだろう。

そういえば、試験と試験の間で、デュラムさんはこんなことを言っていた。

ーーー気、つまりオーラの強さを光で例えると、ボ(・)ク(・)や(・)ク(・)ロ(・)ロ(・)は(・)線(・)香(・)の(・)光(・)で、白(・)州(・)は(・)自(・)動(・)車(・)の(・)ヘ(・)ッ(・)ド(・)ラ(・)イ(・)ト(・)だと。



ブルっ…

コン太の背中を、冷たい悪寒が走る。

(く、クロロ…ボクたちあまりにも…あまりにもピンチすぎる状況だぞ!)



「ちっ、それにしても…」

ズブロッカが両手を上げる。

「ここへ来て、残るのはガキだけとはな。全くもって拍子抜けだぜ」


「え?」


「折角楽しもうとしてたのによぉ〜、長いお預けの後にガキだけっつーのは、あんまりだぜ。一気にやる気が下がっちまった」


めんどくさそうに拝殿に近づくと、両手を頭の後ろで組んで地面に横になった。


「………」

コン太は、呆気にとられたようにズブロッカを見つめる。

(こ、こいつ!相手がボク1人になって、逆に戦意が削がれてるってことか!?)


ごくり。


コン太は、倒れているリリアンを横目で見る。

(な、情けないけど、こいつがこのままのこの調子なら、急いでリリアンさんを連れてこの場所を離れよう!

クロロのところまで行けば…あいつの瞬(・)間(・)移(・)動(・)でベネットさんの場所まで…。

べ、ベネットさんが生きてるかも分からないけど…どちらにしてもみんなですぐに、こいつらから離れないと!

そして本部の助けを待つんだ!

あ、あまりにも強さの次元が違う!

じゃ、じゃないと…本当に全滅してしまう!)


倒れているリリアンを目の端で捉えながら、ジリジリとズブロッカから離れ、リリアンに近づいていく。


「ん、いやでも待てよ」

唐突にズブロッカが飛び起きる。


!!!


「やっぱりこのガキもぶっ殺そう!」


コン太が目を見開く。

(な、なにー???)


「ハウス本部のことをすっかり忘れてたぜ!本部から援軍が来るはずだ!

そんときに、こいつを殺しておいた方が、ハウスどもの士気が上がって楽しめるってもんだぜ!」


「そ、そんな…!」

絶望が、足元から首筋まで一気に這い上がる!


「そうだ、どうせなら、むごたらしい方がいいよな!ガハハ!いい考えだぜ!」


ズブロッカが岩のような拳と拳をバァンと打ち付ける。


「く、くそっ!さ、最悪だ!」

…く、クロロ、ごめん。ぼ、ボクここで死ぬかも…



ドン!!!!!

ズブロッカが、丸太のような足を地面へ叩きつけた!!!

大地そのものが揺さぶられたように、コン太の足元が激しく上下する!


「木っ端微塵にしてやる!」



ズドン!!!!!



ズブロッカが地面を蹴った!!!

まるで地雷が爆発したかのように、大量の土塊が水飛沫のように舞い上がる!


一瞬でコン太の眼前に迫ると、巨岩のような拳をコン太の顔面に叩き込んだ!!!


ズゴオオオン!!!


「ぐがっ!」



コン太の身体が、音速で吹き飛ばされる!!!

更に!


ドンッ!!!

ズブロッカが地面を蹴ると、吹き飛ぶコン太を上回る速度で追いつく!


そして!

ガシッ!!!

コン太の髪を掴み上げた!

「なっーーー!?」


グルン!グルン!グルン!


オモチャのように、コン太の身体を振り回す!!!

「う、うわあああああ!!!」


「だっはっはーーー!!!」


ドカアアアアン!!!!!


そのまま力任せにコン太を地面へ叩きつけた!!!


隕石が落下したかのような衝撃が、広場を駆け抜け、その一瞬後に火山噴火みたいな土埃がブアッと噴き上がる!!!


「まだまだだっ!!!バラバラになっちまいな!!!」


うつ伏せのまま半分地面にめり込んでいるコン太の後頭部に向かって、凶悪なオーラをめいっぱい凝縮した足が振り落とされた!!!


ズドン!!!!!


コン太を中心に地面が蜘蛛の巣のようにひび割れる!

無数の石つぶてが跳ね上がり、大地が陥没する!



ゴゴゴゴゴ…


「ガハハハハ! あっけなかったな!…ん?」


グググ…


地面から、ズブロッカの足を押し返す力が…!


「むう!?」


ズブロッカが、思わず足を離して後退る。



「ぐ、ぐうう…」

土煙を纏いながら、コン太がよろよろと立ち上がる。

その胸には、エ(・)メ(・)ラ(・)ル(・)ド(・)色(・)の(・)光(・)が燃えるように輝いている!!!



!!!!!


ズブロッカが目を見開く。

「こ、このガキ!そうか。やたら丈夫だったんだな」


先ほど、加(・)工(・)済(・)み(・)の(・)ミ(・)サ(・)イ(・)ル(・)が直撃しても無事だったのを思い出した。

だが、ダメージを無効化する類のものじゃないようだ。

現にこいつは今の攻撃でかなりのダメージを負っている。


「いいだろう。あまりに早く終わってもつまらんからな!ハウスの本部が来るまでの暇つぶしだ!」

フワリと後方に飛び距離を取ると、ズブロッカがガードする時のように両腕を胸の前で交差させた。


「はあっ!!!」

ズブロッカの両手が、鋭い光を放つ!!!


ゴゴゴゴゴ…


光が消え去ると、その両手の指の間に、大(・)量(・)の(・)写(・)真(・)の(・)束(・)が出現していた!


「しゃ、写真!あ、あんなにたくさん!」

コン太のこめかみから冷や汗が流れる。


(あ、あの量!何十枚あるんだ?ま、マ(・)ン(・)・(・)オ(・)ブ(・)・(・)エ(・)メ(・)ラ(・)ル(・)ド(・)で防ぎ切れるのか…!?)

コン太の体を激痛が走り抜ける。

(か、体だって、もうボロボロだ…)



「さあ!どこまで耐えられるかな!?」

図太い声で叫びながら、写真の束を紙吹雪のようにばら撒いた!!!


ボボボボボボ…!


マシンガンで撃ち抜かれたみたいに写真が空中で弾けると、広場を覆い尽くすほどの無数のミサイルが出現した!



「突撃だー!」

ズブロッカが両手の人差し指をコン太に向けてポーズを取る!


ズドドドドドン!!!!!!!


ミサイルが矢の雨のようにコン太に突き刺さり、爆炎を上げていく!!!



ズドドドドド………!!!!!


瞬く間に、広場全体が黒い爆炎に飲み込まれていった!!!




圧倒的な強さの敵との、絶望的な1対1の幕が開けた!!!

次回、追い詰められたクロロとコン太のイマジネット・オーラが更に進化を…?

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