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世に知れ渡る。


ーーーーーー

ごきげんよう。ご無沙汰です。セイです。

しばらく、人を殺してしまった事からまだショックが抜けません。ボーッとしてしまいます。

前世の最後を思い出してしまったこともさらにショックが重なったのだと...

敵を倒し、子供達、皆んなも無事だと言う結果が自身の行いを肯定してくれているが…

やはり殺したということの衝撃を受けた感情は制御できず…


両親に嫌な思い出が蘇ったこと、人を殺したことがショックだったことを伝えた。父はおどおどしていたが母は、私に


「セイちゃん。確かにあなたは人を殺した。このことは事実よ。

ただね、この子達のことを守り抜いた。

そして自分の身も、モチのこと、ピノのことも守り抜いたのよ。それも変わらない事実なの。

人を殺すことを良いとは言わないわ。

ただ何のために、何を守り抜いたか。その先に何が残ったのか。今ある事をしっかり見つめることが大事よ。

今回あなたは、あなたを含めた子供たち数十人の未来を守ったの。そして今後、同じことが起こらないようにこれから私たちで黒幕を捕まえる。

あなたのした事は、その役に立ったのよ。

それだけは忘れないでね。」



と声をかけてくれた。

人を殺したことはやはり正解でもないし、

あの状況では不正解でもない。

正解はない。


…この世界では命が軽いことを改めて自覚した。


まずは、血だね。トラウマ克服が優先だ。

クヨクヨしている暇はないな。




「おう。セイ。大丈夫そうか??」兄が心配してきた。そう言えばずーっと心配してこちらをチラチラ伺っていた。


…強くならなきゃな。心配させてしまった。


「うん!

…お兄ちゃん。私頑張る、強くなるよ!」


「ははっ!

そうか、俺も頑張らないとな!」


『ぼくも!』

『キュッ!ピノもなの!』

みんな頑張ると息巻いている。嬉しいな。

しばらくの間クヨクヨしていたが、もう大丈夫そうだ。頑張ろう。

ーーー

しばらく私がぼーっとしていた間にあったこと


父と母は辺境伯と話した結果、子供達はすぐに屋敷で匿って面倒を見るとのことだったので転移魔法でまとめて屋敷に送ったという。私達の記憶は曖昧にしたらしい。ロイドくんとは兄が秘密を守るように話し、また近いうちに会いに行くと約束した。

また、孤児院についてはすぐに調査が行われた。

再度父が伯爵と連絡を取った頃には調査が終わり、関わりのある人は全て牢屋行き。

ほぼ職員が居なくなってしまったため、暫くは伯爵が経営と運営を行なっていくらしい。余談だがついでに領内の孤児院を一掃するらしく、伯爵は奮闘中らしい。


一方、黒龍はというと敵を倒したことに満足したらしく、後の調査は両親に任せるとのこと。子供達をよろしく、としばらくの間ゴウとピノと離れることを決めたようだ。

子離れにしては速すぎるが何事も勉強だという。なんだか仙人と話しているような気分になる。だが呪いに関してはもっと知りたいらしく、資料の内容に目を通し研究を始めるという。

