↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/77

28 モンスターハンター 中編

 街を出て30分ほど、モンスターいない、とエリアンテが不満げに呟く。

 幾らなんでも気が早い、街から20分以内の場所にいるモンスターはさすがに他の冒険者に狩られている。

 ある程度街から離れた場所でないとモンスターとは出会えないぞ。

 モンスターを探すコツはまず端緒を見つけることである。

 例えば不自然に這いずって動いたせいで変に折れた枝とか草の跡とか、人間にしては不自然な夜営の跡とか、川の水がやたら汚れているとか。

 まあ俺は普段は五感で発見してるけど、普通の人間はそういった端緒から見つけるのだ。


 しかしこの二人はそのような端緒を発見できるように思えない。

 俺は立ち止まり、モンスターこの辺りにいそう? と二人に聞いてみる。

 急に話を振られて戸惑う二人に、ムンクはキョロキョロと周囲を見ていないんじゃないですか、エリアンテは考えたのか知らないが、いないと即答した。

 念のためエリアンテに何で? と確認したところ、だってモンスターいないから、と答えるので頭が痛い。

 はい残念、こっちに進路変更しましょうねー、と脇道に入っていく。

 どうしたんですかとムンクが聞くので、歩けば分かるからとずんずん脇道を進んでいく。


 この道は少し湿っている、足元の草がここだけ不自然に露が付着しているのだ。

 進んだ先にいたのはスライム、モンスターの中でも最下層のモンスターである。

 水分多めのゲルのような弾力をして主に球体で動き、目や鼻、口はなく体の中央に心臓部のような核と魔石がある不透明モンスター。

 また動物やモンスターの屍骸を体の中に取り込んで消化するので、自然の掃除屋的な役割がある。

 特に害があるわけではないので放っておいても直ちに問題が発生するわけではないのだが、食べた物により毒スライムなどに進化する特性がある。

 これも基本無害なのだが、ごく稀にガジラというモンスターに進化することがあったりする。

 ガジラは何故スライムがこのような姿になるのか謎であるが、体長は50~60メートル、何故か背中に甲羅を装備した恐竜型で火を吹くどころか空も飛べる危険モンスターである。

 俺の推測であるが多分スライムに放射性物質を多く与えればガジラになると思う。


 安いけどお金になるのでスライムももちろん討伐する。

 といってもエリアンテが剣でズブリと核を貫いて討伐終了、1匹1500イディになります。

 一応スライムの皮は水筒になるのだが水分が多くて重いので捨てていこう。

 この二人がいなければアイテムボックスに突っ込んでもいいのだがね、さっそく弊害が出た。



 というわけで前向いて歩くだけじゃなくてちゃんとモンスターの痕跡を探しながら歩きましょうね、と告げてモンスター捜索再開。

 スライムが移動していたということは何らかの屍骸がこの付近にあったということ。

 つまり好戦的な獣やモンスターが近くにいる可能性が高い。

 道なき道をガサガサ歩いていると、ゴゴゴゴゴと小さく音が響いてきた。

 二人も気付いたようだが何処から迫ってきているのか分かっていない、下から来るぞ、気をつけろ!


 地面から勢いよく飛び出してきたのはサンドワーム、地中を高速で進むミミズ型モンスターだ。

 狙われたのはエリアンテ、サンドワームに噛まれながら上空に突き上げられた。

 このまま地中に戻られてはエリアンテの命の危険が危ない。

 サンドワームの胴体に槍を串焼きのように横から突き刺して、サンドワームが地中に戻れないように妨害する。

 ギュアァとサンドワームが悲鳴をあげて同時にエリアンテが空から降ってきた。

 上から来るなら何か言え、危ないだろうが。

 ムンクは鈍器でサンドワームの胴体をどかどかと叩いているが打撃系は相性が悪い。

 俺は手元に武器が無いので、地面にぶつかった衝撃で目を回しているエリアンテの剣をひったくって横一文字に叩き斬る。

 胴体を真っ二つに斬ったがそれでもバタバタ動くサンドワーム。

 しばらく放っておけばそのまま死ぬのだが、エリアンテがまだ動けないのため万が一があると困る。

 火魔法で焼却だ、干からびて死ね!


