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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
第二章 ダンジョン混沌期

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第43話 普通の高校生?

八月二十二日 八時


「翔君おはよう。今日は私は仕事休みだけど翔君は何か用事があったりするのかな?」

「おはようございます東雲さん。午前中は何時もどおりに向井さんに稽古つけてもらって、午後から省吾と狩りに出かける予定です」


「そっか無理はしないようにね。向井さんって稽古つけてくれるほど凄いんですか?」

「昔は中学校の体育の先生で、薙刀の道場の師範代だって言われてました。実際教わってる俺たちも凄い丁寧でわかりやすくて、ビックリしてるほどです」


「そうなんだねー。人材っているもんなんですね」

「あ、東雲さん。折角用意してもらってた槍なんですけど、省吾に譲る事にしちゃいましたけど良かったですか?」


「あれはもう翔君の物だから、翔君がどうしようとそれは自由だよ。でも刀はそれ今この世界にある刀で、一番高性能だから大事にして欲しいかな」

「凄いとは思ってたけど世界で一番性能がいい刀なんですか?」


「うんそうだよ。SRの刀とかもあるんだけど、その直刀R以上の性能は無いわね。お父さんの使ってた刀はそれのURで、決して折れない曲がらないって言う凄い刀だったけどね」

「上には上があるんだな、俺も鍛治系のJOBは出たんでそのうち凄い武器作れるよう頑張ります」


「もうJOB取っちゃったんだね、どんなのが出たか教えてくれる?」

「いいですよ」


翔が発現したJOBを東雲さんに教えると、東雲さんが食い気味に近寄った。


「サマナーと召喚魔法師と魔導鍛治師がでてるの? それ魔導鍛治師はまだお父さんだけで、サマナーと召喚魔法は確認されてないJOBだよ」

「それなら早くLV上げ頑張って獲得したいですね」


「私もサマナーとか召喚魔法で何が出来るか見てみたいわ、魔導鍛治師も勇者と同じクラスのポイントJOBだからお父さん以来のUR武器作れる様になるかもね、今日は午前中だけ私も一緒に翔君の訓練付き合うね」

「本当ですか、よろしくお願いします」


 九時前ごろになって向井さんがやって来た。


「おはようございます」

「向井さんおはようございます。翔君に聞きましたよ!  向井さん薙刀の師範代だそうですね。JOBはどんなの持ってらっしゃるんですか?」


「JOBはまだ取ってないんですよ、私はダンジョンに潜って自分で狩をするなんて、思っていませんから、鹿内さんのエステみたいに簡単に上げていただけるのが私には合っているかと思います」

「JOBに付かれるとその分のステータスアップもありますから損になる部分なんて無いですよ」

 

「あら、そうだったんですね、それなら取っておきましょうか。確かJOBリストオープンでよかったですよね?」

「はい、それで大丈夫です」


【JOBリストオープン】

槍術師 5P

清掃士 5P

料理人 5P

裁縫士 5P


教育者 10P

槍豪  10P


槍聖  30P


槍王  60P


槍神  99P


「どうでしたか?」


 向井さんが表示されたリストを書き出して見せてくれた。


「……向井さんこれ、すぐ【DIT】に加入して欲しいくらいのJOBです。既に100万人以上の登録がある中で99P職のJOBが確認されているのは向井さんで三人目です。私と岩崎さん。そして向井さんこの三名だけです」

「あらあら、おばあちゃんをからかったら駄目ですよ。私はここで翔君たちにちょっとこつを教えてあげるだけで十分ですよ。それでこのJOBってどうやって取るんですか?」


「無理強いをする事は無いですけど、向井さんにこの世界を救えるほどの素養がある事だけは、覚えて置いてくださいね。JOBはリストをクリックするイメージで取得と念じれば取得できますよ、今はレベル15でしたよね? 槍術師、槍豪は絶対取ったほうがいいですね。後は教育者がいいと思いますよ」

「ありがとうございます。出来る事を少しずつやっていくわね、よし取得完了。あらぁ本当に力が沸いて来る感じがするわねぇ」


「今のJOBを二つ取得しただけで、攻撃力が倍になっているはずですので、当然ですね」

「向井さんがますます尊い人になっちゃったな」


 その後直ぐに省吾も来て、お昼までみっちりと稽古をつけてもらった。

 東雲さんの刀の指導も凄く解り易くて、数字に表れない部分の強さっていうのがある事も、十分に実感の出来た日になった。


「私は、東京にお買い物に行って来るね。夕方には帰ってくるから狩りは気を抜かないようにね」

「うん解ったよ。東雲さんも気をつけてね、ナンパに」


「了解です。あ、忘れてた翔君ちょっとまってね。これ収納バッグなんだけど使って。N製品でも百キログラム入るから便利だよ。これは、所持者の登録が必要なアイテムだから人には譲らないでね。登録は私が済ませておいたからね」

