ー 37 ー ポルフィディオ盗賊団11
ゴゴゴゴゴ…
「うふふ。何で外れた?って顔よね。…悪いけど、もうあなたは、死ぬまで私に攻撃することはできないわ。勝てないのよ。
だからもう、私の店で飲まない?今なら貸切よ」
カシスが唇をすぼめ、細いタバコに火をつける。
「…ふん、ペラペラとうるさい女だ」
ベネットがゆっくりと首を振る。
(…だが、この余裕はハッタリじゃない。
ヤツの言っていた予兆…。あれに立ち会った時点で、何らかの術にかかってしまったようだ。
おそらく、こちらの攻撃を無力化する類のもの…面倒だな、こいつは)
「あらやだ、怖い顔して。怒らないで?
私、サービス業だから、つい喋りすぎちゃうのよ」
カシスがアイシャドーを引いた目を細める。
「でもね…」
その瞳が、ゆっくりと冷たく沈む。
「私は絶対に、負けないの。それだけは分かって」
ドンっ!!!
言葉を断ち切るように、ベネットの拳がアスファルトに叩きつけられる!!!
バジッ!!!
放射状に広がる電撃――
空気が震え、空間そのものが帯電していく。
チリ…チリ…
「!?」
カシスのスミレ色の髪がフワリと宙に浮く。
「…え。なに?静電気?ちょ、ちょっと!私の髪を巻き込むのはやめてよ!」
カシスが慌てて髪を撫で付ける。
「避雷針がしゃべるな…!」
ドカン!!!
カシスの足元から、天に向かって稲妻の柱が突き上がる!!!
都市スターノの観光名所である高さ600m超のタワー『スカイ・スパイラル』を彷彿とさせる、空へ貫く巨大な閃光!!!
その衝撃で周辺のビルのガラスや看板が砕け散り、竜巻のような衝撃波が車や自販機、街路灯もろとも薙ぎ払っていく!!!
ゴゴゴゴゴ…
しかしー!!!
「あー、びっくりした!」
カシスが髪を整えながら呟く。
「な、何っ!?」
俺の『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』が効いてない?直撃したはずだ…!!!
「ふふ。運が悪いわね。どうやら私のアクセサリーを伝って、電流が逃げちゃったみたい」
カシスが髪をかき上げる。
指輪やブレスレット、イヤリングやネックレスがチラチラと瞬く。
「なんだと!?ジッパー効果か!?」
ージッパー効果
金属を身につけておくことで、雷に打たれた際、電流を臓器ではなく皮膚表面にバイパスし、人体ダメージを減らす現象だ。
一昔前は、落雷の恐れがある時に金属を身につけるなという話があったが、実際は逆だ。
金属を身に付けておくことで、ジッパー効果により一命を取り留めたという事例もある。
…だが。
俺の雷は自然現象のそれよりも殺傷能力は遥かに上だ。
無傷で済むなど…そんな天文学的な偶然が起こるものか!
「ふふ」
カシスが妖艶な表情で細いタバコに火をつける。
「私、無駄な努力は大嫌いだけど、他人が足掻いてるのを見るのは好きなんだよね。性格悪いよね?」
「くっ!だったら…!」
ベネットが腕を振り上げると、テニスボール大の無数の雷球が空中に展開された!
カシスの退路を断つように取り囲んでいく!
バジジジジジ…!!!!!
「『ギミー・シェルター』!この技は『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』ほどの攻撃力はないが、全ての死角から全ての急所に直撃する、回避不能の全方位型雷撃だ!ジッパー効果などでは避けられんぞ!」
宙に浮かぶ無数の電気の塊から一斉に光が弾ける!!!
カシスが、短く息を吐く。
「意味ないってのに…」
バジジジジジ…!!!
カシスを取り囲む無数の光球が、今まさに雷撃を解き放とうとした――その瞬間!
ドカン!!!
カシスの後方にあったパチンコ店が轟音と共に火を噴いた!
紅蓮の炎が通りに膨れ上がり、黒煙と共に無数の銀の粒が空へと弾け飛ぶ!
ー銀の粒は…パチンコ玉だ!
(爆発だと?何が起きた?)
炎の奥、突き破られた壁の向こうに、大型トラックのフロントが覗いている。
(店の裏から突っ込んだのか…!?このタイミングで…!?)
粉塵と銀の雨がカシスを包み込む――!
同時に!
バヂッ!!!
光球から雷刃が解き放たれた!!!
