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13 ゴブリン3種盛り合わせ27000イディ

 折れた、剣が。

 安物の剣、俺が冒険者になる時に買った君も冒険者一式セットに付いてきた安物の剣であった。

 普段は槍を使っているため出番は少なかったが、藪を切り裂いたり動物の解体に使うなど割と便利扱いしていたのだ。


 しかし鹿の解体中にちょっと固いところに引っかかったので力を入れたところ、剣の根元からポッキリと逝ってしまった。

 幸いナイフがあったので解体は滞りなく終わったのだが、これがモンスターや賊との戦闘中であったならば恐ろしいどころの話ではない。

 普段使いしている槍はやや値段の張るものであり、この剣のように簡単に折れたりはしないだろうがもっと良い武器良い防具は欲しいものである。

 剣も戦闘で全く使わないというわけではないので、剣もやはりそこそこのグレードの物が必要。

 それ以外に槍はもちろんとして、万能ナイフや投げる手斧も同様に良い物は欲しい。


 つまり、金が必要だ。

 とはいっても所詮総合Dランクで特に高ランクの分野もない冒険者が受けられる高額依頼など存在しない。

 なので高額だが依頼ではない仕事、モンスター討伐をすることとしたのだ。



 モンスター討伐、依頼の分類としては討伐となるのだが、依頼として出ることは少ない。

 その理由は、まず冒険者にとってモンスター討伐は金銭的に割りの良い仕事であるからだ。

 冒険者ギルドにある情報板にモンスターの情報を流せば積極的に冒険者が討伐に行ってくれる。

 なのである程度までの規模のモンスターは依頼せずとも冒険者に討伐されるのだ。

 逆に言えば依頼として出さねばならないほど危険なモンスターだったり大規模なものしか依頼にならない。


 このため討伐依頼は最低でも討伐がDランク以上の物しか依頼が出ないので、討伐Eランクの俺が受けられる依頼は無い。

 ちなみに依頼がないのにどうやって討伐のランクを上げるのかであるが、Cランクまではモンスターの魔石をギルドに売却することでランクが上がる。

 Bランク以上は更に魔石を売却し、ギルドからのテストを経てBランクに上がるのだ。

 金を稼げて冒険者ランクが上がるという夢のような仕事、それがモンスター討伐である。



 では早速モンスター討伐だ! と言いたいところであるが、闇雲に探しても見つからないのでギルドにある情報板を見てモンスターの情報がないかをチェックする。

 初日は情報が無く折れた剣の購入もあったので休養、二日目も情報は無いし雨が降っていたので休養、三日目になって念願のモンスターの情報があった。

 目撃はされていないが、近くの果樹園でゴブリンと思われるモンスターが林檎を盗んだようだ。

 普段であれば近所の悪ガキの仕業では、という疑念もあるが今回は地面が雨でぬかるんでいたのでゴブリンの足跡がはっきりと残っていたのだ。

 被害にあった林檎の数や足跡の数からゴブリンは多くても10匹前後ではないかと思われる。

 これは絶好の機会、ゴブリンを誰よりも早く収穫しなければ!



