幸せな時間
読んでいただきありがとうございます。
最終話となります
「まあ。マナお姉さまが?」
「ああ、僕たちも驚いたよ、いつの間に、そんなことになっていたのか」
私は三ヵ月前に、男の子と女の子の双子を、無事に出産した。
今日は、ノア兄さまと、正式に婚約が整ったクリス様が、お祝いを持って、バーンズ公爵家まで、来てくれている。
「しかし、義姉ながら、マナ様は凄いな、あの曲者ルーカス殿下と、婚姻をするとは」
イオが、感心しながら頷く。
「どうも、ノアナ王国を旅する中で、マナの、姉御肌な気質に、ルーカス様がほれ込んだ様で、猛烈なアプローチを受けて、来月には婚約式が行われる」
「マナ姉さまは、あのかわいらしい見目と違い、中身は、もの凄くしっかりしているし、思ったことをは、はっきりとおっしゃるものね」
「来年には、ルーカス殿下が、降下して公爵位となり、婚姻が結ばれる」
「そういう兄上も、来年には、クリス様と婚姻し、侯爵位になられるのですよね」
イオが、ニコニコしながら、ノア兄さまを見る。
「それは……僕の力ではなく、イオ殿と、リノアのおかげだ、事業の一端を担わせてもらっただけで、莫大な利益だ。それとまあ、王女を妻に迎えるにあたり、伯爵位のままではと、ルーカス殿下が後押ししてくれて」
「あら、意外にいい人なのね」
三人で笑っていると、クリス様が、ノア兄さまを呼ぶ。
「もー、ノア、いつまでしゃべってるの!この可愛い天使たちを、早く見てよ~」
クリス様は、来るなり、双子のベビーベッドに駆け寄り、食い入るように見ている。
二人は、お昼寝の真っ最中だ。
「ねえ、リー様、アンナに助けてもらうから、私も、抱っこさせてもらっていい?」
「もちろんです、クリス様」
私が頷くと、アンナが、クリス様に声を掛ける。
「ではクリス様、お座りになっていた方が、安定しますので、こちらにお掛け下さい」
「はい」
クリス様は、カチコチになって、ソファーに座る。
私は、ノア兄さまの背中を押す。
「ノア兄さまにも、抱っこして欲しいわ」
ぶつぶつ言いながらも、ノア兄さまは、クリス様の隣に座る。
「では、クリス様、この子が、カイで、我が家の長男です」
クリス様の手の中に、カイを渡す。
カイは、私の髪色に似て、ワインブラウンのくるくるした髪。
アンナが、ノア兄さまにアルナを渡す。
「アルナ様です」
アルナは、黒いサラサラした髪で、イオに似ている。
「わあ~。柔らかいし、あたたかい」
クリス様の声に、カイが、少し顔をしかめた後、ぱっちり眼を開けた。
カイは、イオに似た、青い瞳をパチパチさせてから、大声で泣きだす。
「わあ。急に知らない人に、抱っこされてて、ビックリしたね」
クリス様が、よしよしするが、カイは泣き止まない。
「リー様、助けて」
私はカイを、抱き上げる。
イオも、あやす様に、カイを覗き込むと、カイは、イオに手を伸ばして、キャッキャと笑う。
クリス様が、ほっと胸をなでおろす。
「お二人とも、すっかり、お父様とお母様ね」
「ほらクリス、アルナを、抱っこさせてもらいなよ、見た目はイオ殿にそっくりだけど、中身は小さな頃のリノアに似て、大きな声で泣く兄妹を他所に、すやすや寝ているよ」
ノア兄さまは、クリス様に、アルナを渡す。
アルナは、抱っこの腕が、変わって眼を開けたが、紫色の瞳を大きく開き、ふにゃっと、笑った。
「んー。かわいい」
「ほら、リノアに似て、肝がすわってる」
ノア兄さまが、からかう様に私を見上げる。
「もう、お兄様!」
イオとアンナが、クスクスと笑う。
私達は、双子とあそびながら、楽しい時間を過ごした。
✿ ✿ ✿
夜になり、私とイオはベビーベッドを見下ろす。
ベッドの中には、アルトとラノ、カイとアルナが、すやすやと寝息を立てている。
「ねえ、イオ。わたし今、とても幸せだわ」
イオが私の肩を引き寄せる。
「ああ。俺も幸せだ、やっぱりリノアは、俺の天使だった」
見上げると、いっぱいのキスが降ってきた。
二人が作り出す、魔道具は、末永くバーンズ公爵家を繁栄へと導いた。
その道のりには、さらに双子を妊娠したり、アンナの産休に、イルーゾ王国からあの子が、侍女としてやってきたり、四神獣が、加護の付与で揉め揉めしたり、イオとリノアで、魔道具の学校を開いたり。
賑やかな暮らしが続きますが、それはまた別の話。
~ 終わり ~
つたない文章を、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
誤字脱字などいつもありがとうございます。




