第1話 『クラスの欠番だーれだっ!』
ノベルアッププラスとカクヨムでなかなかPVが伸びないので、なろうでも試しに投稿していこうと思います。どんな学園物語になるのか、自分でもまだ分からないです…
─時は2XXX年。地球は惑星ベラゾノフの宇宙人どもによって侵略された。
──地球はベラゾノフ人の特殊な力と権力でリミナルスペース、又はドリームコアと呼ばれる外観に、一掃されてしまった。
──それだけなら良かった人も少しはいた。
──奴らは人間を愛玩具として、ペットとして位置付けた。
──あいつらは人間に危害を加えたりしない代わりに、尊厳と自由を奪うという形で、私達を所有する事になった。
──最も、ベラゾノフの連中が聞いたらそんな事ありませんなんて言っちゃうんだろうけどね。
──だけど、希望? もあった。
──どういう訳かベラゾノフ人達は某地域に大きな建物を建てた。そこは人間が唯一人間として権力を持ち、ベラゾノフに対抗する発言と力を許された、特殊な場所。いわゆる学園モノ。
──『顔』や『家族』や『名前』や『尊厳』を奪われた私達は、そこへ通う為の試験を見事合格し、地球に住まう人達、否、世界の代表として、今日この日、入学式へと足を踏み入れるのであった。
──その名も《リミナルハイスクール》
★★★★★★★
「──直立!!」
(えっ)
「心掛け!! 礼!!」
(ちょっと)
「「よろしくお願いします!!」」
(ええっ!? 礼は分かるけど直立心掛けって何!? 早速付いていける予感がしないんだけど……)
教室にはクラスメイトが足並みを揃え、ほぼ同じタイミングで足音と風が流れてゆく。
そこに礼しか合わせられなかった、水色頭の少女は、あたふたと汗を垂らし、青いマフラーをモミモミと握る。
彼女の名前は天道ルナ。リミナルハイスクールに選ばれた、立派な世界代表生徒の一人である。
彼女の見た目はなんというか、アンドロイド感のある近未来的な服装をしており、とにかく底抜けに明るいのだろうと誰もが察する見た目をしている。
実際にそうだ。
「これから皆さんを指揮する事になった柊スメラギだ。よろしく頼むよ。ああ、パンフレットに書いてあった通りの学園だ。勿論読んだよね? 合格通知の手紙も、その内容も」
ルナはぶんぶんと笑顔で頷く。
教師のスメラギは、早く余興を終わらせようと、コンコン、と教壇を長い爪で叩く。
「自己紹介。この学園でやっていくからには、お互いとの繋がりの大切さは勿論、互いの事をうまいこと分かりあってないといけないよね。そういうわけで、出席番号順にお願い。では一番」
「「はい」」
と、二人のからっとした声が聞こえる。
ルナはその桃色の影が二つある事に疑問を覚えた。
「出席番号一番、明智ふみや」
「出席番号二番、明智桃里」
「「双子でーす」」
(すごい! 本当にそっくり!! 漫画でしか見た事ない!!)
「桃里はITに強くてえ」
「ふみやは妙にカリスマ性がある」
「「あと不可子ちゃんのお付きでもありまーす」」
ルナは不可子ちゃんとは誰の事だろう、と、桃色の双子から目を離し生徒を見回す。すると、首をカクン、と、角度を付け、不機嫌な表情をする桃色のお姫様がいた。
(すごい、お、お嬢様……?)
この時ルナは地球人にお嬢様という階級がない事を忘れていた。否──分からなかった。
「出席番号三番、写島創太ですー。こんなご時世ですが、写真が好きです。よろしくお願いいたしますー。」
黒縁眼鏡をかけ、黒いキャスケットを被った、衣装の大体の部分が黒い青年は、ぺこり、と軽く会釈をした。
「出席番号四番☆玩具嚨似子ぉ。よろしくぅ。」
と、ゆらゆらしたザンバラ頭とザンバラ衣装の美少女の破壊力を、更に破壊力で封じたのが、彼女──。
「──出席番号五番、狂王実カナン」
と、強い口調の女が言った途端、場が制された。言ったのは白無垢をそのまま赤く染め上げたかの様な、赤無垢と言ってもいい、ベラゾノフ人のペットだったとは思えない雰囲気の女だった。
「どうぞ、よろしゅう」
まるで、今までもその態度で生活をする事が許されていたかの様に。
「出席番号六番! 紙上舞鶴でござる!」
(ござる!? 忍者!?)
