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EP83 王国乗っ取り計画 エスタリカ王国民の希望はどこに


______私達が聖母マリア様村整備をすすめているデルモンド王国の地は、エスタリカ王国の南に位置していて、人口20万人の小王国は比較的温暖で過ごしやすい。

しかし横たわる<魔の森>と呼ばれる大森林と、モンスターが住むと言われるようになった<北の湖>が王国の1/3の面積を占めていて、領土としては魅力がない。


そんな王国の<魔の森>に、Gフィールドエンジンを搭載した私達のレティキュラム号が着陸し、もう一年が経とうとしていた。

少し前と違い、デルモンド王国は平和とは言えなくなった。......突然謎のモンスター、ゴジラの襲撃があったからだ。

デルモンド王国には特にこれはと言う資源もなく、どうして巨大なモンスターが現れたのかは未だに謎だ。


 そのような地に、私は偽聖母マリア様をでっち上げ、デブーラ男爵領の一大観光地へと変貌させようとしている______そしてそれは、ここまでは上手く運んでいた。

反して北のエスタリカ王国は、石油や鉱石資源が豊富で真逆の地。______それ故に、軍事大国へとのし上がる事が出来たのである。



◇ルルシア帝国ダークブラウン達の野望◇

______オランベルク国王には二人の王子が居る___居た。

第二王子のパトゥリックは既に亡くなってしまったが、覇権争いが絶えない貴族社会では、今も何があってもおかしくはない。


パトゥリック______心優しいハンサム王子だった。それ故、国民に人気のあった第二王子。真実は兎も角、国民の間では暗殺されたのだと噂されていた。

気ままに商店街に顔を出す第二王子は、癒しを与えてくれるたった一人の存在だったのである。


 第二王子の死後、王国国民はそんな貴族社会の争いに流されながら、日々を細々と暮らすしかなく、そこに希望の二文字はなくなった。

それでも「いつかまた希望の主が現れる」と何故か人々は信じるしかなかった。


◇◇

 へ、へェクショォン

「どうしたレイジー?」

「レイジー様、お風邪ですか? それなら丁度良いお薬が」

「アエリアさん、ここは付き合いの長いバニラ・アイスちゃんにお任せぇ」

 ゴ~ン

 突然金ダライが直撃し、私は気を失った。

「ショック療法ですぅ。テヘペロ」



______<希望の主>それは淡い願いだったのかもしれない。でなければ人々は絶望の余り、死を選んでしまう住人もいた事だろう。

 現在は第一王子モレータゥラが即位したが、王国自体は以前より貧富の差が大きくなり、全く安泰とは言えなくなってしまった。

そんなエスタリカ王国は、ルルシア帝国軍人の野望の標的となり、更なる悲劇に突入しようとしていたのだ。



◇四将軍の戦力分析◇

______ルルシア帝国のエリートであれば、相手の戦力把握無くして蹂躙を開始するほど愚かではない。

人口50万人、エスタリカ王国の総戦力は60,000人、これに騎獣ワイバーン300匹を擁する武装国家である。

冬季になれば、氷点下の日々が2ヵ月間続き、寒いルルシア帝国の気候に良く似ていた。


 対してルルシア帝国側は5人と、どう考えても戦闘で勝利出来る戦力ではない。

それに心優しい紅一点のナタリー・ダニーキは、戦争など望んではいなかったが、一端、戦争が始まれば傍観者でいられる事など許される筈もないのだ。それが軍人と言うもの。


「それでブルーアよ、有象無象は兎も角、エスタリカ王国が誇る四将軍とは、一体どの程度の者達なのだ?」

エスタリカ王国の情報を知る男、その名はブルーア。闇組織の男らしいが、その実態はよく分かってはいない。


 異世界では斥候、歩兵、騎乗兵、弓兵、魔法攻撃防御部隊、竜騎兵、補助回復魔法部隊、兵站部隊と必要とされる部隊は揃っている。

「それくらいの編成は、軍隊なら常識基本レベルだ。俺が訊きたいのは四将軍の隠された能力なのだ。それを早く教えろ」

ケツノ隊長は、ブルーアの分かり切った話に苛立ちを覚えた。

「まぁそう慌てず、話には順序ってものがあるのです」

「確かにな。ではゆっくり訊かせてもらおうか」


◇エスタリカ王国軍◇

______ブルーアが話し始めたのは、まず四将軍の編成からだ。


◇第一軍団将軍メビウス・フォン・ブラッケン

王国主力打撃軍____主力だけあって32,000の大軍団である。


◇第二軍団将軍グリーガー・ウルトフ

王国槍兵、弓兵、補助打撃軍____主に第一軍団の両翼から補佐する15,000の部隊。


◇第三軍団将軍レイラン・ウイドゥ

王国攻撃魔法、マス防御魔法、ヒーラースペル部隊

一人一人がB+とAランクを誇る7,000の大魔法部隊。

ちなみに女将軍である。


◇第四軍団将軍バーモン・カットラー

ワイバーン300匹を要する6,000の王国空軍部隊。非戦闘時は偵察。戦闘となれば空中から魔法弾の雨を投下する。


これに王国補助部隊が加わる。

兵站、各種補給を主体にした部隊3,000。尤もこの部隊は戦力には数えられていない。しかし防御魔法で守られ、魔法を付与された運搬車両は、現代の軍用トラック並みの機動力がある。決して舐めてはかかれない。


