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A班ファイル ― コウモリは湿地でお茶する ―  作者: ぽすしち
《湿地》と兄弟

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238/251

『鬼』はジャン


    ※※※



 はっ、はっ、と吐く息が自分の耳にひびいている。

 左右にたかく生える枯れた草をかきわけるようにすすめば、水気をなくしたそれらがガサガサと抗議するように音をたてる。

 

      音をたてるな、と言いたかった。

      前はみえない。

      たよりないこの細い道がどこに出るかもわからない。

 



 ガサガサガサ


     右おくの方から、枯れ草がさわぎだす。




 くるな くるな


      両手をにぎりあわせ、ゆれる枯れ草の中、せまりくるモノに願った。




          「 っばあっ 」

「っ!?」


 左側の枯れ草の中から、喜びにみちた表情をうかべた

       

        ―― 《鬼》がとびだした。



     ※※※

  


  

 ポールは下をむき、喉がつかえたようなわらいをもらして首をふった。



「・・・おまえだよ、・・・おまえが、枯れ草の下のほうからとびだして、―― おれに、だきつきやがったんだ・・・。おれに置き去りにされて、きっとずっと泣いてさがしてたんだな。涙と鼻水でぐしょぐしょの顔で、 ―― それでも、おれを見つけられたのがうれしくて、おれの名前をよんで、・・・・・だきついてきた・・・」





 ジャンは高い声でポールの名前をなんどもよび、みつけられたのが嬉しくてしかたないというように、足にぎゅっとしがみつき、小さな手でたたいてくる。




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