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初めての母親

ここからポールの苦しい思い出話。苦手な方ごちゅういを


「 おまえが、おれのこと好きじゃねえってのは、当然の反応なんだ。 ぎゃくに、十歳になる前まで、ずっとおれのこと信じ切って、あとをついてきてたおまえの反応が、 ・・・まちがってる」




「・・・どういう、意味だよ」




 にらんでくる弟の視線を意識しながらも、無視する。


「 ―― マリアは、おれにとって初めての《母親》だった。 おれを生んだほうの母親は、親父いわく、自分のせいで母親になりきれなかったんだろうっていうことだが、ガキだったおれにはそんなの意味不明だ」


 ポールはわらって煙草をとりだした。

 ジャンをみることもなく火をつける。


「 おれは嬉しかった。マリアはあんときは、『いい母親』だった。 ―― だけど、親父が死んで彼女の半分も死んだ。毎日泣いてて、おれじゃあ何もできなかった。 彼女が欲しかったのは、死んだトッドみたいに、『頼りになる男』だ。 でも彼女は自力でそれをみつけた。そう、お前の父親だ。お前もおふくろも思い出したくもないって顔するけど、おれはけっこうあいつ好きだったぜ。 酒飲むとすこし手がはやかったけど、遊んでくれたし、仕事もしてたし、 でも、―― 初めての赤ん坊を二人で世話しようって気ははじめっからなかったな。 マリアの腹がおおきくなる度合いに比例して家に帰ってこなくなって、おまえが生まれたら完全に、ほかの女のところに入り浸るようになって、 ―― そしたらマリアはどうしたと思う? お前をつれて、その女の家の前で大騒ぎだ」


 思い出したように煙をはきながらわらいをこぼす。



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