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ジョブ世界の人形師  作者: かるぱりあん
第5章 クラス対抗祭
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第43話 クラス対抗祭開催

 クラス対抗祭が始まるまであと3日。



 ステラたちの登場により色々とあったものの、俺たちは着々と計画を進めていた。



 一応ステラには俺のことを贔屓しないようにと釘を刺した。


 それと、学校では俺のことを『ハル様』とは呼ばないように、とも。


 そうでもしなければ、あからさまに依怙贔屓されている俺のことを他の男子から敵意の眼差しを受けていたからだ。



「ハル様はハル様です。呼び捨てになど出来ません!」



 と食い下がってきたもんで、それじゃあ全員に『様』を付ければ?と提案した。



「他の者らとハル様を同等に扱う事など出来ましょうか!他の人間に『様』を付けろなどと……そんな殺生なことを……ハル様は仰るので………!?」



 ときた。


 どうすりゃいいってのよ、これ。



 ともかく、俺だけに『様』付けはダメということで、アキとトーヤにも同じように呼ぶように、とお願いした。


 こちらは簡単に了承してくれた。


 そしてアリシアについても『様』付けで呼ぶようにとお願いしてみたが、こちらは頑として受け入れてくれ無い。



「その者をハル様らと同等に扱うことを許すということは、その他の者にも……」


「アリシアは俺の大切な友達なんだけども?」


「……と……とも……だち…………でしょうか……?ハル様、不躾ながら、その『ともだち』とは一体……?」


「友達ってのは、大切な人だ。アキもトーヤも友達。アリシアも、だ。」


「………友達…………ハル様にとっての大切な人………」


「だから、アリシアも同じように呼んでほしい。」


「………畏まりました。では、今後はアリシア様、と呼ばせていただきます。」



 うんうん。


 分かってくれて良かった。


 アリシアが友達ってのは自分で言ってて気恥しいものもあるけど、それ以上にこの国の王女を差し置いて、俺たちに『様』付けは良くないからな。



「……それはそうと、ハル様………私はまだ……その……ハル様の友達では無いのでしょうか……?」


「えっ?」



 ……き、急に何を……


 ……ま、まあ、まだ友達って訳じゃない……けどさ……


 そもそも、アナタ今は学校の先生なんですけどね。



「……いや、まだだよ。」


「どうすればハル様の友達になれるのでしょうか!?」



 近い近い近い!!


 ステラは余程友達になりたいのか、俺に体を寄せて質問してきた。



 友達の定義……か………



「そうだな……友達ってのは、一方的に何かしてもらうって訳じゃ無い。お互いに助け合えるからこそ、友達だって言えると思う。友達が嬉しいときには共に喜び、悲しい時には一緒に泣く。それが友達だって思うよ。」


「そ、それなら、私もハル様の為ならばこの命に変えてでも何だって……!!」


「い、いや……そういうんじゃなくってさ……それに、ステラにはシエルが居るだろ?シエルを残していい訳が無いしさ……」


「………それは…………」


「……ともかく………あれだ!今ステラが抱えてる感情ってのは『恩義』だ!友達ってのは恩義に報いるものじゃないと思う!」


「……恩義………ですか………」



 うむ。


 我ながらいい事言ったと思う。



「………それでは………私はどうしたら……」


「……友達ってのは一朝一夕でそうなれるものじゃなくて、時間がかかる。だから、慌てなくても大丈夫だと思う。」


「………畏まりました………ハル様と一刻でも早く友達になれるよう、努めて参ります!」



 ステラは納得してくれたようだ。


 でも、改めて考えてみれば友達の定義って曖昧だよな。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 そうして日が経ち、いよいよクラス対抗祭の日となった。



