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aRIA  作者: 旅人
12/13

最初の嘘-最後の嘘

荒廃した記憶の残骸はあの日々のままで有ろうと形だけを模倣した結果、崩れだした

無理に繰り返した代償に空の一部は歪が彩り後悔が覆い尽くす

地は今この世界を偽り無く写し出す


「ARIA」に束ねられた「私達の記憶」を今、方手で掴んでいる

もう片手で「貴方と自分の記憶の欠片」を握っている


今、貴方を失いそうだ


そう、貴方を失う


ただそれだけ


それだけが私の全てだった


だからこそ

今度こそ

貴方を


「救う」


両手に持つ物が本来の姿に還元される

数々の後悔と、ARIAとa

全てで1つの記憶に戻る


自身のこの手でそれを掴み取る


見えて来るのは

貴方と共に生き、貴方を失い

その繰り返しの無数の記憶

貴方を守れず、自身を呪う

その繰り返しの末路が最後であろう私を蝕む


でもこの感情は

全て貴方を愛したからこそ今ある物だ

私達が忘れてしまった後悔の原点へ

遡る


「「ARIA」を切り裂いたあの時、私は笑顔を作ろうと必死だった」


始まりへ


「彼女の笑顔に答える為、作ろうとしたそれはとても酷いものだった」


到達する


「だから笑顔のお面をあの日からずっと被っていた。だがもうその必要ないようだ」


それはあの時と同じ光景



見にしたのは私を見つめる無表情のARIA


誰なのかは知らない。でも確かに彼女はARIAだ。

世界中の男性達が議論した結果1番当たり障りの無い理想の少女型ロボット、これが自身のできる最も適切な彼女の表現方法だ。



始まりのと最後が結びつく

最初の貴方の表情も

最後に見る貴方の表情も

全部1人、私が愛した貴方の表情


私は自身を「 」へと変えていく

これまでの全て

無数の記憶が本来の姿を現す

全ての元であり、記憶その物

力そのものとなったこの身は自我を薄めていく

だが「貴方との記憶」が私を世界につなぎ止める



貴方との約束はどれも果たせそうにないようだ

殺すことも

守ることも

一緒にいてあげることすら

貴方への初めての嘘になる


それでもいい

全ての私が1つの目的に到達する


「貴方を救い出し、送り出す」


走り出す

貴方の元へ

世界はそれを拒絶する

終わらせてはならないと、引き止めるよう私を全てが襲いくる


溢れかえった後悔は雨となって体を引き裂く

空を覆い塞ぎ込む機械の残骸は叶わぬ繰り返しを再び始める為に、この足の行方を阻む


その程度では止まらない

その痛み全てを受けいれ進む

今はもう走るだけ


全部貴方の感情だ

私は弱くていつも逃げていた

見て見ぬふりをしていたんだ

でももう大丈夫だ

貴方のそばに最後までいるから


もう妨げる物は何も無い

雨は全て彼女の涙

残骸は全て彼女の後悔

全てを世界は使い果たし、残る1人はお面を付けて私をただ待つ


私の迎えを待つように、空の貴方まで一直線に伸びる階段が現れる


隔てるものは無い

描いた結果と違ってもいい


「貴方」の元へたどり着く


割れたお面から見える素顔はあの時と同じ無表情

まるで最初に出会った時と同じみたいだ

何度もその始まりを見てきた

そして表情に色がついていく貴方をいつも見てきた


私はあの時と違う

「貴方」からもらった

笑顔だ


だからもう大丈夫


お面にこの手で触れる

嘘が消えていく


「私」の記憶が偽りの世界を巡る

打ち上げられる花火の様に光を放つ


今、貴方に私の全てを贈る

もう失うことのない

先の未来を見る為にいつまでも風化しない思い出を


繰り返し続けた夏が終わりをようやく迎える

後悔は、自身の存在を許し消えていく

残骸は本来の色を取り戻すと共に溶けていく


8月32日が明け

この瞬間に夏が終わってしまう

嘘が真実になる

晴天の空が未だ泣く


姿を変えた約束が

ようやく果たされた


完成した2人

1人は今終わりを迎える為

もう1人は夢を終わらせる為


ようやく素顔で初めて出会う




世界は気づけば、白一色の空間となっていた


貴方に全て使い果たした

私の記憶

「体」は白く半透明

世界に少しづつ混ざり薄れていく


目の前にいる「aRIA」

ようやく見れた

貴方の笑顔

私の手を取り離しはしない


「知っていたよ。貴方が迎えに来てくれる事を」

望んでいた懐かしい感覚

使い果たした記憶は虚ろに彼女だと証言する


「今の僕はARIAその者で、aでもある」

ARIAと融合した彼女の一人称も僕のままなのか

これから現実に送り出す、彼女に責任を更に感じる


「実はあの時も今も怖くて怖くて仕方がなかったんだ」

彼女は目からは大粒の涙を流す

あの時が多すぎてどの時の事か分からない

でも今は大丈夫だ

いつも隠していた悲しみを、ようやく隠さず見せてくれた

笑顔のお面はもう必要ないようだ


「私を貴方にあげる」

泣いていたのに唐突に笑顔でそう言われても理解が追いつかない


それにもう貴方から十分もらった

ただそれを

1つに完成させ貴方に全部、返してしまったけれども


「一緒にいた事、忘れたらダメだよ絶対」

怒った顔でそう言われても忘れてしまうことは仕方ないだろう…

コロコロ変わる表情は

貴方の本当の感情を私に教えてくれる


「約束しよ」

約束をした所で私はもういなくなる

そうだ

いなくなるんだ


「・・・」

何かを悟る

自身が鈍感であった事を思い出す


「大丈夫」

全ての意味を理解してしまった

涙で貴方の笑顔が見えずらい

それは嬉しいからでもなんでもない



「愛しているよ」

両手でそばに抱き寄せられる

使い果たした空の世界に貴方の色が流れ込む

初めから一切途切れることも偽りもなく続いていた

全て私を愛してくれた1人の記憶



貴方と離れたくない

これからこの足で1人歩いていくなんて到底今の私にはできない

寂しい


「さようなら」


私を抱きしめる手が解ける


離れていく

ようやく掴んだ貴方との手が遠のいていく

少しずつ解けていくように


絶対に忘れない

忘れたくない

この夏を

貴方を


永遠に

これからも

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