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離脱しまーす
すると、ほかの方向からも草をわけて、警備官たちが顔をだす。
「これ、完全に遊ばれてるでしょ」
おれたちには無理ってことだよ、とウィルが前髪をはらう。
「でも、もう一回まわれば、みつかるかもしれねえじゃん」
顔色も白いザックが意気込むのを、ニコルに頭から上着をかけられて、おさえこまれる。
「どうする?マーク」
みんなに目をむけられた責任者の判断は早かった。
「『おいかけっこ』にいれてもらえないのなら、ぼくらはここで離脱です。 はやく戻って、暖かいものをでも飲みながら、クレイグ兄弟の『おいかけっこ』でも眺めましょう」
ほほえんで上をむくと、すう、と息をすいこんだ。
「 コウモリ!! こっちは行き止まりだ! おまえがジャンとポールを見つけてくれ!! 」
みんながみあげた曇り空に、不安定にとぶ生き物が現れた。