…文字も読めるし人化も可能なため呪いに関する資料の解読は可能らしい。有能だな…。


黒龍については伯爵と父が連携して内密にしておくことに決まった。呪いの集団についてもまだ公害せず黒幕を取り押さえたら国に報告するらしい。



そして現在、子供達を伯爵邸へ送り終わり三日後。三日間は資料の解読と、まとめ作業。


兄と私は子供らしからぬ社会人の動きで書類をまとめ上げた。


「社長。こちら、資料をまとめていますのでご覧ください。」兄

「こちら、煎茶です。(ただの水)」私

「社長、この後の予定は...」母


「あぁ...うん。楽しそうだな。」父、遠い目。


母の命令でスーツ姿に似せた服装を着て作業をした。


ちなみにモチとピノは富豪のペットという役割で

『くるしゅうない。』という言葉を母に覚えさせられ楽しそうにその言葉を連呼している。


...リゲルは父に同情し父の頭を撫でて慰めている。


___


3日間を経て黒幕がわかった。

黒幕は宗教国家バルー。小さな国だが各国警戒している国でもある。

両親も顔を顰める国らしい。

国民はほぼ居なく、組織のような国だという。

女神を信仰し、聖女である母に目をつけているという。


…え?私?ええ、もちろん察しました。

十中八九存在がバレたら狙わねます。

本格的に男装しようかな、とつぶやいたら母がぎらついた目でこちらを見てきた。

...うん。お手柔らかにお願いします。。。


この国家は勇者への信仰も強く、女神からの使者と言うことで父への勧誘も凄かったという。

彼らは直接両親に何かしてくるというのは無かったが、母の家族がもし一般の庶民や下位の貴族出身であれば家族を囮にし脅迫してくる可能性もある程過激であるという。現に子供達を連れ去り非道な行いを実験と称して行なっていたのだ。真っ当な奴らでは無いことは確かだ。



資料を読み漁った結果分かった事、


同じような呪いの研究を進めている拠点が後3箇所程存在しているという。

そして目的は大きくまとめて3つ。近隣諸国の弱体化、人間・魔物の強化、生物を従わせる術を完成させることの様だ。それに関連する資料がいくつもある。


資料は随分と古びたものもあり、何年に渡って研究を秘密裏に進めてきたのか、どれだけの人、生物が犠牲になってきたのかが伝わってきた。


計画としては拠点を殲滅後、宗教国家の内部へ潜入し目的を確かめるとのこと。目的次第でその後の対処を決めるそうだ。

今回は被害が最小で済み、黒龍が暴走するという大規模な事態には陥らなかったが、今後他の地域で同じようなことを企んでいる可能がある。


明日、私たち家族はここから一番近いところから順に調査を行う。計画では各拠点につき1週間。今回の様に囚われた人や奴隷の紋によって操られていた人達がいた場合、保護しなければいけない。敵を殲滅から、人々の保護を含めて1週間を見ている。


