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卓球ノート  作者: 誠也
32/40

全国の扉

第12コートへと向かう。相手は島根県平井中学の高森さんだ。高森さんは今大会の第7シード、この人に勝てば全国・・・よし!

高森さんのさっきの試合を見た感じ、左利きのシェークのフォアが裏、バックが表の前陣速攻型だ。台の近くでピッチの速いの球を放ってくる。乗せると恐ろしいことになりそうだ。初めて戦うタイプだし、試合の中でなんとか慣れていこう。

試合が始まる。先手を取らせないように短いぶちギレの下回転サーブを主体として時折ロングサーブを混ぜて組み立てる。さすがに攻め込めないのかストップで返ってくる。そこからフリックで先手を取りに行くが、半端なスピードだと、逆に強打されて主導権を握られる。ドライブもフォア側へ打つと、カウンターされて、こっちがいっぱいいっぱいになってしまう。強い。バックを上手く突くのと、ミドルも効果的に突いて、あと深い所も突いて下がらせるようにやってみる。

一ゲーム目7-11、二ゲーム目11-8、三ゲーム目13-11、四ゲーム目10-12。一進一退の攻防だ。

五ゲーム目、8-9まで来た。一点リードされた状況だ。

高森さんのサーブ、バックにスピードのあるロングサーブが来る。意識から少し抜けていた分反応が遅れてしまい、バックに返すだけの球になってしまう。まずい。このパターン、フォアが空いてるしクロス強打が来る。バチン!バックの強打でクロスにスピードボールが飛んでくる。読んでたぜ!カウンターをストレートに放つ。


「よーーよーよー!」


追い付いた!今度は先にリードだ!

俺のサーブ、お返しにスピードのあるナックルロングサーブをバックに出す。高森さんは予想してなかったのか返すだけの球になる。ミドルに飛んできた球はチャンスボールだ。逆モーションでドライブをフォアに放つ。


「よーーよーよー!」


あと一点。考えろ、考えろ。・・・よし。

俺はもう一度ナックルロングサーブをバックに出した。高森さんはこの場面で2度続けてロングサーブが来るとは思ってなかったようでまたチャンスボールがバックに飛んでくる。高森さんは少し下がり、少しフォア寄りに構えた。俺はバックを突いた。ブロックされるが球が高い。続けてバックにドライブ。高森さんも必死に返す。バックに寄せた分フォアががら空きだ。あえて体を開き、フォア狙いに見せかける。高森さんがフォアに動いた、今だ!もう一度バックを突いたドライブは高森さんの逆を完全に突いた。

やった、やった!嬉しさのあまり両手を上げ、拳を握り締める。これで全国だ。おっと、その前に。


「ありがとうございました。」


高森さんと試合後の握手をする。次は第2シードの青戸さんだ。カットマンも経験が少ないけど、ここまで来たらやりきるだけだ。さあ次の準備をしよう。

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