『いいんだ』
ウィルが、ため息をつきながら口にする
「『偽物』だってわかってても、おまえのこと、ノーマンは迷いもなく抱きしめただろ? そういう《奇跡》を、ずっと待って生きてる男だ」
「ザックがおれをさして『にせものだ』って言ったら、ノーマンが、『これは彼女の魂だ』って言い返して、キスされたよ・・・。 泣きながら・・・」
そりゃ『魂を写す』んだから、その通りなんだけどさ・・・と《ノーマン》は変色した左頬をなでた。
「それで?」
ウィルが脚を組みなおすついでのように続きをうながす。
「 いや・・・あまりに《欲されてる》んで、・・・そのまま、ちょっとしばらく、ノーマンと一緒にいてやろうかと思ったんだ。 そしたら、―― ザックが、もう一度、『ちがう、そいつは偽物だ』ってさけんだ。 ノーマンが『いいんだ』ってこたえて、ザックはちょっと、固まったみたいになって、 つぎに、おれの腕をつかんでひっぱったら、ノーマンが引っ張り返して、 ザックに冷たく、『はなせ』って言った 」
ルイとウィルが同時に深くため息をついた。




