第1部 第30 品評会
「メゾン・ド・リュミエレル社も、このアリアンブル王国に支店を構えているから、代表として私が選ばれたの。――つまり、どういうことだかわかる?」
え?どういう事なんだろう???
「なるほど……つまり、リップスティックの調香コンペは、いわば“テスト”だったのですね?」
「え?テストですか???」
僕はよくわからなかった。
「ご明答。あなたのこの工房…クロウ・ラボラトリーズを、来年開催予定の王家香水品評会の出店者として推薦するわ」
「え…えええええ〜!!!」
僕は思わず大きな声で叫んでしまった。
「だから、最初に来たときに視察半分と言っていたのですね。つまり来年開催予定の品評会は、アウラトル公爵の城で開催されると」
なんだってぇ〜!!?
「あなたって、感が鋭いのね。ええ、その通りよ。来年は国王夫妻の成婚30周年記念でもあるから、今のうちにしっかりレシピを練っておいてね」
「M・D・R との契約だけでもすごい事なのに、まさかうちの工房が王家主催の品評会に推薦されるとは、とんだ爆弾発言で、私も少々頭が混乱してますよ」
師匠は、そう言いながらも表情は嬉しそうだった。
「では、私はこれで失礼するわ。お茶、ごちそうさまでした」
「お気をつけて」
こうして、師匠は、世界的超ハイブランドのメゾン・ド・リュミエレル社のリップスティックの調香師として契約を交わし、クロウ・ラボラトリーズとしては、来年開催予定の王家主催の香水品評会に推薦され、出品することが決まった。
「さあ、ジョン。来年の品評会に向けて、さらに研鑽を積むよ」
「はい、師匠!!」
僕と師匠は来年の品評会に向けて、さらなる研究を重ねることとなった。
そして、このときは気づかなかった。
花屋ルミエール・フルールに届いたヒヤシンスの意味。
ローデリア社が狙っているという幻の古代の花。
そして、僕のこの赤い月の呪い。
これらには、すべて意味があったことに…。
僕がそれに気づき、知るのは、ずっと先のことになるのだった。
〜第1部エピローグへと続く〜