「拙者はただの忍者でござる!」
(忍者だった!)
「忍法を嗜んでおります故、何かと役に立てたら嬉しいでござる。以後、お見知りおきを」
「出席番号七番、臓器林直継です。こんな身なりですが、世間知らずですので、なにかとご教授くださると幸いです。よろしくお願いいたします」
(こんな身なり? 軍服ではあるけど……)
「出席番号八番、鷹宮ロンド。こっちはメンフクロウのアリアケ。よろしく頼む」
間を置いて、ついに来たかとキラキラの瞳で席から立つルナ。笑顔を全員に向けて、ルナは身振り手振りで自身を紹介した。紹介し過ぎた。
「はいはっーい! 天道ルナ! 出席番号は九番! 夢はヒーローになる事! あるいは可愛いお嫁さん! なんちて! そしてそして、この地球の漫画やアニメが大好きなんだよっ! だから気が合う人は勿論仲良くしてほしいし、そうじゃないって人もよろしくねっ! いぇーい!」
ピースサインで、幕は閉じた。
静まる教室。無言の生徒達。
「あはは……ルナちゃんなんかおもしろーい……」
と、控えめにクスクス笑うのは真っ赤な応援体の衣装を身に纏った、金髪。赤いシュシュで纏めた、小さな愛らしいサイドポニーの美少女だった。
そこでルナはやらかしたと気付く。
悪い事ではないが、この場において、場違いな雰囲気を作ってしまったと、ルナは己を恥じ、顔から蒸気を発しながら、ぺしゃん、と笑顔のまま席につく。
その後も自己紹介はすんなり進んだ。
「針縫マイナ。……出席番号十番。……よろしく」
パンクロックないかつい少女。
「出席番号十一番、彼岸華マチネです。皆と仲良くできたら嬉しいなあ。よろしくね~!」
先程ルナをある意味助けたマーチング衣装の美少女。
「出席番号十二番。不居内不可子」
桃色の双子兄弟こと明智兄弟に、不可子ちゃんと呼ばれていた、姫ロリのちんまりとした少女。番号と名前、たったそれだけ残し、ふんぞりかえって着席した。
「……出席番号十三番、有機潰有機酸素だ。この衣装は、その、あまり見ないでくれ……」
それで幕を閉じた。A組の自己紹介は。
ここ──A組の担任教室であるスメラギが、ある一言を放った。それが引き金になったのは一瞬の事で、例え本人が隠していたとしても、いつかはバレる事なのだから、この学園では、その発言が正解だろう。これから、A組でやっていく為に、スメラギは言う。
「宇宙人」
生徒達はまるで自分等がそう呼ばれたのかと思ったのか、きょとん、とする。
「が、このクラスメイトの中に一人いる」
──ガタッ!!
有機酸素が席を立って鬼面相で前かがみになる。有機酸素だけではない。他の生徒もちらほら表情が強ばる。まあでも特に、有機酸素の前に机があって良かったと、スメラギは微かに思いながら言葉を続ける。
「ご存知だと思うけどね、ベラゾノフ人にも人間と似た姿形をした個体がいます。そして、このクラスメイトの中にいる、ベラゾノフ人の生徒さんとも、皆さんには仲良くしていただきたいね。それじゃあ、次の授業が始まるまで、よ、ろ、し、く、さん」
宇宙人は顔から汗をだくだく垂らし、こう言った。
「ちょっとセンセー!? 何でバラすんですかぁっ!? 約束が違うじゃないですかぁぁあ!!」
バタン、とスメラギが扉を閉めて、宇宙人はゆっくり皆の方を向き、なけなしのピースと共に、笑顔でこう言う。
「──て、天道ルナ、ぴ、ピチピチの十六歳、よろしくお願いしま」
「「──お前かあああぁぁぁああ!!!!」」
クラスの全員が声を荒げ、教室は阿鼻叫喚と化した。天道ルナ──ベラゾノフ人。水色頭のパニックガール。集団ヒステリーの最下層にしてキラキラなお花畑ランドの天下にいる、超絶怒涛のやらかし娘。
以後、お見知りおきを♪




