↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/112

EP78 眼福+魔剣、アエリアは何を語るのか


______「レイジー、戻ったぞ」

  「3階層? ふぅ~やっとか。見えないって、なんて不便なんだと よ~くわかったけどアデリア、まだ目隠しが必要?」

「アホかレイジー。あのな、みんなまだ絶賛スッポ中だ」

「あっそ、そうでしたね」

『惚けやがってこのスケコマシが! そんなに見たいなら、いつだってアタシがこっそり見せてやるのに』


 娘達(特にReno)に毎回罵倒され、アデリアにアホだの言われても、私は五体満足な事、異世界でもちゃんと食べて生きていられる事、仲間も次第に増えた事に感謝しているのだ。


「あ~父ちゃんが帰還しましたぞ。では皆の衆、この恥ずかしい主の記念撮影を」

 パシャ

  パシャ

3階層転移魔法陣まで戻ると、私には見えないけれどバニラ・アイス、桔梗、Renoの三体がニヤリと顔を見合わせて待っていた。

 クっ 

  フッ 

   あははっ


「おい娘達、アタシ達がスッポなのがそんなに可笑しいのか?」

「いえいえアデリアさん、予想通りでしたので、つい」

Renoが全員の無事の帰還を確認すると、ジョーのヨロチクビ・カバーで目隠しされた変態主様に視線を移した。

 カシャ

  カシャ

アンドロイド達の高性能瞳カメラが、わざわざシャッター音を付けて撮影していると分かった。

「どうせ後で私を小馬鹿にして笑い者にする気だろう」

 チキショー


「それにしても下衆様、随分とお早いご帰還ですこと。5階層では何かあるとは思いましたが、その見苦しい恰好はやはりでしたね......アデリアさん達を舐め回すように見たのですね! ブスっと穴が開く程見たのですね!」

 うぐっ

『ぐうの音(ね)も出ない』

しかし天才の私は理論武装で反論だ。


「うんにゃRenoのバカ、私をよく見ろ!ちゃんと目隠しされているだろうが」

「下衆様、その目隠しが動かぬ証拠。しっかり大穴が開く程、見たからですね!見たんですね!」

 うっ、チョロッとだけ......。

 私の理論武装はどこへ行ったのだろう? 

 ジトォ~ 

  ジトォ~

「下衆様、帰ったらじっくり、ねっとりと家族会議を開きますから____ご覚悟あそばせ!」

 な......なんでそうなる?


 私達には長かったようでも、それ程時間が経っていなかったらしい。

『5階層での転移中は、時間が経っていなかったのだろうか?』

そんな違和感を感じながら私だけが目隠しをされて、下はジョーの白ビキニを着用して現れたのだけれど、バニラ・アイスがちゃんと替えの服を用意していたのには驚いた。


「コホ、バニラ・アイスちゃんが、アデリアさんとアエリアさん、かぶら(ジョー)の替えを持参してますので......ぷ」

 どんぞ。

『? おかしい、バニラ・アイスがこんな喋り方をする時は!』

 私は何かあると直感した。

 そうか!

 アデリア達が、痛く感激したのは言うまでもない。


「すまんなバニラちゃん。ではっ て、ちょっと待てぇぃ! これは着た覚えのあるモーリンの!」


「へぇ、赤いマイクロ・ビキニでありんすぇ。アエリアさんは黒、かぶらは白でげしたな。モーリンさんが、『もっと刺激がって(主人が)、だから持ってって』と伝言を頂戴したからでありんすぇ」

『今度は花魁言葉が混ざった。バニラ・アイスの奴、どんどん性格が変わっていくぞ。それにしても刺激って?』


「くっ、モーリンの奴! 一体なんのつもりだ」

「ボクだって、こんな布をケチったマイクロ・ビキニなんて嫌なのよさ。これってモーリンさんの趣味?」


これは、モーリンさんの忌々しい悪戯だけれど、それでもスッポよりはマシなのだ。

「あの、ルチアとデリーシャの着替えは?」

 今度はRenoが微笑んだ。

「それはな美少女達よ、二人は若いのです。その眩しく清らかな肉体を、たかがつまらぬ布で隠してどうするのです? その体にはスッポこそ相応しいのですから、若さを誇ればいいのです。ぷ」


