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お前が言うか

―調査10 お前が言うか―


なんやかんやで少女を救出。

そして、一息ついたところで早速、蛍子が彼女に質問した。


「それで、貴方はなにしてたの? 」


あ、それ俺も知りたかった。

なんであんな謎な状態に陥ってたんだ。

説明してくれ、多分納得は出来ないけど。


質問された少女はためらう様子なく、平然と答えた。


「怪異と戦ってたのよ。」


俺たちは完全に言葉を失った。

まじか、こいつ………と誰も口には出さないが、ここにいる全員が思っていることだろう。


「ちょっと油断してやられかけたけど、あそこから華麗に巻き返す予定だったの。なのに、あんた達が入ってきた途端に相手は消えちゃうし、もう散々ね。」


いや、あの無様極まりない状態から華麗に反撃とか無理だろ。まぁ、もはやあれは芸術的だったから、華麗といえば華麗なのかもしれないけど。

あと、自分でけたのをお化けのせいにすんなよ。



俺は脳内でつっこんだが、そんなのは誰にも分からないわけで、今度は少女が俺たちに聞いた。


「で、あなたたちは? 」


進は少し考えてから、


「僕達は学校の探索をしていたんだ、勿論、担当者の許可は降りている。」


とだけ説明する。

さっき向こうが名乗らなかったからか、少し警戒しているようだ。

少女は進のその言葉を聞いて、なぜか怒りを露にした。


「はぁ? 一般人が遊び半分でこんな危険な場所に来たわけ? 信じられない。」


彼女はすっくと立ち上がって、座っている俺たちを見下ろし、威圧的に指を突きつけてくる。


俺は当然といえば当然なのだが、その態度にちょっとムカついたので言ってやった。


「お前だって、どう見ても中二病をこじらせた一般人だろうが。」


しかしこの少女は、俺の言葉を聞いても、


「あんたみたいな凡人と一緒にしないでくれる。 不快なんだけど。」


と言って、自分が優位であることを疑わない。そして俺はますますイライラするという最悪な構図が完成する。


そんな中、

進は彼女の次の言葉を遮るように、


「行動には気を付けている。」


とだけ言う。

俺たちはいきなり聞こえた、静かだが、どこか威圧感のあるその言葉に、一瞬固まる。


そんな俺たちを様子を確認してから、進は近くに落ちていた陽杖を拾い、ほこりを払ってから、彼女に差し出した。少女は相変わらずの態度だが差し出された杖を受けとる。


俺はそれを見たらなんだか自分が急に恥ずかしくなった。進は大人だ、色々馬鹿だけど。


「目標は探索し終わった。帰ろう。」


蛍子と俺は普段も学級活動の時間なんかによく聞いているはずの進の言葉に、そのときはなぜか急に背筋が伸びて、はい、といつもなら言わないような素直な返事をした。

そして、慌てて先頭を作っている進の背中を追いかけた。


途中、背後から声がする。


「もう来させない。」


俺はあの少女の悔しがる顔を想像して、少しだけいい気分になった。


だが、それは本当に一時のつけあがりだったのだ。



つづく!

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