バジジジジジ!!!!!
しかし!!!
電撃は粉塵に触れた瞬間、蜘蛛の巣のように拡散した!
拡散された稲妻は、宙に舞うパチンコ玉からパチンコ玉へと一瞬のうちに伝わり、まるで点繋ぎのように、複雑な稲妻の軌跡が宙に描かれていく!!!
そして全ての電撃は、カシスを避けて地面へと叩きつけられた!!!
ヒュオオオオー…
ギブカの通りを風が吹き抜け、煙が晴れていく…。
「…明るいのが残念よね。今の、夜だったらもっと綺麗だったのに」
満足そうに微笑みながら、少し残念そう表情でベネットを見つめる。
完全な無傷!!!
「……」
ベネットが、静かに息を吐く。
(…やれやれだ。爆炎と粉塵とパチンコ玉で、『ギミー・シェルター』を無力化された。
物理的に不可能な事象ではないのだろうが、こんなことは完全なる奇跡だ。
…これで分かった。
あいつは俺が仕掛けるどんな攻撃に対しても、出鱈目な奇跡をもって無効化するのだろう。
…まいったな…これは…勝てない!)
ゴゴゴゴゴ…
「ふふふ。さすがはハウスのリーダー。悟ったようね。記念に、教えてあげる」
カシスが、絶体絶命の獲物を前にした獣のように、濡れた瞳を光らせる。
「あなたには今、世界中の不運が降りかかっているの」
赤い唇がゆっくりと歪む。
「…12星座、タロット、風水、手相におみくじ、四柱推命や血液型。
そういったメジャーなものから、数秘術、ジオマンシー、リソマンシー、ルーン、梅花心易、フォーチュンクッキー、シャガイ、イファ占いみたいなものまで。
この世に存在する全ての凶が、あなた1人に集中してるの」
ドス黒いヘドロのような嫌な空気がベネットを包む。
「…ふん、なるほどな。何をしても、どうやっても、不運で失敗するってことか…」
「そうよ。あらゆる奇跡があなたを失敗へと導く」
カシスが唇を窄めて煙を吐き出す。
「…今のままじゃ勝ち目はなさそうだ。…だが!!!」
まとわりつく空気を断ち切るように、ベネットの体から鋭い雷光が迸る!!!
「本気を出そう。…奥の手だ!!!」
「ええっ?これから?…無駄だってのに?」
カシスが呆れた声を上げて肩をすくめる。
「もう、終わりにして飲みましょうよぉ」
「ふん。無駄かどうかを決めるのはお前じゃない。この俺だ!!!」
ベネットが拳を天に掲げて、全身に気を込める!
(…とは言え、これは賭けだ。
もし不運とやらが、この先にも影響するなら、万策尽きたということになる…負ける…!)
バジッ!バジジジジジッ!!!
ベネットの体が光り輝く!!!
蒼いスパークが荒れ狂う竜のように迸り、周囲の空気を焼き焦がす!
「『電光石火モード』!!!」
!!!
バリバリバリ!!!
雷を孕んだオーラがドンと膨らむ!!!
街路灯が弾け、電線が唸り、ビルの看板が火花を散らす!!!
都市そのものが、ベネットに共鳴するかのように震える!
ゾクリーー!
カシスの体に悪寒が走る!
オーラと雷が混じり合った圧倒的な力の奔流が、カシスを威圧する!!!
「…人の体は…微細な電気信号で動いているんだ。細胞レベルのな。
『電光石火モード』はその電気信号を加速させ、反応速度の次元を引き上げる」
バリバリバリ!!!
ベネットの全身が蒼い光に包まれ、髪が稲妻のようにジグザグと折れ曲がりながら天を突いている。
「ふふーん?それで?」
カシスが目を細めてタバコのフィルターに口を付ける。
「俺の攻撃は不運に潰されるのだろう…。だがな」
ビキィッ!!!
足元のアスファルトにヒビが走る。
「潰される瞬間に、電光石火のカウンターを叩き込む」
カシスの瞳が、わずかに細くなる。
「…ふうん。カウンターの、カウンターってわけね。まあ、がんばってね」
ゴゴゴゴゴ…!
(ヤツの位置まではざっと15メートルと言ったところ。
一瞬で詰めることができる距離だ…。
この一瞬の間にどれだけの妨害が入るのか分からんが、やりきるしかない!
電光石火のカウンターは、相手が攻撃を仕掛けてくる限り、繰り返される!
