表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
第二章 ダンジョン混沌期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/134

第33話 国際ダンジョン協力機構

十月二十四日 十三時


 上海でのスタンピードを受けて、各国首脳と直接つながるホットラインは先ほどから引っ切り無しに鳴る。

 急追、颯太と達也にも執務室に入ってもらい、対応を分担している。

 

 当事国の中国からは、まだ何のアプローチも無い。

 陸続きで色々な国家が乱立するユーラシア大陸でのスタンピードは、このまま放っておける問題では決して無い。


 先ほどから、米国大統領との会話が続いている。

 今日の上海に続いて来週は、ロスのスタンピードが迫っているからだ。

 あらゆる部隊を投入し攻略を続けていたが、昨日五層の中ボス戦で主力部隊が壊滅する事態に陥り、万事休す状態になっていた。


 自国での単独討伐は流石に不可能である。

 との決断をし【DIT】に協力を申し込んできたのだが、何処までも高所から命令をしようとする姿勢が変わらない。

 討伐後のダンジョンの権利も堂々と主張するつもりだ。


 大泉がホットラインで米大統領に連絡を入れる。


「ミスタープレジデント。日本国がダンジョンの攻略に向かうための条件は一つだけです。討伐後のダンジョンは我が国内のD特区に設置し、そこから産出される資源もすべてDITに納品していただく。そこを約束していただければ、【D7】ダンジョンは【DIT】の精鋭チームにより早急に討伐します。それ以外の条件は一切飲めません」


 大統領は「即答は出来ない、もう一度連絡する」と言って通話を終える。


「どうなると思う?」

「飲まざるを得ないだろう。民間人にはまだ被害が出ていないが軍関係者は五十人以上が犠牲になっているそうだ。あの国は自国の国民が害される事に対して世論が過敏に反応する。もし来週スタンピードが発生すれば、政権が吹き飛ぶほどの事態になる」


「こちらからも諸外国が納得してくれる妥協案を出してやるしかないだろうな。【DIT】に対して国際的な協力機関を国連の主導で設置してもらい、各国からの人員を受け入れ、モンスター対応部隊の育成、研究開発部門の設立を行い、日本の主導は渡さないが、参加国にはそれ相応の利益供与がある状況を作り上げれば、批判的な国は少なくなるはずだ」

「時間が足りません。国連に対して早急に今の要望を伝え、協議を始めてもらえるよう提案します」


「関連各国には、首脳宛に事前に根回しのメールでも出しておく」

「上海では街から逃げ出す人々でもう全く治安が無い状況になっているそうだ。国軍を全力で投入して包囲しつつ殲滅する作戦に移行したそうだが、結局ダンジョンが討伐されない限りは、何の進展もしないからな。果たしてどういう決断をするんだろう」


「それでは、我々は新潟ダンジョン【D10】の攻略に向かいます」


 ◇◆◇◆ 


十月二十五日 十時


 昨日国連宛に出した議題の決議が早急に行われた。

 常任理事国の拒否権が発動する事も無く(中国、ロシアは不参加)


 議題は決議され各国からの精鋭部隊を【DIT】が受け入れることになる。

 その決定を受けアメリカも折れた。

【D7】のD特区への設置を認め、引き換えにD特区内への研究施設の設置を要請してきた。


 妥協点として問題ないと判断した大泉は、島に対して【D7】討伐要請を出した。

 それに対して即応し、【DIT】は主力部隊でアメリカへ向かった。


 インド政府もそれに習い、日本に対して支援を求めアメリカと同じ条件での救援要請を出してきたが、それに対しては、現状国内の【D10】及び【D11】を優先対処するため即時対応が難しいと言う返答を出し、対応できる状況になるまでの【D12】の封鎖を進言するに留まった。


 ◇◆◇◆ 


十月二十五日 十五時


【DIT】主要メンバーは横田基地に集合していた。

【PU】PUの班長全員


斉藤

相川

上田

鹿内

東雲

坂内

星野

音羽

のメンバーだ


 総勢四十名、サポートメンバーからは、常にランキング上位者から出動要請が出される。

 政府専用機のボーイング777でエドワーズ空軍基地を目指す。

 十時間の予定だ。


 帰りは転移門で帰還する為に政府専用機は到着して直ぐに帰途についてもらう。


「この転移門だがな、最近色々実験していたんだが、ダンジョン内からも地上に向けて使用できる事が判明した。これで長期の探索が必要な場面でも、効率的な探索が出来る。ただし今は理が居ないから俺が複製で作ると一千万ポイント分の魔核が必要だがな」


