南の門にて
「お父様とお母様、行っちゃいましたね……」
「そうね……アニス、一緒に鍛錬しましょう……」
セレナお姉様が不安そうな、悔しそうな、そんな顔で告げる。
自分も一端の冒険者なのに、留守番を言い渡されたのが悔しいのだろう。
私も同じ気持ちだった。
だが、つい先日冒険者になったばかりの私より、セレナお姉様はよっぽど悔しいはずだ。
その証拠に声は平静を保ちつつも、唇は噛みしめられ、拳は強く握りしめられていた。
「はい……」
もちろん私はすぐさま承諾する。
私が鍛錬の誘いを断るわけないし、なにより、少しでも気を紛らわせたいからだ。
お姉様も素直に鍛錬をしたいという思いもあるが、その意味合いも強いだろう。
私たちは庭に出て、鍛錬を始めた。
▼▲▼▲▼ 【ボルグ·ファルダンside】
俺とリリスが街門に着くと、すでに多くの冒険者が集まっていた。
ソムサの街は大きな壁で覆われており、東西南北それぞれに門がある。
ここは南の門だ。
セセル森林はソムサの街の南西に位置するため、西の門にも多くの冒険者が集まっていることだろう。
俺は50人ほどいるであろう冒険者の前に出て、声を張り上げる。
「俺はCランク冒険者のボルグ·ファルダンだ!今回、南門の指揮官を任されている!危険な戦いになるだろうが、このソムサの街を守るため、力を合わせよう!」
おーっ!と少しだけ声が上がった。
「皆さん、今回、南門の副指揮官を任されています。リリス·ファルダンです。みんなで頑張りましょう!」
おーーーーーっ!!!多くの冒険者から大きな声が上がる。
リリスは可愛いから男の多い冒険者の注目を集め、大きく士気を高めることに成功したようだ。
「それではこれから街の外に出て応戦するぞ。魔法使いや弓使いは外壁に登って援護してくれ。……行くぞ!俺の後に続け!」
俺がそう言いながら南門を出ると、冒険者たちもついてきて、左右に展開する。
準備は整った。
これであとは襲ってくるのを待つだけだ。
そんな時、前から一人の男が走ってきた。
肩を大きく揺らしており、全力で走ってきたようだ。
それは、斥候を担当した冒険者だ。
「ついに……きたぞ、あと五分くらいで到着するぞ」
その言葉に通りの時間で、俺たちの前にボアの群れが現れた。