根比べだ!…俺の命が尽きるまで!)
「いくぞっ!!!」
ドンっ!!!!!
雷鳴のような轟音と共に、ベネットが地面を蹴って飛び出した!!!
黒いアスファルトの欠片が砕け飛び、ベネットの残像が光の帯となって宙を引き裂く!!!
ーあと12メートル!
瞬きよりも速くベネットが距離を詰める!
その時!!!
バコン!!!
足元のマンホールが轟音とともに噴き上がる!
同時に、荒々しい青い炎がうねるように噴き出した!
(!!!…ガスの匂い!地中で引火したのか!?だがー!)
ビシュン!!!
マンホールが飛び出す勢いよりも速く、ベネットが光の軌跡を描く!!!
「『電光石火モード』の俺にとっては、止まって見えるぞ!!!」
ーあと10メートル!
ボボン!!!
爆発音と共に、前方から炎を纏った巨大なタイヤが跳ね上がった!!!
巨人に投げ飛ばされたかのように、空中をクルクルと回転しながら飛んでいく!
(さっきのトラックか!…あつらえた様に、進路を塞ぎやがる!だが無駄だっ!)
ベネットがスライディングの格好でアスファルトを滑る!
火を噴いたタイヤが、鼻先を掠めて通過していく!
ーあと8メートルだ!
「!!!」
タイヤと入れ替わるように、トラックのギラギラとしたフロントパネルが顔を出した!!!
車体からドス黒い炎を巻き上げながら、巨大な鯨のように宙を舞ってベネットへ迫り来る!!!
(ちいっ!!!こいつはただのトラックじゃない!タンクローリーだな!
積んでいたガソリンに引火して爆発したということか!スライディングでは避けられない!)
ベネットが足裏からバーナーのようなオーラを噴射させ、上空へ飛び上がる!
その直下を、炎を噴き上げた巨体がミサイルのような勢いで通り過ぎて行く…!!!
(浮かび上がった分、また少し距離が離れた…!10メートルといったところか…!一気に詰めるぞ!)
ギュンッ!!!!!
ベネットが急降下し、カシスに突撃する!!!
しかし!!!
首筋に、焼けつくような熱。
「なんだ!?」
ベネットが反射的に振り向く。
ゴオオオッ!!!
ー空を裂き、煙の尾を引く真っ赤な光!!!
「隕石!!!」
(…まさかこんなものまで!上等だっ!!!)
ベネットの姿が消える!!!
稲妻の軌跡を残して、隕石より速く、カシスの目の前に降り立った!!!
ー1メートル!!!捉えたっ!
ベネットの拳がカシスに向かって放たれる!!!
しかし!!!
ピシッ……
足元に、細い亀裂が走る。
「!?」
ボゴン!!!!!!
唐突に、ベネットの足元のアスファルトが陥没した!!!
「何ぃ!?」
ベネットの拳が空を切る!!!
ボゴゴゴゴ……!!!
陥没は一気に広がり、街路灯やガードレール、路駐の車や自転車、
全てを呑み込み、地中へと引きずり込んでいく!!!
ゴゴゴゴゴ!!!!!
ビルの外壁が砕け、看板が吹き飛び、大地そのものが咆哮する!!!
「あら。ガス爆発とか電気の攻撃とか、色々あった影響かしら」
カシスがふわりと浮かび上がり、タバコを吹かす。
「ふん、こんな落とし穴で…」
ベネットが浮かびあがろうとしたその時!
ズドン!!!
背後から迫っていた隕石がベネットの脇をすり抜け、大穴へと吸い込まれて行く!!!
そして…!!!
ドッッッッッ!!!!!!!!!!
七色の光が炸裂し、超音速の爆風が膨れ上がる!
この世には、オクタニトロキュバンのように、理論上は最強だとされる爆発があるが、今ギブカの地下で炸裂したのは、まさに最強の類の爆発だった。
地下に充満していたガスの中に、ベネットの電気のオーラが混じり、そこに隕石という地球外の物質が、超高熱を伴って加わったことで未知の化学反応が起こったのだ!
七色の爆炎は一瞬でベネットを呑み込んだ。
…
ゴゴゴゴゴ…
広場を爆心地とした爆発により、ギブカの通りは瓦礫の山と化していた。
風が粉塵をゆっくりと押し流していく。
カシスがトッ、と地面に降り立ち、タバコに火をつける。
「すっごい爆発だったけど、綺麗だったあ!今の撮っておけばよかった、もったいない」
「ぬかせ!」
「えっ!?」
ベネットが、カシスの目の前で膝をつき、睨みつけている。
(あ、あの爆発を回避したってこと…!?え、すごくない?)
