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――九回目のデートはママ達こと、ハーレムのお姉さん達とのお茶会だった。細身の身体にユサユサと揺れる豊かな胸をしたお姉さん達を見て、わたしは密かに胸を大きくして対抗した。透き通るような白い肌の人もいれば、褐色の弾けるような肌の人もいた。エウリュアレさんのように変わった特色を持っている人もいたが、みんなとても美人だった。
芝生に広げられた黒い布の敷物の上で、わたしの膝枕にルシファ様が横たわっていた。十数人のママ達が輪になって座り、全員の顔が見える。
「ねえルシファ様、ママ達といる時くらいサッちゃんから離れてよ。こっちへきて膝枕をさせて?」
褐色のママが言うと、ルシファ様は起き上がって膝枕を替えた。
「次はわたしよ?」
「じゃあ、あたしはその次ね」
ママ達にひっぱりだこにされて、ルシファ様はだらしない笑顔で甘えていた。
「お姉様達は将来、みんなルシファ様のお嫁さんになるの?」
「そうなればいいけどね、最高の夢魔サキュバス様を連れてこられたら、わたし達の出る幕はないかもしれないわ」
胸に大きな貝のブラジャーをした色白のママがそう答えた。
「そんなことないわ。みんなとっても美人だもの。わたしなんかよりずっと」
「なにを言ってるのよ。自信を持って。そうじゃないとわたし達も張り合いがないわ」
「ありがとう、お姉様達に負けないように頑張るわ」
「あら、余計なことを言ってしまったかしら。サッちゃんに火をつけてしまったみたい」
「ルシファ様は他の貴族さん達みたいに大勢のお嫁さんをもらわないの?」
猫の耳としっぽが生えたママが答えた。ようやく順番がきて、彼女がルシファ様を膝枕している。
「僕ちゃんはママ達がいなくなってもサッちゃん一人で十分なのよね~?」
「そうだよ、本当はずっと一緒にいたいけど、ママ達だって自分だけを見てくれるダーリンがいいんだろ? だから我慢するよ。大好きなママ達に幸せになってもらいたいからね。俺はサッちゃんだけのダーリンになるんだ」
「あたし一人のダーリンでもいいのよ~? 僕ちゃん」
猫のママの胸にルシファ様の手がのびた。そればかりか、猫のママはルシファ様の顔を胸にぎゅうぎゅう押しつけて抱きしめた。
茶色の髪から二本の角がのびているママが声を上げた。
「だめよ、もうルシファ様も微妙なお年頃なんだから」
「は~い。残念だけどそろそろサッちゃんのところへ戻ってね、僕ちゃん」
猫のママがしぶしぶルシファ様を解放して、ルシファ様はわたしの膝枕に戻ってきた。
「微妙なお年頃だってさ、つまんないな」
ルシファ様の手が胸にのびてくるのを見逃さず、わたしは「めっ!」と手を叩いた。
褐色のママが「ウンウン」とうなずきながら言った。
「その調子よ、サッちゃん。もうちょっと落ち着いた男性になるまで、しっかりおあずけしないと歯止めがきかなくなってしまうわ。わかるわよね?」
フライングは許さない。そんな口調だった。
「お姉様達といると勉強になるわ。でも、わたしがルシファ様のお嫁さんになったら、お姉様達はどうするの?」
「あなたに譲る気はないけど、ルシファ様のお嫁さんが決まったらハーレムは解散よ。でも、ここに選抜されただけでも魔界の女の子の夢だし、お城に残れば素敵な貴族様と知り合う機会も多いのよ。だから、たとえあなたがルシファ様にふられても心配いらないわ。サタン様なんて狙い目だと思うけど、どう? ああいう美男子のほうがサキュバス様にはお似合いだと思うんだけど」
「サタン様の奥様は美人でなくてはいけないと思うわ。お姉様みたいに」
「あなただって十分に美人じゃない。遠慮することないのよ?」
「お姉様の美しさには勝てませんわ」
ルシファ様はわたしのお腹に埋まっていた顔を少し上げて言った。
「喧嘩するくらいならみんなお嫁さんにするから、仲良くしてくれよ」
「喧嘩なんてしてないわよね? サッちゃん?」
「ええ、お姉様」
ルシファ様が急にムクッと起き上がった。
「せっかくみんないるから花火大会をしようか。約束してたよね」
「おぼえててくれたの? 嬉しいわ」
わたしはルシファ様の顔を抱きそうになったが、なんとかこらえた。
「喧嘩したら中止だからな。はい、握手して」




