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《魔女の呪い》
どこかの民族衣装のような、幾重にも重なる仕立ての服に、両腕には金属製の細い腕輪をじゃらりとつけている。
ふたりとも真っ赤な唇をしており、にやり、とわらうと、ひとりが一歩前に出て、背中鬼の《背中》にふれた。
「 ダゥ グ ア ダ ツア フ 」
もう一人の女が、ポールには聞き取れない音の並びを発する。
ぞわり、と寒気がした。
「 ―― 《魔女の呪い》だ。 おれまで、からだがしびれてくる」
片方の《ポール》が、腕をさすりながら言う。
「あの二人の女が、《魔女》なのか?」
もう片方のポールがきいたとき、耳の奥がツーンと痛くなり、音が消えた。
《女》たちの後ろの草がわかれ、水にしかみえないものが、太い柱のようにこちらへのびた。
一瞬だったが、その水には《蛇》のような頭があり、口をあけて《背中鬼》を飲み込むのがみえた。
耳はもとにもどり、音がもどる。