「「そんなアホな話はないでしょ! Renoさんってレイジー様並みのAHOだった? 仕方がない、マイクロ・ビキニでもいいから頂戴よ」」


=レイジーチャンネル通信オープン=

=お前達、何を話しているんだ?=

=下衆様はそのままで。これからナイトメア亭に帰還しますので=

主様に色目を使うメス達を、この機会に三体が仕組んだ嫌がらせだった。

『でも......ルチアのスッポを、レイジー様にもっと見て欲しかったかも』

『デリーシャは、ルチアより自信があるのです。この場は私の勝ちね!』



◇都市伝説の魔剣イレイザー◇

______女性達のそんな些細な事よりも、重要なのは手に入れた魔剣なのだ。

アデリアがよろめきながら魔剣を降ろすと、ドスっと重さを感じる音が響いた。


「土産はこの糞重い魔剣が一本。都市伝説の魔剣だろうが、いったいどれ程の威力があるのか.......それも都市伝説の類で誰も知らんのだ」

『異世界にも都市伝説が?』


 都市伝説の魔剣となると、モーリンさんでも初めて見る物だ。その威力に期待が膨らむのは当然だろう。

「それが有ればあの巨大モンスターを倒せるのでしょう?」

「いえモーリンさん、使い方が分からないんじゃ......」

「はぁ宝の持ち腐れですか」


 ルチア、デリーシャも含めて、私以外は全員スッポである事も忘れ、都市伝説の魔剣の使い方について、あれこれ思案を続けていた。

私が思うに見た事もない魔剣を、あれこれ詮索しても結論が出る訳がないのだ。何しろ都市伝説では証拠(データ)が存在しないからだ。


「しかも重すぎて、私達ではこの魔剣を振れないのです」

アエリアの一言はある意味、希望を砕く言葉だった。私達は結果として、魔剣の為にダンジョンに潜ったのだけれど、どうもその伝説に違和感を感じるのだった。


『ラノベの魔剣なら、一振りで山を断つとか? 果たしてこの魔剣もそんな事が可能なのだろうか?』

私は白い目隠しブラをずらし、黒い魔剣をこっそりと見ていた。

「下衆様!、今目隠しをずらしてましたね!」

 ギクぅ


 殆ど露出願望のある女性陣ばかりだったけれど、Renoの目を欺く事が出来ず、私はバニラ・アイスと桔梗に連行され、ドナドナと帰っていく哀れな子羊となった。

「これで下衆様も、少しは反省して頂きたいものです」

魔剣を手に入れたものの、使い方が分からなければ巨大モンスター<ゴジラ>に対処出来ない現状は変わらない。



◇アエリアの過去◇

______ナイトメア亭に戻ると、借りたナイトメア亭のパジャマで着替えを済ませたアデリア達がテーブルに着いた。

ダンジョンから帰還して集まった者達が気になったのだろう。緑の5人も加わって来た。

 ヒュ~


「ボス、あの黒いのは、都市伝説の<魔剣イレイザー>だそうですよ」

「魔剣! それもイレイザー(消しゴム)とはな。 そんな物が異世界に」

ポッターとトーラス副長も、信じられないと言う顔をしていた。

 『そうなるだろうな』


 はぁぁぁ おりゃぁぁ

 魔剣を今は力のあるバイソンの大将が、ブンブンと振り回しているが、それでも両手だ。

「こんなに重くちゃ、俺しか無理だぞアデリア。しかし威力が分からんとはな」

などと言っているけれど、流石に大将はパワーがある。

それを桔梗が覚めた目で見つめていた。

『魔剣だと?......いくら重かろうとこの身なら片手で十分だ』


◇所変われば常識も◇

______「むぅ、もはや私達の理解を超え過ぎている。私は地球の常識が懐かしく思えるぞ」

「いや、小官も同感ですな」

ポッターも副官も、ヤレヤレと匙をとっくに投げだしているのだ。


「では詳しい話を聞かせて貰おうか、アエリア」

 それまで我慢していたバイソンの口調が厳しくなった。

アエリアを見つめる目に、憎しみが混じっているのは重々承知のアエリアである。


 アエリアは全てを話す覚悟は出来ていた。そしてスゥッと息を吸い込んだ。