 サンドワームが1匹で助かった、コイツは集団で出てくると俺でもちょっと苦戦するからな。

 ムンクにエリアンテの手当てをさせてその間にサンドワームの魔石を回収する。

 燃やしてしまったせいで嫌な臭いがするので、一旦水魔法で冷やしてから額と思われる箇所にある魔石を回収する。

 よし魔石ゲットだぜ、誰かが気絶していなければ火魔法も水魔法も必要なかったんですけどね。

 エリアンテに一応大丈夫かと声をかけ、平気と返ってくるが自己診断なんてアテにならないので昼食を兼ねて休憩することにした。


 昼食といえばお弁当だがそれは街で働く人だけ、我々冒険者は容器は使い捨てできる物が好ましい。

 とはいっても俺は前世の影響もあってお弁当派。

 普段はアイテムボックスからお弁当を取り出すのだが、本日はアイテムボックスが使えないため一般的な冒険者スタイルにならざるを得ない。

 アルミホイルやビニールもないので笹っぽい葉で包んだオニギリが2個とさきいかを齧る。

 ムンクとエリアンテはパンを潰して焼いたパニーニっぽいもの、中にハムっぽいものが入っている。

 コップは無いので水魔法を直飲み、しようとすると大変なことになるので俺は氷魔法でコップを作ってそこに水魔法の水を注ぐ。

 そんなに魔法使っていいんですか、とムンクが聞いてくるが、君達が足を引っ張らなきゃ大丈夫だよ、と返す。


 嫌な奴、とムンクがぼそっと呟くが聞こえてますよ。

 でも事実だから、無駄に魔法を使うハメにならなければこの程度の魔法の無駄遣いで魔力切れなんて起こさないんで。

 二人して足を引っ張るような嫌な奴(18782)と嫌な奴(18782)なら二人足して皆殺し(37564)にしてやろうかと思うところだが、俺はそこまで狭量な男でもない。

 水を氷のコップで回転させて冷やしながらさきいかを齧っていると、エリアンテが自分も食べたいと言ってきた。

 バンギは内陸のため海産物は保存食であっても販売されることが少ないが、俺にとっては気軽に港町に行けるため希少品というわけではない。

 食べていいと許可を出したら遠慮無くむしゃむしゃ喰いだした。

 ムンクも仲間になりたそうにこちらを見ているので、食べていいぞと伝えると遠慮しつつ食べだした。

 なんというか餌付けしている気分になる。

 俺はこの2人の保護者や飼い主ではないのだがな。


 休憩後、エリアンテに主だった異常は見受けられなかったので、午後からもモンスターハントを行うこととした。

 しかし探索するもモンスターに出会えないので、山菜や薬草類の多そうなスポットを回ってそれらの採取を平行して行う。

 モンスターの探索は当たり外れが大きいので上手くいかない時はこんなものだ。

 今日食べれる分稼げれば悪くないと考えるべきだろう。

 モンスターの屍骸は何個か発見したので運とタイミングが悪かったね。

 こんなことも普通の冒険者の間では日常茶飯事です。



 というわけで今日のモンスターハントは終わり。

 モンスターとあまり出会えなかったが、山菜と薬草類が収穫できたし収入としては悪くないほうでしょう。

 日が暮れ始める前に街まで帰らなきゃ色々な意味で危険だ。

 バンギまで帰っている途中、遠くからキャアァッーという女性らしき悲鳴が聞こえた。

 エリアンテとムンクもその悲鳴の方向を向き、立ち止まって3人で顔を見合わせる。

 森の中のため視線が通らないので悲鳴のあったところで何が起こったか分からないが、多分何かが起こったのだろう。

 ただ単に滑ったり躓いて転倒しただけかもしれないし、蛇が出ただけかもしれないが、モンスターに襲われてピンチという可能性もある。


 聴覚を強化して音を探る、動く音の感じからして人間じゃない、歩行するタイプのモンスターだな。

 そして交戦しているような音がしない、戦闘はほぼ終息していると思って間違いないだろう。

 つまり瀕死か、死んだか、喰われているか分からないが、冒険者側が敗北したと考えるのが自然であろう。


 どうしよう、とエリアンテが俺の顔を向いて聞いてくる、現状を考えると結論は一つだ。

 行くぞ、と俺が言うと、2人は頷いて歩き出した。

 俺は街の方向へ、エリアンテは俺の後ろへ、ムンクは悲鳴の上がった方向へ。

 俺達3人は再度顔を見合わせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。