衣服はボロボロだが、オーラは一切衰えていない…!!!
「『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』を直接叩き込んでやる!」
右拳に、巨大な電気の塊が膨れ上がる。
ベネットがぐぐっと膝を沈め、槍のように拳を突き上げる!!!
その瞬間――
ピカッ!!!
強烈な閃光がカシスの背後から差し込み、ベネットの視界を奪った。
(なにっ!?)
太陽光――?
だが、あまりにも異常な強さ。
ガラス張りのビル群が先ほどの爆発でひび割れ、そこに差し込んだ光が乱反射し、
まるで虫眼鏡がのように一点へ収束していた。
その光の中心に、ベネット自身が飛び込んでいたのだ!
反射的に顔を逸らした!
「ーしまった!」
同時に後悔が脳を貫く!
一瞬にも満たない刹那だったが、カシスから目を離してしまったのは、致命的なことだった!
(くそっ!『電光石火モード』の反射が裏目に出た…!)
次の瞬間…!
「がはっ……!!!」
ベネットの呼吸が止まり、膝から崩れ落ちる。
胸の中心に、抉り込まれるような違和感。
ベネットの視力は戻っていなかったが、カシスの攻撃を受けたのだとはっきりとわかった…!
(お、おそらくはオーラ弾…攻撃力そのものは大したことがない…
だ、だが、このダメージは何だ…!?ふ、不運の影響か…!)
ベネットの意識が霞んでゆく…
「残念だったわね。あなたは不運からは逃げられないの。たとえ、起きる確率が何兆分の1の確率であったとしても、あなたは必ず不運を引き寄せる。100%ね」
カシスがタバコに口を付ける。
「ちょっとした攻撃でも、最悪の当たり方をするから、致命傷になるの。
でもね、あっけなく殺してもつまらないじゃない?だから今まで何もしなかったのよ。そもそも戦うのとか、だるいし」
ベネットの体が人形のように力なく傾き、そのままアスファルトに倒れ込んだ。
栓を抜いたみたいに、みるみるオーラが小さくなっていく。
「もう聞こえてないか。ふふ」
一縷の糸がちぎれるように、ベネットの最後のオーラが途切れた…!
………
……
…
ジメイ神宮、板敷の間ー
「ベネットが死んだ…」
ポルフィディオがぽつりと呟いた。
「おおっ!マジか!カシスの野郎、やるな!」
ズブロッカが拳を打ち鳴らす。
「!!!」
クリアが目を見開く!
(べ、ベネットが…!?嘘!?)
熱い涙が一気に込み上げてくる。喉が震え、声にならない嗚咽が漏れる。
「…あまりにあっけなさすぎるがな…。まあいいさ」
ポルフィディオがゆっくりと目を細める。
「残りの3人も到着したようだ。ズブロッカ、出迎えてやってくれ」
「うほほっ!ついに来たかぁ!!!待ちくたびれたぜ!!!」
………
……
…
ギブカ・シティー
カシスがベネットに歩み寄り、首筋にそっと手を当てる。脈は途絶えており、ぴくりとも動かない。
「いい男だったのに。散る時は儚いものね」
線香を手向けるように、タバコをベネットの脇にそっと置く。
「さて、と。さっきの3人はもう社長とズブロッカのところに着いてるだろうし、このまま飲みに行っちゃおうかしら」
カシスがベネットから背を向けた瞬間ー!!!
「おい、煙たいな」
――!!!
「俺はタバコは吸わないんだよ。不健康なものは苦手だ」
カシスの肩がビクリと跳ねる。
ゆっくりと、振り返る。
ゴゴゴゴゴ……!!!
倒れていたはずのベネットが…
立っていた!!!
「そ、そんな!」
カシスの瞳が揺れる。
(ま、間違いなく死んでいたはず!ど、どういうこと?)
「…」
ベネットが無言で指先を上げる。
バヂッ!!!
細い電撃が一直線に走り、カシスの肩を撃ち抜いた!!!