「私はデルモンド王国に存在する闇ギルド<ディープ・ケイオス>に加わって、二つ名を<サイレント・マーダー>と呼ばれて......」


「それはいい。貴様なぜレイジーを狙った!」

アデリアだけでなく、多くの女性陣がその答えを待っていた。

「闇ギルド<ディープ・ケイオス>から、私を指名した依頼があったのです」


「だから何故レイジーなのだ!」

順に話さないと、結局は最初から話す事になるのはよくある。


「私はその闇ギルドから通常の2倍の依頼料で受けたのです。訊いた話では、私の前に依頼を受けたB+ランクのスペラーが失敗したからだと訊きました。何故レイジー様を狙うのか、その理由は知らないのです」


 冒険者組合のマスターアデリアなら、その理由が分かる。

「依頼人がどこの誰で、どういう理由でターゲットを暗殺するのかなど、闇の執行者には関係のない事だからな。貴様が何も知らないのは本当なんだろうさ」


「ではやはり、あの時の爆炎魔法のスペラーは!」

「はい、面識はないのですが、間違いなく闇世界の住人でしょう」

 やはりか!

バイソン達は薄々分かってはいても、アエリアの言葉で証明された訳だ。


「恨みをかったとしたら、私が考えられるのは、冒険者組合で因縁をつけられたエイプ子爵の執事くらい......でもそんな事でアサシンを差し向けるものでもないだろう?」

「アタシも考えにくいと思うぞレイジー」


 エイプ子爵の評判がすこぶる悪い事は、デルモンド王国の住人なら誰でも承知している。それでも私には信じられないのだ。


「いくらなんでもバイソン、エイプ子爵がそこまではしないだろう」

「そうよな。レイジーは人の役にたっているんだ。暗殺する理由が......いやちょっと待てよ、あるかもしれねぇぞ」


 アデリアは否定的だったのに、バイソンの大将には、何か思い当たる理由があるらしい。


◇レイジー暗殺理由(わけ)◇

______「考えてもみろ。レイジーがここに現れてから、謎の高熱病薬がすぐに出来て、それが安価で馬鹿売れ続けているし、貧しい者にはタダで与えているんだ。それと今まで見向きもされなかったデブーラ男爵領の墓地に、奇跡のお告げ(ジョーのアテレコ)で評判の<聖母マリア様>の出現に合わせて、観光聖地村を興そうとしているからな」


「なるほど。それは十分有り得る話だバイソン」

納得出来る理由に、アデリアは肯定せざるを得ない。

 あぁ私は......

「レイジー様は、そんな慈悲深く高貴な御方だったのですね。それなのに私は、レイジー様を! なんて馬鹿な事をしてしまったの!」


アエリアは、ある目的の為に人を暗殺して来たのだ。今更ながら、自分の過去を後悔しても遅すぎた。


「なるほど、格下のデブーラ男爵の評判が上がれば、子爵の面目が潰れるか......聖母マリア様聖地の存在は、デルモンド国王も関心を寄せていると訊いている」


「そうね、あなた。レイジーさんの薬を作らせず、聖母マリア様村建設の妨害をするには、レイジーさんを亡き者にするのが一番早いと思ったからなのね」


『私が知らなくても、依頼人がエイプ子爵だともう分かっているのね。だとしたら許せないわエイプ子爵!』

アエリアの心に、どうしても許せない存在が______もう一つ出来た。

『これで本当に、本当に最後にしよう。お許し下さい<聖母マリア様>』

アエリアの復讐の決意も知らずにアデリアは、バイソンとモーリンさんの言った事に、確かな理由があったのだと納得したのだ。


◇アエリアの懺悔◇

______「私は......ここで全てを懺悔します。崇高な愛と慈悲の<聖母マリア様>と、私の過ちに気づかせてくれたレイジー様の前で」

 アエリアは、5階層で見た姉と赤子の事を話し始めた。

「私は姉と彼の子を殺され、復讐の為に闇組織に加担したのです」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。