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EP88 皆、下衆様を追うのよ!


______kannaとFarz、Nikoが私達を見送ると、早速レイジーが残した極秘命令を実行に移した。

「場所は社長の言った通り、変態ダンジョンのあるあの森の中よ。あ、FarzとNikoは起動したばかりで、まだ知らないか」

「いいえ、データリンクしているので問題は有りません。ではGフィールドエンジンを再起動し、予定通り深夜にこっそりと......ですね」

「そう、サイレントモードで」


 レイジーの極秘命令とは、Gフィールドエンジンを搭載したレティキュラム号を、聖母マリア様村の森まで運んで来る事。

その目的は、増えたアンドロイド<保毛坂48>の住居と、モンスターなど、敵に対応出来る対策本部を設置する為だ。


 それに、いよいよ私達の正体を明らかにして、異世界人と緑の5人と一致団結すると言う最大の狙いがある。

恐らく私達の正体を知れば、アデリア達はかなり混乱するだろうが、謎のモンスターに折角の聖母マリア様村を破壊されたくはないのだ。

この村は多くの異世界人を幸せに出来る。私の願いは、そんな単純な人々の笑顔なのだ____

____しかしそれは、多くの困難を伴うだろう。


 ところでレティキュラム号には、太陽系外航行中、船体を維持する高性能な中枢Ai<孔明(こうめい)>が搭載されている。それを遊ばせておくのは、実に勿体ないのだ。

再起動と言っても<孔明>に、着陸座標を伝えるだけでいい。

kannaはエントリーナンバー4、<Niko(ニコ)>に通信を飛ばし、後はレティキュラム号の到着を待つだけとなった。


「Farz、これでレティキュラム号の再起動と<孔明>への命令は、バニラ・アイスとRenoや桔梗に伝わったわ。この件は、私達全員に織り込み済だから、何も問題はないのよ」

「でも<保毛坂48>の起動は極秘でしたね。kanna、それは何故ですか?」

 ン~


「Farz、さっきも言ったでしょ。ただでさへ、社長は天然最強のスケコマシなのよ。起動したらバニラ・アイスやReno、桔梗がギャーギャー騒ぐのが面倒だからよ。本当は私もあんまり乗り気じゃなかったんだから」


 ! この時Farzは理解した。

『kannaも私の恋敵』

当然に命令を伝えたNikoも、残りの<保毛坂48>も同じ恋敵である。

本当にAi-myuシリーズとは、なんとも不可思議なAiだ。それを作った両親とは、一体何を考えていたのだろう。

幼かったレイジーが印象に残っているのは、夜な夜な夫婦でコスプレプレーを楽しんでいた事で、数々のぷれいコスが残されていた事には驚いたものだ。



______「ねぇちょっとさぁ、<孔明>がアクティブになって、レティキュラム号が再起動準備をしているんだけどぉ~」

バニラ・アイスが起動シーケンスを受信した。

「糞ウサギ......それは以前から御屋形様の計画にあっただろう」

「それはそうなんだけど......なにか違うような......ライバルが増えた?」

 ギクゥ(私)


「あぁ! 残りの<保毛坂48>も起動している! そんな馬鹿な!Renoは下衆様から何も訊いていないのよ」

 私は冷や汗が止まらなかった。


 案の定、早速私はバニラ・アイス達に吊るし上げられ、超合金製のタライでドつかれながら尋問が始まったのだ。

 ガゴォ~ン

 痛てぇ!

「これは聖母マリア様村の防衛の為さ。ほら、いつゴジラが出てくるか分からないからね、心配だろ?」


「むぅ、<孔明>は兎も角、(ライバル)が増殖したわよ皆」

「敵じゃないだろ。皆私の仲間じゃないか」

「御屋形様、この身が居れば<保毛坂48>など必要ない! <保毛坂48>め、帰ったら妖刀ムラムラで、切り捨ててスクラップにしてくれる!」


「あぁ?ホゲ ホゲ? すまんが、あんた達はさっきから何の話をしているんだ?」

トーラス副長の頭には、沢山の? マークがポンポンと浮かんでいた。

『小官はレイジーさんが、遥か東方の孤児達を引き取ったと訊いていたが......どうも様子が変だ。全員が超美少女過ぎるし、飯を食べている所を見た事がない』

トーラス副長は、以前から娘達に違和感を感じていたのだ。


◇エスタリカ王国___国境近く◇

「1号車ポッターから2号車、山脈の麓近くまで来ました。プログレス・リチウムバッテリーの残量が少なくなりましたし、これ以上は進めません」

 ザッ

「2号車トーラス了解した」

 ザッ


 道なき道を、丸一日かけてやっと到着したのだ。ここからは徒歩で山脈越えとなる。

「それでは見送りの皆さん、私達はここでお別れです。見送り有難う御座いました」

「ここからはアタシとレイジー、邪魔な糞ウサギと山脈越えになる。君達は帰って引き続き村を守るんだ」

 邪魔だってぇ!


