表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/112

EP75 偽聖母マリア様の御利益 ?


◇また狂ったのかレイジー!◇

______「ダンジョンは、<アエリアをずっと待っていたんじゃないか>と私は思うのです」


「「「にゃにぃい!!」」」


 突拍子もなく馬鹿げた私の推理に、意義を唱えるどころか開いた口が塞がらないのだろう。それが本音と言った雰囲気になってしまった。

「ちょっと兄貴ぃ~、流石にそれはぁ......」

カンバッチ型翻訳器を新調したジョーも、これを訊いて翻訳機の故障かと思った程だ。


依怙贔屓(えこひいき)

するとイライラした顔でアデリアが口を開いた。何かとアエリアを庇う私が気に入らないのだ。


「いいかレイジー、あのダンジョンだが、お前の推理は今までは当たっていたと認めよう。しかしこの女、アエリアだけは別だ!」


 4階層で出たモンスターは、高さ3mの<メタル・ゴーレム>と2mの球体状<メルト・スライム>だった。

私にとって、そこから大怪我を負う事無く生還出来た事は、とても有益であり、少しだけダンジョンの謎に触れた気がしたのだ______それ故の推理なのである。


 おい。

「俺にも言わせてもらうぞレイジー、この女はな、てめぇを殺そうとした闇ギルドのアサシンなんだぞ。こいつとダンジョンとは、何の関係もありゃしねぇんだ」

「そ、そうなるのよねぇ」

 モーリンさんも、正論だと感じたのか同意を示した。


 しかし私が言いたいのは、アエリアが元アサシンだった事では無い。


◇自分のケツはアエリアに◇

______「アエリアは呼ばれた。だからダンジョンは、ソロのアエリアを攻撃しなかったと思う。もし5階層をもっと調べていたとしたら、きっと何かが分かったと思う」

しかしそれを私が言うと、アエリアは頭をブンブン振って否定するのだった。


「で、でもレイジー様、5階層はただのフロアで何も無かったの。本当なの信じて」

レイジー様の役にたてない悔しさで、アエリアは涙目になって床に崩れた。

アエリアは詳しく調べ回ったのではなく、軽く歩き回っただけですぐ引き返したのだと言う。

それに北のエスタリカ王国へ逃げる気にもなれず、ただダンジョンの開けた場所で、身を潜めていただけなのだ。

しかし疑問もある。ダンジョンに呼ばれたのなら、アエリアに何かが起きた筈なのである。


「騙されるなレイジー、5階層を調べたいのなら、その女一人で行かせればいいだろうが。お前の言う通りダンジョンが呼んだのなら、また無事に戻って来れるだろうよ! それにな、女の涙に騙されるな。涙は女の最強の武器だぞ」

アデリアは親の仇を見るように、アエリアに向かって吐き捨てた。

 そ、そんな......。


 言い返す言葉のないアエリアは、私を見つめる事しか出来ない。

 ふむ。

『しかしそれはどうかな? 呼ばれたのなら、帰れなくなる可能性もあった』

ダンジョンが無害だという保証はない。アエリアが選ばれた<餌>だとすると、アエリア自身にも何か秘密がある筈なのだ。



「おいレイジー、こんな危険な女は、デルモンド王国騎士団に引き渡せばいいだろう。それともアタシが今、MD(マグナム・ドライヴ)で始末してもいいんだぞ」

アデリアの怒りは、依然として収まってはいなかった。



「いや待ってくれ。アエリアが闇ギルドのアサシンだった事を、この反省会に持ち込むのは止めて欲しいんだ」

「はぅぅ~レイジー様ぁ~」

「また庇うのかレイジー! 貴様はどこまでお人よしなんだ!」

 あらあら。


 余りにも私がアエリアを庇うので、アデリアやバイソンの大将も穏やかではいられない。

「そこまで言うなら、4階層再探索は私とアエリアの二人で行きます! 自分が言い出した以上、その責任(ケツ)はアエリアに____せます」

「ふ か せるのか!」

「レイジー、貴様ぁ!」

「「「このド変態!!!」」」


 爆弾発言とはこの事だろう。アデリアとバイソンの大将ばかりではなく、私の娘達も加わって大反対の大合唱になってしまった。


「貴様、馬鹿かレイジー、お前が行くなら......くそぉ、あたしも連れていけ! この女と潜ると言うのなら、それが最低条件だ」

4階層でスッポンポンにされたばかりでも、アデリアならそう出るとは思っていた。しかし私には確信を持って言える事があるのだ。


 =レイジー通信チャンネル Open=

=我が娘達、あのダンジョンは男とアンドロイドを拒絶する=

=げッそんな事が? 父ちゃんは男じゃないの? なら行けないよね。ケツまでふかせ......るなんて=

=呆れた。正真正銘の下衆様だった=


=kannaはまた留守番 ショボン=

=しかし何を考えているのです下衆様、なんでアンドロイドが=

=だからお前達は皆、留守番決定! 以上!=

=「「「酷い!アンドロイド虐待者!」」」=


挿絵(By みてみん)


 私も一応男なのだけれど、そこは女装して潜るつもりなのだ。この天才的奇策はギリギリまで、誰にも秘密にしておこうと決めていたのだ。


「待って!」

 声を上げたのはルチアとデリーシャだった。


「ルチアは聖魔法が使えるから同行します。それとヒーラーは攻撃認定されないと思います」

「デリーシャは、着替えを持って同行します。今度はビキニじゃなくてちゃんとしたローブとか色々です」


「.......いや待て、そこはもう一品欲しいぞ。ちゃんとした下着も頼む」

 アデリアだった。


『皆、なぜ気が付かない? 持っているなら着替えもきっと......って、げッ、私もスッポになるんだった......あ、踊り場に置いておけばいいのか』


 私はこの際、余計な事を言わない事にした。

『それは眼福もあるからだ』

そうとは知らないデリーシャは思った。

『結局、私ってレイジー様の役に立てない。私も強いスキルが欲しい』

 と


______「あなた、あれは私の......」

「すまねぇモーリン。慌てて俺達二人のプレイ用の......」

 ぱぱぁ ぷれい ってぇ?

