戦と英雄
【―― 英雄譚 ――】
彼らは何を見つめ 何を求めたのだろう
その瞳に 何を映していたのだろう
散っていった同胞達
出会い 別れ
ある者は死に ある者は旅立つ
次々と綺羅星の如く現れては
はかなく消え去る英雄達
時はとめどなく流れ
過行く時の河の中で
何を目指して生きたのだろう
その証しだけを残して
流れに身を隠すように
すべては漆黒の中へ
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【―― 篝火 ――】
あふれるほどの犠牲を払って
戦が終わる
全ては死に絶え
夜空を照らすのは戦の残り火
帰っておいで ここへ
安らげる場所を求めているのなら
帰っておいで ここへ
もし道に迷ったのなら
ほのかな光で印を残そう
帰っておいで ここへ
――1991/01/31
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【―― 背中 ――】
誰も寄せつけない姿は何を思うか
神の名の下 戦い続け
愛する者も 仲間達もすでに亡く
犠牲を払い続け ただ生きている
失うものはもう無く
荒れ果てた土が広がるだけ
その姿は 何を思うか
何を思うか
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【―― 泡沫 ――】
現世とは かくもはかなき
いくつも戦をくり返し
滅びては栄える
虚しいくり返し
現世とは かくもはかなき
滅ぶは一夜
長き栄華も砂にうずまり
またたく間に忘却の彼方
現世とは かくもはかなき
――1991/08/26
2017/10/07
制作年の分っているものに日付を追記。