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また一緒に!

―調査17 また一緒に! ―


「これが七つ目だ。」


進は手紙を俺たちに見せつけた。


「え、それが? 」


俺はなんだか拍子抜けな気分になる。

どう見たってただの手紙だ、その凄さを語られたところできっと分からない。しかし、進は気にせずに答えた。


「ああ、そうだ。この「死者からの手紙」が、僕たちが怪異に出会えなかった原因であり、最後の一つの怪異だ。」


そして、手紙の内容を読み上げる。


―進くんへ。

手紙、もう、

出せなくなっちゃった。

僕は戻れないみたい。

僕はあの六人を許せなかったから。

ごめんね、今までありがとう。

七瀬 優 ―


「七不思議を探しにいって行方不明になったのは、この七瀬と、七瀬に絡んでいた六人だったらしい。なにがあったか、は想像できるだろう。」


「まぁ、なんとなくな。」


夜の校舎で、一人を焼き殺し、一人を吊り上げ、一人を切り裂き沈め、一人の目を抉って絵画に埋めて、一人はそれに恐怖し飛び降りた………。


これがきっと七不思議の真相なんだろう。

人間が起こした、残忍な事件。


これに尾ひれがついていくうちに、それは怪異になった。それは何となく分かったが、俺は疑問を拭いきれない。


「でも、それが七つ目だとしてもだよ、他の怪異と出くわさないってのはおかしくないか? 」


進は説明する。


「七不思議はひとつとして同じ空間には存在しない。世の中には色々な七不思議があるが、例えば音楽室、音楽室にお化けピアノがあれば、絵画の目の怪異はないし、または理科室、動く人体模型があれば、実験をする魔神はいない。そんなところだ。」


「わかったような、わからないような。」


俺は雪崩のように押し寄せた言葉に困惑を隠せなかったが、とりあえず頷く。深く考えてはいけないのかもしれない。

続けて蛍子が疑問を投げ掛ける。


「そういえば、進くんは他の怪異は見てないんでしょ? なんで七不思議全部があったって言えるの? 」


進はこの質問に、


「昨日、お前たちより一足先に来て、手紙を持たずに回ってみたが、屋上のあの怪異以外には全て出会えたからだな。」


と嬉々として答えた。


「まじかよ…………。なんでそんな平然としてんだよ。鋼鉄の心臓でももってんのか? それとも恐怖のツボが分からないほどあほなの?? 」


しかし、呆れる俺を無視して、進は最初の話に戻る。


「友人には同情はするが、それでこんな騒ぎになったんだ、責任をとらせなければいけないだろう。」


そして、手紙をビリビリに破いた。


すると、校舎がふっと明るくなって、異様な雰囲気は消えていき、旅行で行った廃校舎と同じ、優しい雰囲気が静かに広がった。進は破った手紙が、不自然に風に溶けていくのを、


「これが本物で良かった。」


と満足げに見守っていた。



「それで、なんで怪異探しなんてやろうと思ったんだ? 」


階段を降りる途中、俺は進に聞いた。

進はふっと笑って答える。


「ん? ああ。それはな………。」


小学校の時、仲が良かった友達が転校した。それからは転校した友人と季節の変わり目や、なにかあるごとに手紙のやりとりをした。しかし、そのやりとりは突然に止まってしまった。気になった進が住所を調べてそいつの家にいくと、彼はすでに死んでいた。

しかし、放心状態で家に帰った進は自宅のポストで、そいつが死んだ日より後に書かれた手紙を見つける。進はそれを本物だと信じて疑わなかったが、他の人間は、彼の両親でさえも誰もそれを信じはしなかった。そして、進は次第に自分でもそれが本物なのか疑いを持つようになってしまった。だから、


「これが本当にアイツからの手紙だって確信を持ちたかったんだ。」


進は疑いを晴らそうとしたのだ。

怪異が実在することを証明することで。


「へぇ。なんか、いい話だな。俺はてっきりただ俺たちをつれ回したいだけだと思ってたよ。」


俺は感心した。しかし、そこに蛍子が茶々を入れる。


「 ………まさか界記くん、進くんの最初の話、聞いてなかったの? 」


「え?」


「これ最初に話してたじゃん。」


「まじかよ。」


なんだか急に悪い気がしてしまった俺に、進は笑いかけた。


「まぁ、いいさ。途中からは解明もそうだが、それ以上にお前たちと活動するのを楽しんでいたからな。間違いではないさ。お前達はどうだった? 」


そして、俺たちの方を向く。

俺たちは顔を見合わせてから、全員で笑った。


「まぁ、なんか、楽しかったな。」


「うん、そうだね。」


「退屈しなかったんだな。」


「また四人でなんかするか? あ、今度は怖いのは無しな! 」


「そうだね、また出来たらいいね。」


「ああ、またな。」


「とりあえず明日も授業だし、そろそろ帰るんだな。」


俺たちの怪異探索はそんなこんなで、驚くほどあっけなく終わり、全員がまた日常に戻っていった。


そして、数週間後。

授業終了後の教室の扉が開く。


「この世は不思議に満ちている、僕たちにはそれを解明する義務がある!


山城界記! 安藤蛍子! 江藤煉瓦!


探しに行くぞ! 」


俺たちはまた、こいつに振り回されることになりそうだ。しかし、そのとき俺は、なぜだが笑わずにはいられなかった。


おしまい。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました! 感謝!

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