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31 目指すは幸せな夫婦生活です!

最終話です!

「イリーナお嬢様、とてもお美しいですよ!」

私はリサの言葉で姿見を見た。


そこには真っ白なウェディングドレスを着た美少女、あ、間違えた私が映っていた。

このキツイ顔にはメイクはあまり合わないと思って自由になってからはあまりメイクをしていなかったけどこうやって見ると私に似合うメイクもあったんだな、と思う。

侍女たちが私が着てるドレスに合うように淡いメイクを施してくれたおかげで私はいつもよりきっと柔らかく見えるだろう。

髪も綺麗にふんわりと後ろで纏めていてくれている。


・・・もう悪役っぽく振る舞う必要も無いんだな。


私はもう1度姿見を見てくるん、と回転する。

んー!!前世では着れなかったこのドレス!乙女の夢だー!!


一人で密かにはしゃぎながらも私はリサに「ありがとう」と返した。


「失礼致します、イリーナ様お時間となりました。」

と、返事を返したところでノックがあって案内人が入ってきた。

うぉ、なんか急に緊張してきたぁぁ!



急に自覚が湧いてきた私はふぅ、と一息ついて案内人について行く。


ちなみにアーネストは既に会場の中にいる。

そしてまだ、私の姿を見てない。

なんか、お楽しみはとっておくわみたいな事言われて私は気恥ずかしくて「別にどっちでもいい」なんて可愛くない返事を返してしまった・・・。うう、反省。


「さて、それではイリーナ様。素敵な結婚式を。」

案内人は閉ざされた扉の前まで案内するとそう声をかけてお父様を呼びに行った。


「ど、どうしよう。リサ、ちょっと緊張してきたわ!!」

「わ、私もです!お嬢様!!」

二人でアワアワしていると遠くの方から「イリーナァァァァァァァァァァァァァァ!!!」と声がした。


・・・はぁ。この声は。

私はその時ばかりは緊張を忘れてその声の主を見てゲッソリとした。


「・・・ちっ。お父様、お静かに。式場に聞こえてしまいますわ。」

「え?!イリーナ!今舌打ちしなかった?お父様の前に舌打ちしたよね?!泣くよ?!違う意味で既に泣いちゃうよ?!」


目の前のお父様はその言葉の通り目をうるませてこっちを見る。

「お父様、いい歳したおっさんが目を潤ませないでください。キモイです。」

「イリーナァァァ!」

あーあー、しがみつくな!ドレスが崩れるだろ!!

と言おうとしたものの目を向けた先にいたお父様が意外にまじな顔で泣いてたので私は少し落ち着いた。

「・・・お父様、大丈夫ですよ。結婚が一生の別れではありません。」

「ぐすん、でも・・・。」

おっさんがぐすんとか言うな。なまじ顔がいいだけにちょっと可愛いのムカつくな。おい。


「でももだってもありません。お父様、大丈夫です。今みたいにしがみつかれるのも鼻水ダラダラで泣かれるのも名前を叫ばれるのもとてもキモイとは思いますけど」

「イリーナ?!それ大丈夫じゃないからね?!全力でお父様をディスってきてるからね?!」

「今は黙って最後まで聞いてください。でも、私はそんな気持ち悪いことを嫌いな人にはさせません。」

「・・・へ?」

お父様は呆気に取られた顔をして固まった。

その顔には何を言っているのかわかりません、とかいてある。

もう!分からずや!


「ですから!私はお父様のことが好きなのです!だからお父様が仕事から帰ってきたら必ず会いに行きます!!もう!娘の結婚式くらいかっこよく決めてくださいな!」

くそ、なんでこんな恥ずかしい思いしなきゃいけないんだ!