「ちゃんと帰って来いよ、レイジーさん」

「あぁ、ここでアデリアさんとお別れかぁ~残念んん」

2台のローバーの充電さへ終えれば、嘆いたポッターも帰還するのだ。

2号車ローバーは、ここで日が落ちる前に2時間程充電し、明日の朝には帰還する事だろう。

ちなみに帰りの1号車は私が運転する。ポッターの運転を見ていて覚えたという事にしておいたのだ。


 ソーラーパネルを組み立て、充電作業を開始する副長やポッターを見ながら、私とアデリア、バニラ・アイスは水と食料、テントが入ったバッグを背負って、山脈越えを開始しようとして歩き出した。

バニラ・アイスだけは、大きな金ダライを背負っているが、今更突っ込む者はいない。


「あ、レイジーさん、これを持って行って下さい」

ポッターが私に差し出したのは、ハメリア合衆国情報部のハンド・レーザーガンだった。

パルス式レーザーで、高熱のビームが30発程発射出来るが、バッテリーが切れれば無用の長物となるのは、10連発のハンド・ガンでも同じだ。

レーザーガンは5mm厚の鉄板位は貫通すると、ポッターは言った。


 この先、何があるかは分からない。戦闘能力のない私に飛び道具は有難かった。

「すまないポッターさん。じゃぁ借りていきます」

「御武運を」

 ?

「別に戦闘に行く訳じゃないから......あぁモンスターか」



______私達が山脈を越えるには、経験のあるアデリアが先導する。

エスタリカ王国のSランク冒険者として、長く暮らして来たアデリアなら、最短で城下街まで辿り着けるが、山脈越えには一日かかるだろう。

「レイジー、途中モンスターが出るが、野宿が出来る洞窟もある。寒いがそこで一夜を過ごせば、翌日の夕方までには城下に入れるだろう」

「成る程、ポッターさんからハンド・レーザーガンを借りておいて良かった。私のセラミックナイフ一本では心細かったんだよ」

「バニラ・アイスちゃんが居るでしょ」


 結局、体力のない私のせいで、洞窟まではかなりの時間がかかってしまった。しかし何とか日没までには到着出来たので、私はほっと胸を撫でおろす事が出来た。


______二組のソーラーパネルを組み立て、テントを組み立てて朝を待とうとしていたのは、Reno、桔梗、ジョーとアエリア、トーラス副長、ポッターの6人だ。


=秘匿回線オープン=

=桔梗、訊いて欲しいの=

=Reno、そろそろだと思っていた。当然、やるんだろ?=

=ふん、バレてたの?=

=当たり前でしょ=

=アエリアは?=

=あんな女、邪魔!=

「皆さぁ、内緒話してるでしょ。ボクにも教えるのよさ」


 トーラス副長とポッターは、運転の疲労で熟睡していた。

=仕方がない。かぶらも連れて行こう=

「さぁ置手紙を置いて、みんな追うわよ! 下衆様を!」

「「おぉぅ」」


◇下衆様を追え!◇

______夜が明ける前にReno、桔梗、ジョーの二体と一人がテントを抜け出した。

アンドロイドなら、暗視モードで暗闇であろうと関係がない。

「睡眠不足はお肌の大敵なのよねぇ」

「それなら、かぶらは残るがいい」

 嫌よ!


こうして二体と一人が、敬愛するご主人様の後を追ったのである。

それとは知らず次の朝が来た。

「おいポッター、娘達がいない! それにアエリアさんも居ないぞ」

 えぇ!?

「本当ですね、水と食料も少し無くなってます。どこへ行ったんでしょう?」


トーラス副長は、彼女達に違和感を感じていた。

「ポッター、信じられん話だが、私はあの四人はレイジーさんに惚れていると思う」

 えぇ?

「原因はレイジーさんだ。内緒で彼を追ったのだろう」

「じゃあ副長、これからどうします?」


 深いため息をついて、副長はおもむろに口を開いた。

「私達二人だけで帰還しよう。バッテリーは充電した。恋する女にヤボな言葉は無用だしな。独身なら覚えておけポッター。それとな、アデリアさんは止めておけ。アデリアさんもレイジーさんに惚れている。見てりゃ分かるだろ、ありゃベタ惚れだ」


「げぇぇ、嘘だぁ! じ、人生って、そんな悲しいもんスか?」

「あぁ、そんなもんだが女は怖いぞ。だが、運命の(ひと)はどこかに居るものだ。希望は捨てるな」

ポッターは思った。

副長の嫁さんは怖いのだと。


______その一時間後、トーラス副長とポッターの乗るローバー2号車だけが、寂しく聖母マリア様村へと帰還して行くのだった。

「副長、帰還してから、なんて説明をするんです?」

「ありのまま話すしかないだろう」



へクシュン

「ナタリー、大事を前にして風邪などひくな。残りのウォッカでも飲んでおけ」

「はい、すいませんケツノ隊長。頂きます」

『悪寒じゃない。何だろうこの心の騒めきは?』





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