表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神魔大戦 Hero&Forces  作者: 岸野 遙
スタートフェイズ
23/40

軍勢&迷子

「いたな、あいつか」

「おい、あのガキに一人やられてるぜ」


 こちらを指さし、口々に言いながら盗賊たちが寄ってくる。


 町の不良の集団と比べれば、それほど怖くない気がするなぁ。

 相手が不良以下なのか、戦う力があるからなのか。


「サモン、ポーン!」


 こりずに、先ほどやられたポーン2体を補充する。

 召喚中に使用されているマナは、どうやらユニットが倒されると即座に回復するみたいだ。

 意識してなかったが、毎ターン戦闘後にポーンを召喚できてるしね。


……マナ切れでぶっ倒れるとか、ないよな?


「なんだありゃ?」

「ガキがゴーレムでも呼んでるんだろ、生意気な!」

「ゴーレムにしては、手足もないしお粗末だよな」


 お粗末と言われたポーンが怒ったような気がするが、それはさておきターンエンド。

 襲ってくる盗賊の攻撃を、ポーン2体でブロックする。


 2体が相打ち。盗賊は気絶し、ポーンが消滅した。

 続く3人目の攻撃を、なんとか盾で受ける。


「い、いてぇぇぇ」


 左腕がじんじんする、受け止めてもこんなに痛いのか!


 これが、体力1点分の痛みなんだろうか?

 それとも、体力の数値とか関係なく、一瞬の油断で死ぬんだろうか?


 この痛みを10回くらったときに、死ぬのかどうか。

 試すには怖いし、今度ローラに聞いておこう。

 いったいどこまでがエリート&フォースに依存し、どこからが現実に従うのか。

 オレにとって、非常に大事な問題だからな。


 ともあれ、これで相手もターンエンドとなったようで、オレのターンが回ってくる。


「マナチャージ、キープコスト、ドローフェイズ!」


 家をぐるりと回って盗賊たちから逃げつつ、捕らわれた村人たちの近くへ向かいながらカードを引く。

 引いたのは、ユニットが2枚。ただし片方はポーンではなかった。


 嬉しい……のか?

 どうなんだろう。微妙な気分だ。


 残っていた盗賊が村人達に武器を向ける。


「とまれ、人質がどうなってもいいのか!」


 背後から迫る他の盗賊たちの足音を聞きながら、足を止めて一枚のカードを翳す。


「どうなっても良くないよ。

 だから、村人達には避難してもらわないとな!」

「なにぃ?」


 ローラがくれたカードだ、必ずできるさ。失敗なんかありえない!


「スペル【迷子の軍勢】

 軍勢:獣人の村人たちを対象に、効果を発動する!」


 翳したカードが光を放ち、捕らわれていた村人たちの周囲を光の輪が囲む。


「うおっ、なんだこりゃ?」


 思わず盗賊が一歩離れた瞬間、光が弾けて―――


『スペル【迷子の軍勢】の効果により、対象の軍勢:獣人の村人たちは3ターンの間、戦闘領域から隔離されました』


「ばかな、消えた!?」

「よし!」


 機械的に実況するローラに、笑顔で親指を立てる。

 予定通りだ、さすがローラ!


「サモン、ポーン!」


 相変わらず、ポーンを1体召喚。

 でも後続に追いつかれるとやばいな、やっぱり村から出てゲリラ戦法の方がいいのかな?


「ターンエンド!」




 今更だが。エリート&フォースにおける、軍勢カードとは何か?


 軍勢カードというのは、一言で言うなら群れを表現したカードだ。

 一匹だけのゴブリンは精鋭だが、ゴブリン盗賊団なら軍勢カード。

『近衛騎士の山本さん』は精鋭カードだが『近衛騎士団 山本ふぁみりーず』なら軍勢カードという具合だ。


 今回使ったスペルは、これ。


【迷子の軍勢】 レベル1 スペル

 3ターンの間、対象の味方軍勢ユニットは、防御を含めて全ての行動が不可能となる。

 3ターンの間、対象の味方軍勢ユニットは、攻撃および特殊能力の対象とならない。


 味方の軍勢を、何もできず、何もされない状況とするスペル。

 通常のデュエルでは、基本的に特殊能力を持たず、直接戦闘を得意とする軍勢を隔離する意味は薄い。


 だが今回は、村人たちを1つの『群れ』と扱うことで、軍勢ユニットとした。

 これにより迷子の軍勢スペルの対象となり、見事に村人たちを隔離することができたわけだ。




 消滅したのはびっくりしました。

 でも3ターンしたら戻ってくるわけだから……ゲリラ戦法したら駄目じゃん!

 3ターンって意外とすぐだよな。


 マップを見て、改めて赤い点を数える。

 目の前に人質の見張りだった盗賊が1人、

 追いかけてくる盗賊が……5人


 毎ターン2人ずつ倒せればいけるな!


「てめぇこのガキ、獣人をどこにやりやがった!」

「悪党に教えるわけないだろ?」

「くそガキめ、ふんじばって吐かせてやる!」


 襲いかかってくる見張りをポーンで迎撃する。

 いつも通り相打ち、ターンが巡る。


 残り盗賊、5人。こちらのユニットは無し。

 さあ、ここが正念場だ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