第1部 第23話 秘匿事項
シェーンさんは、N・I・A のリチャードさんを、みんなで寛いでいるリビングへと案内した。
「お寛ぎ中、申し訳ない」
「いえ、先程、警察署でジュリアンの聴取は聞かせて頂きました」
「なぜ、あなたが来たら僕達は退出させられたんですか?」
僕は少し食い気味にリチャードさんに言った。
「…君たちも聞いた通り、彼の問題は非常に複雑でね。なので、この件はN・I・A で管轄する事になった」
「…例のローデリア社の第三夫人の件…ですね」
師匠は、スチュワートさんに真剣な表情でそう言った。
「お察しの通りだ。彼が第三夫人の実子である以上、彼自身に危害が及ぶかもしれん。なのでしばらく彼は、我々の管轄で保護する事にした」
「…保護?妹さんはどうなるんですか?確か、春に公演予定のミュージカルに出演するとかって言ってましたけど…」
僕はリチャードさんに疑問をぶつけた。
「彼女の件は、彼にも言われてね。なのでしばらくは彼女も保護の対象となる。まあ、兄のジュリアンのほうはしばらくこちらで身柄を拘束するがな」
……ジュリアン…
「心配するな。彼のことは悪いようにはしない。それとクロウ氏」
「はい、なんでしょう?」
「ジュリアンから手紙を預かった。クロウ氏に渡してほしいと」
「手紙ですか?」
師匠は、リチャードさんから手紙を受け取った。
「たぶん、あなたの事だから、弁護士をすでに依頼してるとは思うが、正直あまり期待はしないほうが良いだろう」
師匠は静かに目を閉じてこう言った。
「ええ、わかってます。相手はあのローデリア社。裏で警察と繋がっている以上、こちらの言い分は揉み消すか、せいぜい示談止まりでしょうね」
「そんな…!!なんでですか!?なんで公権力側の人間が、民間企業に手を出せないんですか!?」
僕は、また感情的にリチャードさんに疑問をぶつけてしまった。
「…警察は…ローデリア社に多額の寄付を受け取っている…」
「寄付!?寄付ってだけで、ローデリア社に好き放題やらせているんですか!?公権力側の人間なのに!?僕達と違って力があるのにっ!!」
僕は悔しさに声を震わせながら、リチャードさんに食ってかかった。
「ジョンっ!!」
…!!
しまった、感情的になりすぎて師匠に怒られてしまった。
「いや、いいんだ。君の疑問はもっともだ。表向きは寄付だが、実際は裏金を握らせている。だが、そんなのはまだかわいいほうかもしれない…」
「どういう事ですか?」
師匠は、リチャードさんに尋ねた。
「…すまんが、これ以上は国家の秘匿事項だ。だが、これだけは言っておこう。我々は、このままローデリア社に好きにはさせないために動いていると…な…」
………
「…わかりました」