私は自分の顔が赤くなっているのを自覚しながらポカーンとしているお父様から顔を逸らした。

が、逸らしたかいもなく後ろからすぐに抱きしめられる。

「イリーナ、お父様は・・・、俺は、ダメな父親だ」

お父様の声のトーンが変わったことに気づいた私は息を飲んだ。

「・・・俺はお前と一緒にいてやれなかった。もちろんイリーナのことは本当に大好きだ。帰れる時は帰ってお前のしたいことをできる限り叶えた。・・・だが、お前は寂しかったろう。苦しかったろう、辛かっただろう・・・。」

徐々にお父様の声がまた湿ってくる。

苦しげに罪を告白するかのように喋るお父様は初めて見た。

「お前は俺と会う度、我儘をいっていたがどこかその顔は寂しそうだった。俺はそれが嫌で仕方なかった。・・・ごめんな」

ギュッ、と少し私を抱きしめる腕に力を込めた。

その暖かい感覚に私は安心する。


「はぁ・・・」

私がため息をつくと、どう勘違いしたのかお父様はビクリと少し身体を震わせた。

「本当に、馬鹿だなぁ。・・・馬鹿なお父様。」

私は敬語を取り払って笑った。

「私はたしかに寂しかったよ。お父様が家に帰ってきてもこの人はすぐに出ていってしまうんだろうなって思ってた。」

オートモードの時も、私自身イリーナの事については他人事だったはずなのに少し悲しくなったし、ゲームとしてのイリーナの感情として勝手に涙が流れてくる日もあった。

きっと、ゲームでのイリーナも私と同じで寂しかったんだろう。


「でも、私お父様が来る日を待ち望んでた。寂しさと一緒にあぁ、楽しかったな。また会いたいなって思ってたよ。正直、お父様が仕事を無理して私に会いに来てくれてたのを気づいてた。でも、私は毎回、くまを作って帰ってくるお父様に無理しなくていいよって言えなかった。」


これはゲームのイリーナの考えでもあり、そして今の私の思いでもある。

正直、自由になってからはお父様には会いたくなかった。

・・・会いたくなかった、はずだったのにニコラスからお父様が帰ってくると聞いた時、面倒臭いことになったなという思いとともに何故か嬉しさがこみ上げてきていた。

気持ちに嘘はつけないなんて、よく言ったものだ。


「お父様、私もダメな娘だよ。お父様が無理してるのにそれを見て見ぬ振りしていたんだもの。ねぇ、これからはもっといい娘になるから、だからそんな事で泣かないで?自分を責めないで?」

私は抱きしめられていた身体を反対側に向き直す。

私がもぞもぞと動いているのに気づいたお父様は途中で腕を緩めてくれる。

向き直るとお父様の目は真っ赤になっていた。まったく、本当にイケメンが台無しだ。


「娘の結婚式なんですよ?さっきも言ったじゃないですか。娘の結婚式くらいかっこよく決めてください、そして、笑って。」

そう言いながらお父様の涙を拭う。

「うん、うん・・・!」

子供のようにこくこく頷くとお父様は自分で涙を拭ってそれから素敵な笑顔で「いこうか」と私に自分の腕を差し出した。私はそれに返事をしてお父様の腕に手をかけた。


少しずつ扉が開いて、開いた先には沢山の友達と、純白のタキシード姿のアーネストがいた。


お父様と一歩踏み出して、そして―――。




◇◆◇


アーネストの元まで行くとアーネストはびっくりしたようにこっちを見ていた。

「・・・思ってたよりずっと可愛かった」

私は気恥ずかしくて「当たり前でしょ」なんて茶化した。



神の前で愛を誓って私達の距離はゼロになる。

唇に当たる柔らかい感触に少しドキドキしながら私は唇を離した。

「ふっ、ファーストキスが結婚式とか・・・」

私が呟くとアーネストは不満げに口をとんがらせた。

「なんだよ、ロマンチックでいいだろ」

「ふふ、そうだね」

久しぶりに私がアーネストより優位に立てたぞ、なんて調子に乗っていられたのもほんの数秒のことだった。

アーネストはそんな私を見てニヤリと笑った。

「まぁ、もっとすごいことしてやるけどな」

「なっ・・・!」

か、かかか神の前で下ネタ言うやつがあるかっ!



