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aRIA  作者: 旅人
13/13

aRIA-Z

誰もいない研究所の元

目を覚ます


初めに見たのは彼女の姿


今の私に記憶は無い

でも知っていたはずの人


とても懐かしい少女

これが今できる適切な表現方法…


目覚めるのを見送るようにして彼女は消える

さっきまで見ていた夢が起きてすぐ忘れてしまう

そんなふうに



この施設はビルのように出来ている

そして今いる所は上層部の研究室かは病室だ

全身に張り巡らされたチューブを外し、ベッドから起き上がる

いったいどれほど動いてなかったのだろうか

立ち方は知っているが衰えた体はふらついて仕方がない


「1人じゃやっぱり辛いかな」

不意に言葉が口から漏れる

理由はまったくわからないのだが今1番適切な言葉な気がする

1人

無性に寂しくなる言葉だ


分からないことが多すぎる

この足で歩けるだけ建物の上を目指して歩いてみようか

そうすれば少しは何か分かるだろう

今ない記憶が戻ることを期待しつつ

歩き出す


部屋の壁に埋め込まれたデジタルカレンダーは9月1日を示している

寂れた今も、電気は供給されてる


ここは戦争でもあったかのように

どこもかしこもボロボロだ

それも昔の出来事と言う訳ではない

今も火薬のにおいが廊下を漂う


割れた窓ガラスの向こうからセミの声がする

夏の終わりと言う訳か、どうも少し小さく聞こえる

そこから体を乗り出して、外の世界を眺める


ここは1つの島のようだ

ぽつんと真ん中に今いる施設があるだけで、後は全て道と森

島を囲むようにして形成された大地が先へどこまでも続いている

その大地と逆の方向は、果てしなく海が広がっている


そしてこの島を中心に、ドーム状のバリアのようなものが海と大地に境界を作る


その境目の外側には、黒く大きな球体が目視できる範囲でも20個近く存在する


あれが何なのかを知っている

物質の元であり人間の記憶

多数がいっせいに死んだ為、世界が浄化しくれなかった物

何故しっているかは記憶がない私が知るはずもない



役に立ちそうな発見もなく最上階まで到達した

空にはどこまでも広がる入道雲

見送るように佇み眺める


疲れ果て、地面に仰向けで寝転がる

天まで伸びたアンテナの先から光が出ている

まるで空を縦にラインを引いたようにまっすぐとどこまでも続く

どうやらこれこそがこのバリアの始まりらしい


頭の横に何かの記録帳が落ちている

中身を開いて見て見たが、内容は今の自信には衝撃を抑えられないものだった


無数に書かれた人間の情報

全ては8月32日と言われた黒い球体の発生した日に、その影響で死んだ者達

脳も体も生きているのに、それらは死体と同然らしい

それを被検体として球体から完成した兵器を埋め込み、記憶を生成、回収を繰り返す事で

「ARIA」を完成させると言うものだ


研究結果は数々の失敗と1つの暴走により幕を閉じた

誰もここにいないのはそれによる事件に巻き込まれ何処かにでも逃げたからだろう



つまり本当に私は1人だ

何も今は持ってない

目的も、役目も、価値も

全部ない


なにかを見つけ出す気力も

この島を出て人を探すやる気も

一切わかない


何か1つ大切なものを失ってしまった

それのせいで全て嫌になってしまった


いっそこのままここで餓死して行くのも悪くはないか

諦めるようにして目を閉じる


遠い夏の出来事を蜃気楼のように思い出す



初めて目覚める私を見ている

分からないことがおおすぎて、不安で仕方なく眺めていたら

私に逃げらて辛かった



私の記憶は既に無かった

代わりに誰かから見た私の記憶が見える


誰かから逃げ出した

かつての私を今は笑う



私に話しかけにくく、見つめていたら見つめ返され

何を話せばいいか分からず、ただ無言で見つめていたら

私から話しかけてくれた



何故こんな記憶ばかりがあるのかわからない


私から話しかけたことに少し驚く



怖がる表情を私に隠した

私をを不安にさせない為に



でも全てが私を安心させる


今ならもう隠さなくても大丈夫だ



私と共に泣いている

理由はこれまでの罪悪感



あの時に気づいてあげれたらよかった



お面を付けたもう1人の私

素顔を見て全て思い出した



誰の記憶か今気づく



泣くこの誰かに、私がお面をプレゼントをした

そんな私の為、誰かは何度でも嘘を付くことを決意した



私と一緒にいたもう1人



「気づけばあの時、出会って初めて貴方がしたように逃げ出していた

卑怯だよね

ここまで酷いのに、「見つけ出して」と思ってしまったんだ」



忘れないとも



「貴方は意思を表に出す事が下手だった

でも正直だった

それに最後は僕を見つけてくれた」



彼女の名前を



「最後の嘘の為、貴方を待った

そして今もまた

迎えに来てくれた」


声に出す


「aRIA」


目を開ける


そこには1人少女がいた

彼女は私に手を伸ばし

ヒマワリのような笑顔で尋ねる


「寂しい?」


今ならその返事が言える

彼女に私の手を伸ばし

泣きだしそうな笑顔で答える


「寂しい」



世界の誰よりも知っている。彼女は私が愛した「aRIA」

これが自身の今できる

唯一の表現方法だ

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