「ありがとうございます。大事に使います」


 【D特区】が出来た当初は、特区内の出入りも厳重に管理されていたが、スタンピード以降は転移門での移動が普及するに連れて、それも無くなっていった為、現状では国内の移動は自由、海外からの移動は東区域との間に税関が設置されて、そこで身分認証が行われる事になった。


 各国大使館やIDCO本部は理の開発した敷地内に存在し、毎月相当額の賃貸料を徴収する事になっている。


「憧れのあずさ様との濃密な時間が終了してしまった。汗の匂いまで尊かったぜ」

「省吾お前どんどん変態になっていってないか?」


「お前はまさか思わなかったのか?」

「いや、思ったけど」


「同じじゃねぇかよ」


 それから萌と桜に連絡を取って、十三時に八幡防衛都市の【DG】ショップで待ち合わせた。


「こんにちわ、昨日は本当にありがとう。今日からよろしくお願いします」

「こんにちわ、同上」


「萌、あいさつはしょるなよ」

「まぁ別にいいけど、無理はしないようにしろよー」


「二人のレベルはいくつなの?」

「私たちは二人とも昨日でレベル4です」


「JOBもまだだったのか、魔法使いっぽい格好だからもう取得してるかと思ってた」

「イメージ次第でなりたい職業が出やすいって聞いたから、私たち魔法少女になりたいからね」


 ピースサインを目の横に当て決め顔でそう言った。


「リアルコスプレーヤーだな」

「取り敢えず狩り行くぞ」


 北方面は小倉に近くなるので、強い敵に出会いやすくなる為、今日も南側に向かって進んだ。

 最近はモンスターの被害も深刻だが、防衛都市の外にある街では略奪行為も目立ち治安は悪化の一途を辿っている。

 DPDの人達も巡回はしているが、とても範囲的にカバー仕切れて居ない。


「防衛都市の南側でも、三層辺りの敵を見かけるようになったね」

「うん、これじゃぁ対処できない敵に出会うリスクのほうが高いな」


「今日はもうここまでで辞めておくよ。明日からはダンジョンに潜ろう」

「二人とも今日でレベル6になったからダンジョンでも大丈夫だよ。ここみたいに対処できない敵にいきなり出会うリスクも無いしね」


「はーい、じゃぁ今日は今から桜ちゃんと二人でJOBについておくね」

「また明日お願いします」

 