まぁ、そんなこともあったけどとっても素敵な結婚式だった。



その後、外に出ると雲一つない綺麗な空が広がっていた。

心地よい風が吹く。


「イリーナ」

結局式の途中からずっと鼻水を垂らして泣いていたお父様をやっと慰め終えて挨拶回りに行こうとした時、ハルロド様から声をかけられた。

「ハルロド様!」

「結婚おめでとう。とても綺麗だ。」

「あ、ありがとうございます」

最近は公務で忙しくて会う機会がなかったけど久しぶりに会ったハルロド様はやっぱりthe王子様だった。


「アーネストに愛想が尽きたら俺のとこに来い」

耳元で囁かれた私は一瞬言葉が理解出来なくて固まった。

そんな私を見てハルロド様は楽しそうに「くっくっ」と笑う。

そう言えば最近のハルロド様はよく笑う。いつの間にか眉間のシワもなくなっていた。


・・・いや、そんなことより。笑えないっすよ、元婚約者様。

「まったく・・・」

なんて言いながら私もしっかり笑ってるんだけど。


二人で笑っているとルイス様とレイ様もこちらに近づいてきた。

「結婚おめでとう、イリーナちゃん!ふふ、これから大変だね」

「その、なんだ、末永く、幸せに・・・」

相変わらずのふたりを見て私は安心しながら「ありがとうございます」と言葉を返す。あ、でもレイ様、これから大変だねってなんだい?その意味深な笑みはなんだい?


「おー、随分化けたな。」

「あら、ザハール先生!」

レイ様の言葉の意味を考えていると失礼な言葉が聞こえてきた。そっちを向くといつもと違ってピシッと決めたザハール先生がいた。

「ふっ、なんだか先生って呼ばれるのもあと少しだと思うと感慨深いな。」

ザハール先生の呟きに私はそうか、もう少しか、なんてことを考える。

実はザハール先生はあと数ヵ月後に学園をやめることになった。というのもザハール先生にはやりたいことがあってずっと迷っていたけどそのやりたいことをやれるだけやってみたいそうで先日辞表を出したそうだ。

「学園をやめてもたまには会いましょうね」

「お、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか」

そーだな、と嬉しそうに返事をしたザハール先生は私の頭を撫でようとして「おっと、今日はできねぇな」なんて言ってまた笑った。

今日はみんな笑顔が多い。勿論、私も。


「本当に、とても綺麗ですよ。お嬢様」

その声に振り返ればそこにはニコラスがいた。

「あら、ありがとう。」

いつも一緒にいるニコラスにそんなことを言われ私は、はにかむ。

と、ニコラスは眩しそうに目を細めたあと少し私に近づいて耳元に顔を寄せる。ん・・・?このパターン・・・


「お嬢様、不倫って知ってますか?」

「え?」

急いでニコラスの顔を見るもニコラスの顔は意地悪く笑ってるだけだ。

「え、は、え?」

「あの男が嫌になったらしましょうね」

とってもいい笑顔で言われました。


・・・いや、しないからね?!!どいつもこいつも私をなんだと思ってるのよ?!

「そうだよ!イリーナちゃんは僕と結婚するもんね!」

・・・え、いや、まてよ?え、この声は?え、え?


混乱しながらもギギギと首を横に向けるとそこにはいつの間にか神様が立っていた。


「・・・・・・いやいやいやいやいや!!何でここにいるんですか?!っていうか、勝手に心読まないでください!」

「だってぇ〜、イリーナちゃんの花嫁姿見たかったんだもん」

そういう神様の姿はいつもの衣ではなく礼装をしていてぴしりと決められていた。

「っていうか!!私さっき神に愛を誓ったんですけど?!何でよりによって神様と私が結婚するんですか!」

「ふふ、すぐに別れる呪いをかけてやる」

「なんで?!」

「え、神様それは本当ですか?!」

なんで、ニコラスそこに食いつくのぉぉぉ?!!


その後、そこにアーネストが帰ってきてニコラスと睨み合いを始めたり、その隙にハルロド様が「やっぱり俺のところに来るか?」なんて滅多に言わない冗談を言ってきたり、神様がまた空気を読まずに色々やらかしてアーネストに天界に強制送還させられそうになったり・・・、まぁ、色々、いや、本当に色々あったよ。うん。


まぁ、色々あったけど!っていうか、きっとこれからも色々あるんだろうけど!!


これから目指すは幸せな夫婦生活です!!



END


ここまで拙い私の文章にお付き合いしてくださった読者の皆様、ありがとうございました!

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