 ゴブリンを探そうと思ったが困ったことに手掛かりが少ない。

 俺の長所である嗅覚でゴブリンの臭いを追跡しようにも雨のせいで臭いが消えてしまっている。

 空から探そうにも森の中は樹が生い茂っていて地上にいるゴブリンを発見するのは困難だ。

 かといって普通の冒険者みたいに山狩りはしたくない、他の冒険者に先に見つけられて討伐してしまうのがオチだろう。

 仕方ない、あまり使いたくないがもたもたしていれば他の冒険者にゴブリンを発見されてしまう。

 あの動物になるしかないか……森の中ならば他人に見られることはないだろう。


 それは動物というにはあまりに大きすぎた……大きく、太く、重く、そして牙があった。

 森には不似合いな巨体、木々に阻まれ移動することができないが、今の俺は前世動物界最強の生物。

 そう、今の俺は象である。


 何故象になる必要があるのか、それは象の聴覚にあった。

 象といえば大きく長い鼻、そして幅の広い大きな耳が特徴であるが、なるほどあんなに大きな耳をしているのだからすごい聴覚をしているのだろうと思えばそうではない。

 実は象の耳は太い血管が多く通っており、パタパタ動かすことで血管内の血液を冷ますことで体温調節をするためにあるのだ。


 では象はどこで音を聴いているのか、実は足の裏で感知しているのである。

 しかも極めて聴覚、というべきか不明であるが、足の裏で感じた微弱な振動を耳に伝達し、約10キロメートル離れた別の象とコミュニケーションを取る事ができるし、約30~40キロメートル離れた場所の雨を感知することができる。

 この優れた足の裏でゴブリンの振動を感知してゴブリンの現在地を把握しようというわけだ。

 人間ですら足音に個性がある、ゴブリンの振動をこれで感じ取ってやる。


 ……ゴブリンの足音を感知した、どうやら二手に分かれているらしい。

 距離は近いほうはここから500メートルほど、遠いほうはそこから400メートルほど離れている。

 ゴブリンの居場所を探知し終えたので人間に変化するが、象形態には弱点があり、何故か非常に腹が減り喉が渇く。

 アイテムボックスから予備食糧と水を取り出して全て平らげてから出発だ。

 この空腹が原因で手持ちの食糧は全て失われてしまった、長期戦はできぬ、一気に決めなければ。



 近いほうのゴブリンを発見した、数は3匹。

 数が少ないのでこちらは別働隊でもう片方が本隊かな。

 ゴブリンは小学校低学年ほどの身長の痩せた小鬼である。

 人間と同じような背格好をしているが、耳と鼻が大きく人相が悪い。

 モンスターの中では最弱の部類であり、訓練していない成人男性でも勝てるのだが、貧弱ながらもゴブリンも刃物や鈍器で武装していることが多く、油断していると大怪我を負ってしまう。

 ゴブリンは単独で行動することは少なく、集団で行動するので囲まれないように注意しなければならない。

 この世界、回復魔法は一応あるが切り傷では表面がくっつくだけと効果がかなり雑で、それ以外には水魔法による消毒(流水をかけるだけ)くらいしかできないので小さな怪我でも冒険者にとっては大事である。

