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11話「交代」


 目を開けると、いつもの見慣れた森より木が少ない、少し開けた場所だった。あの光の空間から出るのは何日ぶりだろう。よく覚えていないが1週間くらい前だろうか。周りを見渡すと3人の人間と1つの魔素の塊、そして魔物が一匹がいた。人間は全員負傷していて、その近くに魔素の塊がある。そして魔物は、


 「うおっと!あぶね!」


 俺は、魔物の一撃を左に避けた。その地面に穴ができる。体を動かした瞬間、全身の骨が軋む音がした。筋肉は痙攣していて、木や葉で切ったのだろうか切り傷が無数にあった。


 「サク……頑張りすぎ。」


【スキル】契約により、現時点から「超再生力」が発動します。

 頭の中に流れた音声の内容はすぐに実行された。筋肉の痙攣はなくなり、無数にあった切り傷は閉じ始めた。ただ、疲労感だけは残ったままだ。頭がクラクラする。

 すると、魔物がさっき使った尾とは違うもう一本を使って攻撃してくる。


【契約】対等な立場となったため、外見の変更が行われます。

 再び流れた音声により、両腕が光り始める。光が止むと、両腕が白い鱗を纏った魔物の腕に変わった。昔の頃の俺の腕より何十倍も小さいが、見た目がこうなるとやりやすさを感じる。俺は右手で攻撃を止める。そして、掴んだ魔物の尾を握りつぶした。


 グアアァァァァァァァァ!!


 魔物は叫び出し、少し後退りした。その時、人間がいる方向から視線を感じた。俺は、魔物が叫び悶えているのを見て後ろに下がり、視線を感じる方を見る。


 「サクラさん……。ど…どうしたんです…か?」


 魔素の塊が俺に話しかけてきた。よく見ると、人型をしていて、赤い液体のようなもので形が作られていた。


 「君って、サク……じゃなくて、サクラの仲間?」


 「え?いや、そうですよ!何言ってるんですか?……そんなことより、その腕何ですか!?あと目とかも、なんか雰囲気まで変わっちゃって……何がどうなったらそうなるんですか!」


 魔素の塊は、とても困惑していた。質問攻めは、俺にとっては苦手なタイプだ。そうこうしているうちに魔物が怒りの感情を剥き出しにしてこっちに向かってきた。体はもういうことを聞かなかった。傷は癒えているはずなのに、サクの脳が動くのを拒否してくる。周りには、創生のスキルが使えるほどの魔素はこの赤い液体の魔素しかいなかった。


 「君!えっとー、名前は?なんだったっけ?」


 「エリーですよ!エリー・オルフィン!」


 「ごめん!君使っちゃうわ!それって魔法で作ってるんでしょ?」


 「……そうですよ?どうしちゃったんです」


 「ほんとごめん!痛いだろうけど、ガマンして!後でサクに謝ってもらうから!」


 俺は、エリーの方に両手を向ける。エリーは、話に追いつけないままでいる。

【スキル】「創生」を発動しました。

 すると、エリーの体の液体は蒸発し、魔素の塊だけが手の中に集まってくる。そして、その魔素の塊が槍のような武器に変形し、実体化した。その槍は、穂の部分が全体の3分の1あり、長さが3メートルほどある大きなものだ。魔物は、相手が武器を手に入れたことも考えずに、こっちに走ってくる。俺は、槍の石突の部分を右手の平に合わせて、左手で柄の部分を支えて、穂先を魔物に向ける。それでも、魔物は走るのをやめなかった。


 「はぁー。俺も舐められたもんだな。こんなにも、体内にある魔素を全開にしてるのに。俺がいない間に何があったんだよ」


 グサッ!


 魔物は槍に向かって走り、自ら穂先に飛び込んできた。しかし、魔物は体の半分以上は刺されているままなのに、まだ生きている。そして、死にかけの魔物は最後の悪あがきとして残っていたもう一本の尾で攻撃してきた。俺はため息をついた。そして思いっきり息を吸う。


 「俺の名前は創生竜リヴァトドラゴン!神に造られた七神竜の1つ!そして、この森を指揮する者だぁぁ!!!」


 俺は、叫びながら槍を手から離して、左手で魔物の体を殴った。すると、その魔物はガルデラ王国とは逆の方向に、木をなぎ倒しながら飛んでいった。森には、途中までだが、一直線の平地ができた。その後、薄暗かった空気も、殴った時の風圧で一気に晴れていった。

 その平地ができ終わったのを見届けると足に力が入らなくなった。無理矢理体を動かしたからだろう。膝をつき、両手で胴体が倒れるのを支えた。


 「いやー、俺はまだ全然動けるんだけどなあ。サクが寝てるからかな?もう、体が動かん。……あ!そうだった」


 俺は、左側に倒れている3人の人間を見る。まだ、全員生きているが、体内の魔素を放出し続けている。このままでは、サクが戻ってくる前に全員死んでしまう。

  俺はステータスを思い出して考えた。この場から動かないで助ける方法を。そして、ある一つの方法を見つけた。俺はこの方法に思わず苦笑いをしてしまった。


 「サクー、体もってくれよ。ちょっと無茶するから」


 俺は3人がいる方向に左手を向ける。

【スキル】「代わる者」を発動します。

【警告】複数同時に行うことは危険です。本当に行いますか?


 「早くやってくれ!疲労がもうそろそろ限界だ!」


【スキル】「代わる者」を発動します。

  体の腹の真ん中と左脇腹、そして右の鎖骨あたりに穴が開く。痛みが同時に襲いかかる。四つん這いになっている体の至るところから血が吹き出す。

【スキル】「超再生力」が発動されます。

 このアナウンスとともに、さっき代わりに受けた傷が塞がっていく。


 「くー!この方法、一瞬は痛いんだ!想定外……。」


 俺は左肩を地面について、仰向けに倒れた。人間達の方を見ると傷が全部治っていて、魔素の流出も止まっていた。もう体の感覚が薄れてきた。


 「お前らぁ!!絶対ここにいる人に手、出すんじゃねぇぞ!!!」


 俺はさっきよりも大声で叫んだ。


 最後の力を振り絞ったリヴァトドラゴンこと、リヴは疲労回復のために眠りについた。



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氏名:サクラ・リヴァトドラゴン 属性:無(創生) 

職業:冒険者Lv.1 ・竜人 ※装備不可(創生物以外)


ステータス:

攻撃 345+10000000 (SSS)

防御 219+10000000 (SSS)

敏捷 874+10000000 (SSS)

体内魔力 103+10000000(SSS)

魔力操作 -- (--)


総合戦闘力 ★★★★★★★★ SSSランク

スキル(これら以外の入手・所持不可):

「超再生力(持続)」

「創生 」

ユニークスキル:

「代わり者」

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「超再生力」:外的負傷を完全に再生する。

「創生」:想像した物を一時的に魔素を変形させ、実体化させる。

「代わる者」: 対象が受けるダメージなどのマイナスな影響を代わりに受ける。



 






序章が終わりました。引き続き、第1章を投稿していきます。これからもよろしくお願いします。

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