 メンバーは飛行機内で仮眠を取り、到着後直ぐに攻略に向かった、輸送ヘリでロスに向かう。

 隊員の多くを失ったグリーンベレーの隊長が敬礼で出迎える中を潜って行く。

 別に今の段階になって隠す事でもないので、この隊長の同行も許可した。


 五階層までは【PU】の部隊だけで難なく討伐していく。

 その姿にグリーンベレーの隊長は目を(みは)っていた。

 第五層中ボスだ。

 ここで多くの隊員を無くしたんだな。

 敬意を払い黙祷を捧げた後に突入する。


 中ボスはオーガロードだった。

 レベル75の中ボスは既に平均レベル80を超えた【DIT】の敵ではなく、四十人からの集中攻撃によって、あえなく倒された。


 そして六層もクリアし、最終七層のダンジョンマスター戦だ。

 再び一斉の魔法攻撃でひるんだマスターに達也の【波動龍砲】が炸裂し、討伐は終わった。

 僅か四時間での攻略である。


 地上に戻りグリーンベレーの隊長が話しかけてきた。


「俺たちもその強さを手に入れることは可能なのか?」と

「以前に私も同じ事を聞いた事がある。彼は私に言ったよ『ダンジョンで戦って行けば誰でもなれるはずですよ』って」


 グリーンベレーの隊長が「私も今から行動を共にさせて下さい。一生をダンジョンの攻略に捧げます。尊い犠牲をこれ以上出さない為に」と、懇願して来た。


「俺たちは別に構わないが、国的に今からこのまま一緒にって訳には行かないから、許可を取ってから日本を訪ねてきてくれ」と、達也が伝えた。

「それでは、日本でお待ちしております」と言って転移門を広げ【DIT】本部に戻った。


 ロサンゼルスは救われた。


「明日からはまた新潟の【D10】討伐だ。今日はゆっくり休んで明日からに備えてくれ」


「「「了解です」」」


 ◇◆◇◆ 


十月二十六日 十八時


 上海の被害は留まるところを知らない。

 延々と沸き続けるモンスターに対して銃撃でいくら対応しようがお金をどぶに捨て続けるような結果しか帰って来ない。

 既に都市部は機能を完全に失い、銃撃による被害もあり、無事な建物の方が少ない状態である。

 それでも国の威信が決断を鈍らせる。


 昨日の【D7】ダンジョン討伐の結果を受け、各国からは【DIT】への支援参加要請が相次ぐ。

 どの国も威信をかけた精鋭チームを派遣してくるようだ。


 それでも限界はやって来る。

 ダンジョンの発生速度が、【DIT】メンバーの成長速度を上回ってきている。

 延命的な手段を作らなければ……


 ◇◆◇◆ 


十月三十一日 十時


 今日は【D13】の出現日だ。


 国際連合から【DIT】への支援団体として、正式に【International Dungeon Cooperation Organization】略称【IDCO】国際ダンジョン協力機構の発足が発表された。


 明日以降、各国から対策チームとして実働班や研究班が派遣される。

 現在参加を表明しているのは


アメリカ

イギリス

フランス

ドイツ

イタリア

インド

スペイン

カナダ

ブラジル

トルコ

オーストラリア


 の十一カ国である。

 実際にすでにダンジョンが出現したインドは、中国の惨状を知っているだけに切羽詰った状況だ。


 そして十一時十一分を迎えた【D13】は世界で一番複雑な背景を持つ都市。

 エルサレムに出現した。

 ユダヤ教、イスラム教、キリスト教がそれぞれ聖地と定めており、扱いには非常に苦慮を要する。


 その報告を受け【DIT】は新潟【D10】の討伐に集中する決定をした。

【D10】は間違いなく二体目の中ボスが出現する。

 レベルも予測では百五十の敵が出現する。

 JOBによる鑑定での弱点看破は難しい。


 PUの班長の一人斉藤和也が持つJOB、シーカーのレベルアップが唯一の望みだ。

 昨日までに九層まで辿り着いているが、【D5】の時の経験上、九層から十層に進む際の条件が、中ボスの撃破になると予想でき、ここまでで探索は止まっている。


 島が愚痴るように呟く。


「状況が複雑になりすぎて疲れるぜまったく。理の野郎いつになったら戻ってくるんだろうな」

「まぁ居ないやつを当てにする事もできないから、しょうがない。俺たちで出来る事をやるまでだ。和也がなシーカーのJOBが今日でレベル20に到達しそうだと言っていたから、明日は【D10】を討伐できそうだ」と、達也が現段階での希望的観測を口にした。


 ◇◆◇◆ 


(斉藤和也)

 今日は、班長クラスだけのパーティーで【D9】九層に来ている。

 現状最高難易度のステージだ。

 この階層ではレベル105まで上げる事が出来るが、現在俺のレベルは九十八だ。

 敵のレベルが八十一から九十なので、歯が立たないほどの強さではない。


 しかし油断はできない。

 岩崎さんが居なくなった当時でレベルは五十五だった筈だが、その当時の岩崎さんの強さの足元にも及ばないと自覚がある。

 しかし必ず追いつくそして追い抜く。


 三時間ほど狩りを続け、JOBシーカーのレベルが二十を迎えた。


 現れた特技は、弱点看破Ⅱ、自身のレベルの二倍までの敵の弱点を看破できる。

 待ち望んだ特技が現れたため、パーティメンバーに伝えて今日の探索を終わった。


 この特技の現れ方だが同じJOBでは同じ順で現れていくのだが、どうもそのJOBで発現する可能性がある特技の中で、最初に特定のJOBLVに辿り着いた者の意識を強く反映した発現傾向がある。


 島長官が、この世界のルールは【個人の意思】と【大衆の意思】を強く反映すると言っていたが、一体どういう仕組みなんだろうと思う。


 ◇◆◇◆ 


(東雲あずさ)


 私は今日レベル99を迎えた。

 待望の剣神JOBが獲得できる。


 取得ポイント九十九のJOBは私が知っている限り、岩崎さんが出ていると言っていた大賢者と私の剣神しか見た事が無い。


 勇者や聖女などの普通で考えるとハイエンドなJOBが取得七十ポイントである事を考慮すると、必ず大きな秘密が隠されているはずだ。


 既に剣聖、剣王のJOBを取得していてその度に大きく能力も向上している。

 実際現状で一対一の近接であれば、今は私が一番強いであろうとも思う。


 でも私には解る。

 岩崎さんには到底及ばないはずだ。

 ギルドカードに表示されるランキングも、総合七位攻撃力二位の表示である。

 岩崎さんは、どこかで私よりも更に激しい戦いを続けているのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