皆が、あのビキニはそうだったのかと、ジト目になったのは言うまでもなかった。


「へぇ~そうなんだぁ~ へぇ~」

 デリーシャは、早い話がまた<メルト・スライム>や<メタル・ゴーレム>に服を溶かされると思って、着替えと言ったのだろう。



______恐らく5階層でも、攻撃を食らって怪我を負う事はないと私は思っている。何故なら招かれたアエリアが同行するからだ。

一人で潜らせろと言うアデリアの強硬案は、アデリアが加わる事で自分で放棄した形になった。


「他に意見が無いようでしたら、私とアエリア、アデリアとルチア、デリーシャの5人で再度4階層に潜ります」

 むぅ......しかしだな。


反対意見はもう出ないみたいだ。

「巨大モンスターの襲撃に怯えるよりは、マシか」

 そうね、あなた。


『本当は私も行きたいの......スッポにされてゾクゾク......あの感触が堪らなかったから。あふん♡』


バイソンの大将は、潜るのも止む無しと賛同しているようだ。モーリンが何を想像しているかも知らずに。


◇5+1◇

______『なんでよ! ボクだって行くのよさ。サプライズで。あ、そうそう、ボクも着替えを準備しとかなくっちゃ。やっぱり悩殺ビキニがいいかなぁ』

ジョーは着替えが溶かされる事は、頭にないらしい。



◇緑の5人の未来◇

______「また潜るレイジーは、私達よりよほど度胸がある」

「隊長、我々が何を言おうと役には立たんのです。ここは吉報を待つしかありませんな」


 緑の5人は、地球ならば超優秀な軍人なのだ。しかし異世界では精々が、D+ランク冒険者程度に過ぎない。副長トーラスはそれを言いたかった。

「トーラス副長、皆まで言わなくても分かっている」


 軍人として、男として不甲斐ないと言う顔を崩さない隊長に、私は声を掛けた。それは別に慰めるつもりではない。


「いいえオルガ隊長、私はあなたに力を貸して欲しい相談事があるんです。戻ったら時間を割いてくれませんか? その時は5人全員でお願いします」

 ふむ?


 何かを頼まれるとしても、異世界に来てレイジーを頼っている身では、オルガ隊長がNoと言える訳はない。

「あぁ了解した。なら必ず戻って来いレイジー」

一度決断したら迷いがない軍人は、実に頼もしい存在である。



______話は纏まった。しかし決行日がいきなり明日と言う訳にもいかない。

私は個人的に、もっとアエリア自身から話を訊く為、三日後の朝と考えた。


「今の所、幸いにしてあの巨大モンスター<ゴジラ>の襲撃はない。アレを倒す何かが、ダンジョンに有ればいいのだけれど」


もしアエリアが言う通り、何も無いダンジョンだったとしたら、村の整備計画どころか全てを破壊されて失う結果になる。

「兄貴ぃ、それこそ兄貴が<聖母マリア様>に祈ったらいいのよさ」

 ふふ


 自分がでっち上げた<偽聖母マリア様>に祈るとは、滑稽な話で御利益などある筈がない。

しかし、アエリアが私の暗殺を中断したのは、まさしくその<偽聖母マリア様>の御利益だったのだ。



______「私の心は聖母マリア様に救われました。あの天上の御方こそ、私をレイジー様へと導いた御方。私はもうこの地を離れるつもりは有りません」

 アエリアが心酔するのはレイジーであって、聖母マリア様はその橋渡し的存在である。


 信じる神は違えど、心の在り方を説く存在は、きっと人類を平和な世界へと変えてくれる事だろう。私はそんな世界を、異世界でも求めているのだ。


 最悪、またあの巨大モンスター<ゴジラ>が襲って来たらと思うと、自分は天才なんだと言う自負が、ガラガラと崩れていくだろう。

「今のままでは足りていない」


モーリンさんのAZD(アブソリュート・ゼロドライヴ)を、最大パワーでぶっ放せば、案外ゴジラを倒せるかもしれない。

AZDは諸刃の剣......モーリンさんは、あの時急いで詠唱したから、術式が不完全だったと言っていた。それでも発動したのだから不思議な話である。


 どこの術式を変えれば威力が変わるかなどは、高威力になる程、異世界の誰にも分からない。

訊けばSランクの超級魔法は、師匠からの一子相伝が普通なのだそうだ。

モーリンさんには弟子が居ない以上、AZDはここで途絶える運命と言う事になるだろう。



◇防御シールド◇

「村全体を覆うシールドがあればどうかな?」

 ん?

 私は何か重大な事を忘れていた。

「そうか、アレをこうすれば......その手でいけるじゃないか?!」

こんなヒントをくれたのも、案外<聖母マリア様>の御利益だったのかもしれない。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