「まぁ戦力としてはこんな所だ」

ブルーアの説明は、ルルシア帝国にとって簡単過ぎた。

「それで四将軍の能力はどうなんだ? ブルーアよ」

 そうですな。

「第一軍団将軍メビウス・フォン・ブラッケンは、極めて戦闘指揮能力が高くその上怪力だ。32,000をスキルでバーサーカーに変える事が出来る為、無敵の第一軍団と言われている。公にされてはいないが、その実力はSランク以上だと言う噂だ」


「......ほう、無敵のSランクか。これは倒し甲斐がある」

「し、しかしですよ」

隊員達4人の不安は隠せず、副長ウラワジミーナは言わずにはいられなかった。


「ケツノ隊長、今訊いたところでは、第一軍団将軍メビウス・フォン・ブラックケンだけでも厄介だと思うが......本当に我々5人だけで倒せるものなのか?」

実際、ルルシア帝国の武器はハンド・レーザーガン、2台の高機動ローバーと搭載したレーザー砲だ。予備燃料から作成する予定の爆弾もあるが、60,000の軍勢を前にすれば余りにも非力である。

奥の手の核ミサイル1発は、使えばエスタリカ王国が放射能で汚染されてしまう。それでは意味が無いのだ。


 隊長アレクセイ・ケツノアナコフは優秀だ。

副長のウラワジミーナ、セルゲイ、ドミトリーも、その手腕は熟知しているが、それは地球だったらの話。勝手の違う異世界でも同じかどうかは、情報が足りず未知な事が多すぎる。


『こんなの無謀過ぎるわ。王国を壊滅する意味がない』

ナタリー・ダニーキは口に出して言いたかったが、そんな事で彼等の考えが変わる訳がないのだ。



______「何も60,000の軍を一度に相手にする必要はないと思わんか? 最初のターゲットは王国補助部隊を殲滅する」

 戦場で兵糧を潰すのは、戦闘を維持出来なくする基本だ。

「なるほど3,000なら可能、兵站部隊がない軍など殲滅し易いし、再編成までには時間がかかるだろう」

ケツノ隊長の作戦は妥当だと、副長ウラワジミーナは納得を示した。


「訓練中の部隊と食糧備蓄庫を爆撃すれば、暫くは戦闘に加わる事は出来ん。ブルーア、貴様にはその場所を詳しく調べて貰おう」

「了解した。いよいよ決行ですな。その程度ならお任せくだされ。それで次なるターゲットは?」

王国補助部隊が潰されたとなると、直ちに各軍団が動き出すだろう。


「第四軍団将軍バーモン・カットラーだ。魔物の空軍は早めに潰しておきたい。我等は飛べんからな」

「しかしですぞ、ワイバーン300と兵士6,000、これは流石に無茶と言うものでは?」


 ワイバーンをレーザー砲で各個撃墜するのだろう。それは余りにも無謀ではないだろうか。

「別に予備燃料から砲弾を作る。同時に専用砲身を作って、ワイバーン300を撃破するのだ。この作戦は、王国補助部隊殲滅と同時に行う奇襲作戦だ。ブルーア、第四軍団の情報も頼む。そして我々が設計したモノを、至急作ってくれ」

「鉄でですか?」

「そうだ」


 5人で砲身を作るのは難しい。そこでケツノが考えたのは、ドイツV1ロケットのようなカタパルト式墳進砲弾だった。

面倒な推進エンジンではなく、これもドイツで考案された※ヴァルター式である。(※制御装置を必要としない爆発推進式。Messerschmitt Me 163 Komet コメートに使われた)

早い話が簡易ミサイルだ。


「......つまり、五人を二手に分けて仕掛けると言う事ですか。しかし極めて危険な戦闘になりましょう。果たしてそれで我々は生きて逃げ切れるものか?」

副長ウラワジミーナだけでなく、セルゲイ、ドミトリー、ナタリーは不安を隠そうとはしなかった。どうせここは異世界。元の地球、ルルシア帝国に戻れないのならと、ケツノ隊長がヤケになったとも思えない。


「その為に発射台と推進砲弾(簡易ミサイル)を作る。そしてブルーアの情報があれば、容易いミッションだと知れ」

「「「はっ!」」」

ケツノ隊長には、敗北の二文字はない。


◆謎の観察者β追撃の一手とは◆

「ふ、ゴジラ程度で何をやっているんだか。こっちはこっちで、異世界を奈落に突き落としてやる。Ai-myuを狙っているのは、※亜細亜周国も同じなのだからな。その為の情報は、α(あいつ)には話してはいないが、既に流してあるのだよ」

(※アジア大陸最大の共産軍時独裁大国)


 亜細亜周国は軍事大国であり、ハメリア合衆国とルルシア帝国のロケットが、月面基地を飛び立った事は知っていた。

ただその確かな情報を掴んでいなかった為に、彼らは追跡を見送ったのだ。当然、火星有人探査ロケットは、月面基地で建造済で出番を待っていた。


「Ai-myuの行方と火星バニシング・ポイント座標は流してある。亜細亜周国のロケットも、遅ればせながら異世界に向かうだろう......α(あいつ)は激怒するだろうが、これはこれで俺の役割なのだ。さぁレイジー、貴様はどうでる? 私が面白くしてやるから楽しみにしていろ」




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