「ああっ!!」
肩を押さえ、よろめく。
「当たったな…」
ベネットが拳を握りしめる。
「どうやら俺の不運は、解けたらしいな」
「う、うう。ありえないわ…!」
カシスの顔から血の気が引く。
「意味がわからないって顔だな。いいだろう。お前が能力のネタバラシをしてくれたように、俺も話してやろう」
ベネットが自分の左胸に手を当てる。
「俺の本当の奥の手は、電光石火じゃない。『カウンターショック』だ」
空気が張り詰める。
「電光石火は、『カウンターショック』を使うために必要なモードだ。
体内の電気信号を極限まで活性化させて、心臓が止まった瞬間、自動で素性がかかる。
要は自前のAEDってとこだ」
カシスの瞳が見開かれる。
「そ、そんな……」
「おまえは言ったな。死ぬまで不運は続く、と。
その言葉が本当なら、死ねばリセットされるんだろう?
なら、一回、死ねばいい。
カウンターショックに賭けるしか、勝ち筋はなかったんだ」
「ー!!!」
(の、能力を解除するために死ぬ…!?い、いかれすぎよ…!)
「不運で蘇生できなきゃ、そのまま終わりだったが、
どうやら一瞬でも死の判定がされればお前の能力は解除されるようだな」
バチン!!!
ベネットの腕にスパークが走る。
「すでに俺もボロボロだが、今の貴様を葬るのはわけないぜ」
「うぐっ…」
カシスが後ずさる。
(な、何てやつ…!い、今から予兆を仕掛け直すことは、無理!ま、間に合わない…!!!)
「占いとか吉凶とか、くだらねえんだ。自分の運命を決めるのは、自分だけだっ!!!」
ドカン!!!
ベネットの拳から真っ直ぐに延びた電撃が、カシスの胸を貫いた!!!
「うあああー!!!」
カシスの全身が電気のスパークに包まれる!!!
「うああ!あは!!!あはははははー!!!」
電気に焼かれながら、カシスが笑い声を上げる!
「!?」
「あ、あなたは、『死ぬまで不運が解けない』っていうのは覚えてたみたいだけど…こ、これは覚えてるかしら?」
不穏な空気がベネットを貫く!
ゾワッ……!!!
背筋を、氷の刃のような悪寒が走る。
「わ、私は言ったわ……」
カシスの瞳が、妖しく光る。
「『絶対に負けない』って」
ゴゴゴゴゴ……!!!
ベネットの胸に、ひやりとした感触。
「なっ……!?」
視線を落とす。
そこには…巨大な鎌の刃が!!!
いつの間にか、心臓の位置にぴたりと添えられている。
バサリ。
風に舞う漆黒の布が視界に入る。
ベネットが、ゆっくりと振り返る。
そこに立っていたのは――黒衣を纏った髑髏。
「し、死神…!?」
空気が、凍る。
「こ、これが……私の奥の手……」
カシスが、倒れかけながら笑う。
「自分に呪いをかけてるの……
“殺される瞬間、相手も必ず道連れにする”ってね……」
……だから……負けないのよ……」
「なるほど…」
(…ヤツ自身も、死をトリガーにした能力を仕込んでいたのか。
発動条件は同じだが、俺の蘇生とはまるで真逆の能力だ。死を道連れにするとは…)
「じゃあ…あの世で会えたら…飲みましょうね」
バタン…
カシスがアスファルトに倒れ込んだ。
バスン!!!
それと同時に死神の鎌が、迷いなく振り抜かれた!!!
「かはっ…!!!」
ベネットの胸が切り裂かれ、血が、弧を描く…!!!
………
……
…
――その頃。ジメイ神宮。
!!!
「べ、ベネットさんのオーラが…!う、うそでしょ?」
コン太の顔から血の気が引く。
「そ、そんな!消えちまった!」
クロロの拳が震える…!
ゴゴゴゴゴ…!!!
周囲の空気が一気に沈んでいく…!
クロロとコン太の横には…
ボロボロになって横たわるリリアンが…!
「へへへ」
目の前にはズブロッカ!!!
巨大な影のように、立ちはだかっている。
「ま、マジでやばいな、これは!」
コン太が拳を構える。
「くそっ!!!ありったけの全力で行くしかねぇ!」
クロロがぐっと拳を握る。
ドンっ!!!ドドンっ!!!
クロロとコン太の体からバーナーのようなオーラが噴き上がる!!!
カシスが隠していた『奥の手』で、戦闘不能になったベネット!
そして、リリアンも?
一体何が起きている!?
次回、絶対絶命の窮地がクロロとコン太を待ち受ける!




