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EP69 変態ダンジョンに喜んで挑みたい変態達 ☆


◇3階層攻略大反省会◇

______反省会を前に、私が訊きたい事はこれだ。


私はアエリアが、どうして10階層までソロで行けたのかを訊かずにはいられない。

こんな大事な事は、本来最初に訊いておく話であって、これは大天才の私でも大いに反省すべき汚点となってしまったからだ。


 そのアエリアが言うには、鋼線(マリオネット・ストリングス)を使わずソロで10階層まで降りたけれど、いつまでも特に何も起きなくて、つまらなくなって探索を止めたと言うのだ。

私達の好物となった<シタケ>は取り放題、<ダンジョン旨鳥>は、ただ徘徊していただけだったと言う。


「両手で簡単に捕まえたの。それが逃げもしないで。こんなのおかしいでしょ?」

「確かに解せない」



______アエリアは、もともと北のエスタリカ王国に逃避する途中、<聖母マリア様>のブローチを偶然拾った。そしてダンジョンに呼ばれたような声を訊き、逃避を中断してダンジョンに潜んでいたからで、もともとダンジョン最下層にある<お宝>に興味はなかった。



「でもスライムやゴブリンは出たのよ。どうしてなのか私にも分からないけれど、私は空気みたいに無視され続けてたの」


挿絵(By みてみん)


  ふ~む

『そうなると、アエリアもチームに入れておいても問題が無かった?』 かな? と私は思うけれど、7人で十分なのと攻撃の予兆で、奴等は金属に反応する。結果的にアエリアを外しておいて良かったのだ。


 ちなみにアンドロイドの娘達は、アダマンタイト生体超合金で出来ている。鉄ではなく生命体に近いので、これも都合が良かったと言えた。


「敵意の無さと、金属の武器が無ければ襲って来ないと言う私、迷探偵江戸川ナンコの推理は当たっていたんだ。それにモンスターは美味い物に夢中になるのです」

「あのレイジー様、その江戸川ナンコって誰なんです?」

そこは気にしないでとばかりに、私は黒ぶち丸眼鏡に手を掛けた。

 ふっ


 そこで、アデリアがポンと手を叩いた。

「成る程、それでデリーシャだったのか! そんな馬鹿げた攻略法をよく思いついたなレイジー! このこの、江戸川ナンコ?!」

 ドス 

 ポス

アデリアの肘鉄が痛いけれど、今のはフレンドリーで優しい肘鉄だ。



「そんな手もあるのか......料理は.....私は苦手なんだ」

料理が不得意な元アサシンのアエリアは、敗北したような顔をしながらも納得するしかなかった。


◇遅れて来た男◇

_____バタム

 はぁ

  はぁ

「おめぇレイジー、どうしてここに居るんだ! なんだ? 全員揃っているじゃねぇかよ! これはどういうこった」


「ふっ、やっと来たか。転移魔法陣はちゃんと使えたんだなバイソン。おまえも帰還出来たって事は......」

「なんだよアデリア、俺が帰ったらいけないみたいな物言いだな?」


 バイソンの大将も私達が攻略したすぐ後だった為、3階層通過者として判断されたからだろうか。

それから長い間、バイソンは私達を探していたのだった。


「俺が3階層までモンスターに無視されたお陰で、すぐ魔法陣に気付いたんだ。魔法陣はダンジョンには大抵出現するから、それで無事だとは思って帰ってみりゃぁ、俺だけおいて行ったのかよ!」


「まあまあ、あなたは無事だったからいいじゃない」

「ムゥ しっくりこねぇな」


 一人で謎ダンジョンから帰還出来るとは、流石に化け物だと感嘆するしかない。


「隊長、やっぱり無事でしたな」

「Sランクだそうだ。どうやったら倒せるのか、副長も知りたいだろう?」

「全くです」

もはや外野の緑の5人も、バイソンの迫力に改めて納得せざるを得ないのである。



______「チキショー おいモーリン、エールだ。大ジョッキでキンキンだぜキンキン」

「はいはい、ご苦労様でしたね、あなた」


挿絵(By みてみん)


モーリンさんがパタパタと厨房に消えると。


 はぁぁ~#%&6'&%%n!

 おぉっ?


 厨房から聞き覚えのあるAZD(アブソリュート・ゼロドライヴ)を放ったような魔法詠唱の声がした。

それやるとエールが、キンキンどころか原子になっちゃうから、冷やし方を間違っていると私は思う。

「厨房でAZDなんか使っていいのか?」


「あのなレイジー、今のは単なる初級冷却魔法<コヒヤ>だぞ。キンキンにするのが<ドヒヤ>だが、威力が弱すぎて生活魔法レベルでしかない」

 あ、解説どうもです。


 親切にも、モーリンさんの冷却魔法を良く知るアデリアが教えてくれた。

『私の心を詠んでます? それになんだか少し優しくなってるような? まさかあのアデリアだぞ』



◇新たな攻略メンバー◇

______「ところで4階層はどうすんだ? また今日のメンバーか?」

思考型変態ダンジョンの攻略には、最下層に<伝説の剣>があるかどうか確認する目的がある。しかしその剣は都市伝説みたいな話でしかない。


「今までにない変わったダンジョンなら、私は攻略すべきだと考えますけど」

 ダンジョンの本当の実態を知らないアエリアはそう言った。


 しかしなぁ。

「3階層までは転移魔法陣で跳べる。だがよレイジー、またデリーシャ作戦が通じるかどうか、わからねぇだろうが」

「確かにバイソンの言う事には一理あるな」(アデリア)