 DGショップによって換金をした。

 全部で三万六千円だったので、三等分して俺と省吾と女の子二人で分けた。


 四時間で一万二千円なら時給三千円だな結構いいかも。


 家に戻るとちょうど東雲さんも戻っていた。

 お土産と言って俺の着る服を買ってきてくれていた。


「東雲さんありがとうございます。めちゃ気に入りました大事にしますね」

「大事にしすぎて着てくれないのは嫌だよ、普段着にしてね」


 それから夕食の用意を始めた頃に、今井さんと森さんが訪ねてきた。


「晩御飯まだだよね、一緒に食べようと思って来たよ」

「今から作ろうと思ったところだったから、ちょうど良かったわ」


「今日はねダンジョン産のミノタウロスのお肉だよ松坂牛よりよっぽど美味しいから、楽しみにしててね」


 今日も賑やかな晩御飯になった。

 何かこんな殺伐とした世界なのに、幸せを感じる。


 ◇◆◇◆ 


九月一日 八時


 今日からは学校が始まる。

 討伐者としての生活でレベルも二十二まで上がり、身体能力も大幅に上昇している俺は、転移門から学校までを何分でいけるのかを、タイムトライアルする事にした。


 この結果しだいで朝寝坊できる時間が大きく変わってくる重大案件だ。

 結果は二キロメートルの距離を三分で到着できることが判明した。

 人が少なければもっと早く着くが、通勤ラッシュの中ではこれが限界かな。


 学校に着くと省吾が声を掛けてきた。


「どうだった転移門からここまでの時間?」

「三分ジャストだな。これで家を八時に出ても余裕でつくことが判明したぜ」


「翔君、省吾君おはよー」

「学校よりダンジョンに通いたかったよー」


 俺たちと萌たちが妙に仲良くなっている事に周りが少しざわめいた。

 そんな事は無視してホームルームに突入した。


「お前たちも夏休みに【DG】カードを取得した者が居ると思うが、取得者はこれからちょっとデータ測定に協力してもらいたい。何人いいるかな?」


 取得した生徒が手を上げる。

 意外に少なかった全部で十名だ。


「取得者はこれから講堂に移動してくれ。取得していない物はそのまま自由時間だ。始業式はデータ測定が終わった後で開始して、終わり次第で今日は終了だ」


 講堂に移動した俺たちは簡単な体力測定が行われた。

 レベル毎に並ばされたが、俺たちがぶっちぎりで高レベルだった。


 垂直飛びで十二メートルの高さの天井の金属の梁を掴む事が出来るのだから、普通の生徒と体育の授業を受けても無意味だな。


 筋力テスト系も三百キログラムまで計れる規格の物がすべて針が振り切れた。


 先生たちも流石に驚いていた。

 全部で二百名程の【DG】カード所持の生徒が集まっていた。


 俺と省吾がレベル22

 萌と桜がレベル16


 その他の生徒は高くてもレベル7だった。


 その後【DG】カード所持の生徒は体育の授業は、原則不参加で自習になると連絡され教室に戻った。

 同じクラスの【DG】カード所持してる生徒たちが、俺と省吾と萌と桜が凄かった事を、いいふらした事で少し周りが騒がしかったが、始業式に向かう時間になったのでスルーした。


 始業式が終わって教室に戻ると、もう一度ホームルームがあり、明日からの授業の確認などをして終わりになった。

 帰り支度をしていると、担任の青木先生に俺たち四人は呼ばれて、職員室の横の会議室に連れて行かれた。


「先生たちも【DG】カードを取得している人は半数程いるんだけど、君たちのように高いレベルには誰もなっていないんだ。どうやればこんなに短期間に成長できるのか聞かせて欲しくて呼んだんだ」


 他にも【DG】カードを取得しているであろう先生が三人ほど来ていた。


「どうすればって言われても最初は省吾と二人で二十二日からは、萌と桜も加わって四人で普通に狩をしただけですよ」

「じゃぁ山口と梅野は実質十日でそのレベルまで上がったのか?」


「そうなりますね。翔。先生たちには言っておいた方がいいと思うぞ? 誰でも同じことが出来ると思われても困るだろ」


 省吾に言われて、それもそうだなと思った俺は説明をする事にした。


「先生。俺は少し環境が複雑な事になっちゃって、今から事情を説明させて貰ます」

「聞かせて貰おう」


「俺は小倉ダンジョンのスタンピードで両親を失って四月からここに編入させて貰いましたよね」

「その話は聞いている。とても残念な事だったな」


「それでこの防衛都市で一人暮らししていて、生活費のために【DG】カードの登録にいったんですが、俺の亡くなった両親は再婚でして、実の父親がD特区でも結構有名な人だったんです」

「有名ってどれくらいなんだ?」


「普通に家に【DIT】長官やギルドマスターが遊びに来て、総理大臣も友達って言ってくれるレベルですね」

「それはまた凄まじいな。続きを聞かせてもらえるか」


「父は現在ダンジョンで事故に巻き込まれて行方不明なんですが、先生たちはギルドランク一位の人の話って聞いた事はありますか?」

「都市伝説の御伽噺みたいな話しか聞いたこと無いな」


「それが俺の父なんです。行方不明になっていますけど、ギルドランクに変動が無いので、生きている事は間違いないとギルマスは言ってくれてます」

「話の内容が凄すぎるな。そういう事情があったならそのレベルも納得できるのかな?」


「今は父が行方不明になった時に、助けてあげた縁で父の残した【D特区】の家で【DIT】の東雲さんと一緒に暮らしています。それで色々教えてもらえたりしてますので」

「東雲って、あの東雲あずさ様か? 攻撃力世界ランキング二位の?」


「東雲あずさ様って……先生もファンだったんですか?」

「男なら当然だろ。早速家庭訪問させろ」


「それはまぁ考えておきます。そういう事情でこのレベルです」

「はぁ納得の回答だな」


「俺は普通の高校生のつもりですので、そういう扱いでお願いしますね。【DIT】の関係者以外では、この部屋にいるこの八人しか知らない事実です。他の先生方も桜と萌もそういう事で、今の話の内容は出来れば口外しないで欲しいです」

「凄いとは思ってたけど、そんな事実があったんだ」


「何で今まで教えてくれなかったの」

「それは俺が翔に言っておいた。先入観無しで一緒にパーティとしてやって行くのが果たして正しいのかを見させてもらっていたんだ。二人ともよく頑張ってくれてたし、二人がよければこの先も一緒にパーティを組まないか?」


「これからも一緒でいいの? よろしくお願いします」

「凄すぎて放心状態だよ。私もあずさ様に会いたいな、鹿内のお姉さまも知り合いなの?」


「うちでよく晩御飯一緒に食べてるよ鹿内さんも」

「「招待してください。お願いします」」

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