各拠点は3日間のスパンで移動が可能な距離にそれぞれ点在する。1か月程度で全て殲滅できるだろう。



「セイちゃん!おいで!この服を着て頂戴!」

「お...お母さん。うん。」目線で兄に助けを求めるがフイッと目をそらされる。

父にも目線で助けを求めるが、首を振って諦めろと言われる。


そう。まさに今、私は僕になろうとしているのだ。

魔法で変身するネックレスを身に着け、兄のお下がりを着る。チェックの品の良いズボンに半そでシャツ。今回は髪型だけ短くした変装だ。

声もそのまま。名前もそのまま。


「おお。弟よ。俺の事は兄貴ッと呼びな!」おい。ノリノリじゃねえか。

「セイ...なあ母さん。この姿でも逆に目立ってあぶないような...」と父。

いや本当に。こんな可愛いショタがいていいのだろうか。兄と私。狙われるぞ?主に変態達に。


「ちょっと想像以上の存在感ね…2人が並ぶと辺りにキラキラフィルターがかかるわ。

でも私たちの子供に女の子がいるとばれると何かと厄介だと思うのよ。ギルマスと辺境伯ご家族達にはばれちゃったけど今から対策しておくのも悪くないと思うの。」

母よ。自覚してくれ。あなたの周りにはキラキラよりも眩しい後光並みの眩しいフィルターが掛かっている事を。


「お母さん。でも可愛いのも身に着けたい...」そうなのだ。私は女の子なのだ。

「うーんそうよね。じゃあ!」


兄と私はうさ耳ポンチョを着せられおそろいに。

恥ずかしがる兄と、可愛いものにノリノリな弟。という中々良い組み合わせの兄弟が爆誕した。


「推せるわ...推せる!!!」母は胸に手を当て地面に向かって叫んでいる。

「う...かわいい。おいで...」何故か父は兄と私をそっと抱きしめてくる。


「なあセイ。なんかある意味おれら魔性じゃないか?アイドル的な...」

「ファンサ覚えないとね」


『2人共もふもふ!おそろい!』モチ...純粋で嬉しいよ。君がナンバーワンさ。

『きもちいい...』え?リゲル。いつもクールなリゲルがもふもふにすりついている。

兄はその可愛さにフリーズ。もううさ耳ポンチョは外せないね。

『ピノ...ここ好き...zzz』なん...だと。うさ耳フードの中で寝てしまった。可愛すぎる。


なんだんだここは天国か。


しかし本当は知っている。

こんな事を始めたのは私の緊張をほぐすため。

先日から準備の際も、これから戦闘しにいく事を意識しすぎて眠れず緊張していたのだ。

それをいち早く感じ取ったのは母とピノ。ピノは意識が繋がっていて私の不安な気持ちが伝わっているのだ。そして母は母だから気付いたというべきか。すぐに私の不安を感じ取ったようだ。


温かい気持ちになる。

こんな家族が大好きだという気持ちになる。


...だからこそ強くならなければいけない。頑張らないと。


「お母さん、、みんな。心配してくれてありがとう。私、がんばるから」


「ふふ。その意気ね。」

「さすが俺の妹だ!がんばれよ!」

「セイ。辛いだろうがここが踏ん張り時だ。乗り越えるんだ」

決して家族ははじめから無理はするなと言わない。信じてくれる。

だから私も頑張ろうとおもえるんだ。


「はいっ!」


_____


その後、私たちは飛翔で移動・潜入・対戦・保護を続けた。

3拠点全て殲滅。保護した人々はとりあえず各地を納める領主に内密に保護してもらった。


本拠地である宗教国家バルーには父が偽装し乗り込んだ。内部の情報を掴み、ものの3日で誰が指揮していたか、どれだけ黒幕がいたかを掴んだ。どうやら軍事国家、小国含め多くの国の貴族も支援をしていたことが分かった。支援をしていた側は支援の見返りとして、強化された孤児、生物を受け取り生物兵器として受け取っていたことも分かった。父は国単位で支援していた軍事国家に人を手配し連れ去られた孤児を保護。

独自に支援していた貴族に関してはその国のトップへ連絡し事を治めてもらったという。

どうやら父には多くの部下が各地に冒険者として存在しているという。

こういった緊急で広範囲の自体には連絡し連携を取って行動する事が多いらしい。

...知らなかった。だが前世で父がバリバリ働いて部下と連絡を取り合っていた事を思い出し、相変わらず社畜こじらせてるなと感じた。


敵地殲滅の際は、私も兄も応戦した。その間何人も人を殺めた。何度も心がすさんだ。

しかし、徐々に心への抵抗はなくなった。残酷な話だ。自分自身が一番驚いている。前回と違う事は、守らなければならないという気持ちが強くなっていた事だ。場数を踏み、守り抜いた結果が私の心を強くしてくれた、正当化してくれた。

今はこれでいい。徐々に、慣れていこう。


今回の黒龍の件は勇者が魔物退治の延長で行ったことだと各国に情報を流した。

黒幕である宗教国家の行ったことは誘拐・人体実験・虐殺と各国の紙面で大きく取り上げられていた。呪いの魔法など、黒龍までも呪ったという事は私たちと辺境伯のみの情報として留めた。そして辺境伯と私たちは秘密裏に呪いに関して解呪方法などの情報を共有し今後同じことが起きた時に対応できるよう研究を共に行うことを決めた。もちろん黒龍も一緒にだ。


今回の騒動で宗教国家は重要な拠点をすべて奪われ戦力をなくした。援助も無くなった。


宗教国家の一件が世間をざわつかせた1ヵ月後、更に世間を驚愕にさせた内容がある。




ー勇者と聖女の間には2人の子供がいるー




ついに世の中へ、私たちの存在が知れ渡った。




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