 だからゴブリンだろうが手加減無しで本気でやります、ではご覧下さい。



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~フィヨルド3分討伐~

 死は戦場にある、フィヨルドの提供でお送りします。


 こんにちは、フィヨルド3分討伐のお時間です。

 今日は集団行動するゴブリンをまとめて討伐します。

 小さな集団を倒すだけでなく本隊まで綺麗に掃除しますのでとてもお金になります。

 皆さんもお金に困ったときは是非お試しください。



 まずゴブリン3匹の場所を確認します。

 3匹は少しずつ距離が開いているのでまず1匹をしっかりと潰していきます。


「岩よ、切り裂いて飛べ。我が前のゴブリンを潰さん!ロックショット!」


 このように魔法を使うと地面から岩が飛び出すので、ゴブリン1匹をすり潰して即死させます。

 すると仲間が攻撃されたゴブリンはこちらに気づき走ってくるので、もう1匹減らすために遠距離攻撃を使いましょう。

 魔法でも良いですが今日は手斧を使っていきます。

 手斧を一つ片方のゴブリンの腹にぶん投げますが、今回は運悪く刃の面に当たらなかったのでただの打撃になってしまいました。

 しかしボディに重量物を食らえば悶絶必死、その場でうずくまってしまいます。

 元気な最後の1匹は近づいてきたところを普通に槍で一突きに串刺しにします。

 ゴブリンの小さなナイフでも刺されれば痛いですから、射程外から一撃でしとめましょう。

 というわけで3匹いたゴブリンはあっという間に残り1匹、手斧でダメージを受けたゴブリンは調理場から逃がします。

 ここで重要なのは逃走するゴブリンに投げナイフを一本、脇腹の辺りに狙いを定めて投げること。

 ゴブリンの脇腹に刺さりませんでしたが皮膚を切り裂き、ゴブリンは血を流しながらも逃走しました。


 次に息絶えた2匹のゴブリンの処理を行います。

 ゴブリンの脇腹を切り裂いたナイフを回収、それから殺したゴブリンの魔石を回収しましょう。

 ゴブリンの魔石は胸の中央部に付いていますが、死んでいれば魔石は手で取り外すことができるんです。

 残ったゴブリンの死体は使い道が無いのでそのまま三角コーナー……は無いのでその辺りに捨てます。

 野生生物へのおすそわけですね、誰かが食べるでしょう。


 ゴブリンの魔石は1個3000イディですから現在6000イディの収入ですがこれからが本番です。

 ここで先程逃がしたゴブリンの血の跡と臭いを追っていけば簡単に本隊に辿り着けます。

 そういえば前に同じことしようとしたらゴブリンに追撃して殺した人がいましたが絶対に止めましょう。

 懐かしいことを思い出してしまいました、ではゴブリンの追跡を開始しましょう。



 ゴブリンを追尾することしばらく、ゴブリン本隊を発見したのが目の前の光景になります。

 ゴブリンの状況を確認してみますと、負傷したゴブリンを手当てするため全体的に固まっていてとてもいい感じです。

 ゴブリンは先程負傷した個体を含めて7匹、本日の獲物は少し控えめです。

 もちろん正面から戦いません、調理前に身を隠してゴブリンに気づかれないのが理想的です。


 ではゴブリンを加熱していきましょう。


「火よ、5つに分かれよ、我が5指から離れ焼却せよ!ファイフィンガー!」


 数が多いので火の玉を5つ、手当てのため固まったゴブリンに向けて火の玉ストレートの如く飛ばしましょう。

 ゴブリンが魔法に気づいて声をあげますがもう遅いです。

 狙ったゴブリンの負傷済みゴブリン1匹と手当てしていた3匹のゴブリンを強火で一気に大炎上させます。

 ゴブリンの肉は焦げると嫌な臭いが出ますが、お金になりませんし、魔石には影響がないので一気に燃やしてしまいましょう。

 残りの3匹はお好みで魔法を撃つ、斧を投げる、槍で串刺しにするなどお好みの方法で討伐してください。

 今回は最弱のモンスターということで簡単に討伐ができましたね。

 あとは7匹分の魔石を回収している間に材料をご覧下さい。



 ゴブリンの魔石 ~ゴブリンの丸焼き・串焼き・合挽きを添えて~

 ゴブリン 10匹前後

 槍 1本

 ナイフ(投げ用) 2~3本

 手斧 1~2本

 土魔法 1回

 炎魔法 1回

 逃がす余裕 適量



 では魔石回収も終わりゴブリンの所持品を漁りますが今回は何もなし、付け合わせはありません。

 簡単お手軽なゴブリンの討伐、是非皆さんもお試し下さい。

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 街に戻って冒険者ギルドに魔石9個を渡して27000イディの収入となりました。

 Dランク冒険者の一日の稼ぎとしてはとても高額でとっても美味しい、あの象の食糧ロスが無ければ更に良かったのだけどまあ良し。

 じゃあゴブリンを見つけられなかった他の冒険者が帰ってくる前に撤収、たまに変な奴がいて絡んでくるんで。


 今回は上手くゴブリンを討伐することができたが、モンスターの情報が手に入る機会はそれほど多くないし他の冒険者が先に討伐するかもしれないので安定した稼ぎとは程遠い。

 せっかくだから色々な街を巡ってご当地金儲け話でも探してみようか。

 そんな美味い話あるか分からないけど、色々な街を巡ることは悪くないからね。

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