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№27 ― 間に合え ―
おわりまで、あとすこしです。
警備会社の黒いバンは、警察のものよりは新しいし、防弾処理もしていないから車両は軽い。
とはいえ、さまざまな装備品と、大柄な男たちをのせているのだから、急な停止にはむいていない。
ひどい音をたてながら半回転したバンの後部ドアが開いたのは、壊れたからではなく、外からとりついた男が、入ってきたからだった。
「ケン!いきなり飛び出してくるヤツがあるか!?」
運転席との仕切りがひらいたままだったので、ウィルの文句がきこえる。
遠心力で、ちぎれそうなほど開いたドアを元に戻した男が、文句ににやけながらザックの横に座った。
バンの後部は、窓がある場所はふさがれ、左右に細長い座席がとりつけられ、むかいあって座るようになっている。
「先にサリーナたちがむかってる」
ルイが言うのに、「マークたちもな」と横にいるニコルがつけくわえた。
ザックが不安そうに、間に合うかな、とつぶやく。
「間に合わせるよ」
運転しているウィルがこたえ、緊急通行用のサイレンをいれた。
ようやく、あとちょっとです。
あとすこし、おつきあいください。。。。