 学校は普段の警備よりもさらに厳重となり、そこかしこに衛兵が見張りを立てていた。


 前世での体育祭の時と同様に、門扉は学生により飾り付けられており、運動場の入口には自作したゲートまで配置されている。


 運動場には観客席が設けられており、父兄らで満席となっている。


 ……まあ、距離的な問題で俺の親は来れないんだけど。



 今回行われる種目だが、100メートル走、綱引き、演舞、簡易建設。


 昼を挟んで午後から演劇、陣取り、白兵戦、そしてリレーだ。


 各種目、1位が10、2位が7、3位が5、4位が3、5位が1、6位が0ポイントとなる。



 演舞ってのは戦闘職らによる模擬戦みたいなもの。


 演劇は演技職らによるパフォーマンスだ。



 最後のリレーはクラス全員での参加だが、1クラスは15名、他クラスは30名であるため、1クラスに合わせて全15名でのリレーとなる。


 俺が参加する種目は、100メートル走と綱引き。それと白兵戦だ。


 ロータスの勧めにより危うく演舞に入れられそうになったものの、アーサーがそれを許さなかった。


 「【人形師(マリオネイター)】とかいう大道芸人なんざ入れて負けたらどうすんだ!」ってさ。


 言い方はムカつくけど。



 それはともかく、白兵戦ってのが今回仕掛ける罠の種目だ。



 白兵戦とは、10人参加のゲームで、全6クラスでのバトルロイヤルだ。


 頭に巻いた(たすき)を取られたら退場する。


 クラス内の全員が襷を取られると負け。


 場外に出た場合は失格。


 時間内に勝敗が決しない場合は、取った襷の数で勝敗が決まる。


 他クラスの襷が全部無くなったら、残っているクラスの勝利となる。



 この白兵戦には俺とアリシアも参加するため、リックスが仕掛けてくるとしたらこの種目の可能性が高い。


 一応俺が参加する100メートル走や綱引き、アリシアの参加する陣取りで仕掛けてくる事も考えられるので、念の為に警戒は怠らない。




 早速開会式が始まり、壇上で校長先生が挨拶をし、続いて国王様が壇上で挨拶をした。




 ………………





 ……………………





 ………相変わらずクソ長ぇ………





 突っ立ってる俺らの身になって欲しいもんだ。



 俺はその間に辺りを見回す。


 国王様のクソ長い話に嫌気がさしている生徒らや欠伸をしている者もいた。


 その中で、3クラスの中にリックスが整列していたのを見つけた。


 リックスは俺に気付くとニッコリと微笑んだ。



 杞憂であればいい。



 でも、もしも俺たちに危害を加えようとするのなら容赦しないからな。




 クソ長い挨拶がようやく終わり、俺たちは自分たちのテントへと足を運んだ。



「いよいよね。」


「ハル氏。準備は出来ておりますかな?」


「うん。ま、大丈夫。」


「ケケ、ケガだけはしないようにね……」



 100メートル走は合計4回。


 クラスの代表がそれぞれ走り、その順位の合計点で総合点が決まる。


 この種目に参加するのは俺、ロータス、リオさん、そしてヴィオラさんだ。


 ヴィオラさんは前世で陸上競技の選手でもあり、今世では【走者(ランナー)】のジョブ持ちだ。


 彼女の1位は揺るがないとしても、俺が足を引っ張るわけにもいかない。



「よおハル!頑張ろうぜ!」


「……ったく。ロータス、なんで俺をこの種目にねじ込んだんだよ……」


「だってお前早いじゃん。スタミナもあるしさ。」


「スタミナと短距離走は関係無いっての。」


「まあ堅いことはよしてさ。頑張ろうぜ。」



 100メートル走を走るにあたり、アリシアたちとの打ち合わせもあった。


 わざとゆっくり走る、という案も考えたが、とりあえずは様子見で狙えるなら真ん中くらいの順位で走る。ということになった。


 リックスに襲撃者を撃退したのが俺だと露見しているのなら、今更誤魔化しは効かないだろうということだ。



「ハル様ーー!!頑張ってくださーーい!!」


「ハルにいちゃんがんばってーー!!」



 教員席ではステラとシエルが俺に声援を送っている。


 あなた教員だろうが!!


 声援は嬉しいけど、それじゃあ依怙贔屓してるように見えるから!!



『位置について………』



 狙うは真ん中。


 6人中3位か4位。


 ………てか、短距離はあんまり自信ないな……


 いつも長距離ばかりのランニングだったし。



『よーーい…………』



 ま、難しく考えるのは良そう。


 それに、もしかすると他の5人が早すぎて、俺では3位4位どころか5位すら危ういかもしれないし。



『スターート!!!!』



 号令がかかり、俺は地を蹴って走り出す。


 徐々に上体を起こし、太ももを上げて歩幅を大きく取る。


 これは師匠直伝の『間合いの詰め方』だ。


 ただ単に太ももを上げればいい訳じゃない。


 接地している足は素早く後方へとスイングさせる。


 そのスイングさせているのと同時に、反対側の足を素早く前へと差し出す。


 後ろへと流れている足ほど、より強く素早く反対側の足を引き戻す必要がある。



 戦闘においてこれは極めて重要なプロセスでもある。



 一対一での戦闘ならば、極端に広い間合いを取る事は少ない。


 しかし、一対多数ならばそうは言ってられない。


 状況を見極め、時として1番遠い相手を倒す必要がある。



 それが戦闘だ。



 ………とか考えてる場合じゃ無かったな。



「………あれ?」



 考えに集中していたあまり、俺は周りをよく見て無かった。


 本来、俺の予定では俺の前には何人かの生徒が走っていたハズだった。



 しかしながら、俺の前には誰もいない。



 やっべ。


 完全にやらかした。



 100メートルというのは短い。



 前世でも陸上選手ともなれば10秒そこらで決着が着く。



 俺が気付いた時には2位以下を大きく離してしまっていた。



 今さらもうどうすることも出来ない。



 完っっ全にやらかした。



 そこからやや失速したものの、結局俺はそのまま1位でゴールテープを切ってしまった。

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