「今までに無かった変態ですか、対応してくる事も考慮すべきでしょうか」(アエリア)


「変態......プ レ イ」

「おいモーリン」

 まま くねくね~ 


 モーリンさんがクネクネし出したけれど、アデリアとアエリアの推測は、正しいかもしれない。

3階層までのデリーシャ作戦が成功したのは、本当に奇跡的な偶然だったかもと考えると、私は途端に怖くなってしまった。


『変態ダンジョン......』

4階層以降、ダンジョンがどんな変態技を繰り出して来るのか。このダンジョンは、これまでの常識を覆して来るのだ。


「まるで冒険者の適応力を試すような......それに意味があるとすれば......」


「レイジー、それほどのお宝があると考えていいんじゃねぇのか?」

Sランク冒険者なら、何度もダンジョンに潜っている。その経験から出たバイソンの言葉は、誰が言うよりも重みがあった。


「それなら益々4階層攻略は、続行って事でいいんだな?」

3階層で消化不良だったバイソンの大将は、潜る気満々なのだ。


「レイジーよ、4階層を攻略するなら今度は俺を入れろよな」

「いいでしょう」

これで私とバイソンの大将は確定した。


「先に言っとくけれど、<かぶら>とKannaは引き続き、村の為に居残りは決定しているからね。そこんとこヨロ」

「「げぇ~」」

「この独裁者ぁ! パワハラだぁ!」

「社長はやっぱり下衆以下です!」



「......ボス、あの<かぶら>さんてエルフ、誰かに似ているんですよねぇ。物腰とか声とかですが」

 ギクゥ


「よく訊くんだポッター達、エージェント・ジョーはあの時、火星に向かう途中の宇宙に消えて、もうこの世には居ない。それと4階層も私達に出番はない。分かるな?」

「エージェント・ジョーを失った事は残念です」


 ジョーは思った。

『ボクは死んでいる事になっているのね。生きてるよ~って言いたいんだけどね。ボクは少し寂しいのよさ』



◇忘れていたルルシア帝国の存在◇

______独裁者


 今迄無言を通していたハリーとジョニーが顔を見合わせた。

「ボス、ルルシアですよ、ルルシア帝国はどうなったんでしょうね」


 ハメリア合衆国と同じ目的で、ジョーが乗った宇宙船を追跡していた帝国だ。

その目的とは、次世代AI myuを手に入れ、宇宙で軍事的優位に立つ事である。


「ルルシア帝国か。奴等の事など分からん。我々をロストしたのなら、今頃火星一番乗りを目指して、もしかしたらもう火星の大地に着陸している事だろう」

もし着陸しているなら、火星の領有権はルルシア帝国の物となる。


挿絵(By みてみん) ルルシア帝国シャトル



                    

「......そうならそうで、我がハメリア合衆国は大騒動でしょうなぁ」

「そう言うな。我々はプランAもBも失敗して、この異世界の住人になった。せめて家族には生存を知らせる事が出来ればとは思うが、それすら不可能なのだ」


 

 ルチアとデリーシャは、緑の5人の訊いた事がない、ルルシア帝国とかハメリア合衆国とか言う会話が、一体何を言っているのか、全く理解出来ないでいた。


そのキョトンとした表情が可笑しかったのか、ポッター達が二人を見ていると、お揃いの紅いヘアピンに目が留まった。


=父ちゃん、あの二人がmade in japanを注視してるよ=

=あれは私、江戸川ナンコにも謎が解けていない。拙いな=


 意に反してポッターの興味はそこまで。ポッター達独身3人組の関心は美少女ではなくて、本命は美女エルフのアデリアなのだ。


 性格ブスでもそのアデリアが、妙にレイジー薬師を気にしているのが大いに不満だったけれど、実はそのへアピンに、あるヒントが隠されていた。


もしポッター達が、あの紅いヘアピンのmade in japanに気付いてしまったなら、異世界の謎に関心を持ったかも知れない。しかし、それだけではやはり私同様に真相には辿りつけないのだ。



◇変態ダンジョン攻略◇

______4階層以降、モンスターはどんな手で......これもまた私の天才頭脳、江戸川ナンコで推理するのだ。

変態には変態......と思ったらジャッカル達の顔が浮かんでしまった。


「いや、あの三馬鹿トリオでは絶対無理だろう。あいつ等、アレでも一応武器を持ってるし」


「ところでレイジー、モンスターで新種の<サンド・クッキー>が出たんだろ? どんなモンスターだったんだ訊かせろ」

 へっ 何それ?


「あのぉ~」

誰かと思えば、モーリンさんが手を上げていた。今度はモーリンさんもチームに加えて欲しいのだろう。

『いやいやモーリンさんには、ルルちゃんがいるでしょう』


 4階層のモンスターがどう出るのか、考えても何も情報が無い以上、こちらも人選に悩む必要が無いのかも知れない_____



______どういう訳か私とモーリンさん、三馬鹿トリオ、バニラ・アイスとRenoと言う変態混成チームが浮かんで来た。

バニラ・アイスとRenoは、二度目のエントリーとなるけれど、活躍の場がなかったからだ。


 そして巨体のバイソン大将の代わりに、最近は冒険者組合の建築を手伝っているジャッカル達の採用が浮かんだ。

 筋肉自慢は二人も要らない。

やる気満々パワーのバイソンの大将を加えると、少々鬱陶しい事もあるし、D+ランクのジャッカル達に経験させるのも悪くない?......と思ったりしたのだ。





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