9話
その夜、省エネ!と母に言われてクーラーを切られた私の暑苦しい部屋でアダ子とLINEを続けた。
打つのに慣れているらしく打つのがとてつもなく速い。
話についていくのに精一杯だった。
『タクトのLINEあげよっか?』
目を輝かせた。
『いいんですか!?ありがとうございます!!』
ぴろん!
タクトという名前のLINEがおくられてきた。
仔猫のトップ画像で、想像してるより可愛いのかな?なんて考えた。
しかし、
『こいつが、タクトね!良い奴だけど気をつけてね。こいつバイク乗り回すし、タバコ吸うし、髪の毛茶色だし、見た目こわいから』
『そうなんですか!気をつけますね』
『うん。でも、見た目だけだから!性格はすごくイイヤツだよ。優しいし面白いし、最高だからっ』
『いいですね!会ってみたい♪』
『会ってみなよ。楽しいと思うよー』
『機会があれば』
『ん?待って待っていいこと考えた。ウチとマミとユキコと、タクトと、マミの新しい恋の相手とウチの彼氏で遊び行かん?楽しそう。恋の予感!やばい!』
『ぜひ!』
すぐに返事をしていた。
気になる。
とても、気になる!
『どこに行く?どこかな。夏だし花火大会かな!』
『いいですね!聞いてみましょう!』
『オッケー。ウチが全員に声かけるわ!』
『ありがとう!』
ふう。面白いことになってきたかもしれない。
人の恋の行方は、自分の恋よりも興味深い。
それになんだか、高校最初の夏。思い切りエンジョイしたいじゃないか!
『はじめまして。私、南川ユキコです。よろしくです。』
タクトにLINEを送った。
『おう!俺、タクト。よろしく』
『はい!』
『スミレから聞いたよ。マミの友達?』
スミレとは誰だと思ったがアダ子の事だ。
『はい。マミちゃんの友達です』
『ふーん。よろしくな』
『あの、スミレさんから聞きましたか?花火大会のこと』
『ああ、今きいたよ。』
『楽しみですねー!』
『うむ。それじゃ寝るから。ばいばい』
『おやすみなさい!』
私も眠たくなってきた。
寝よう。
おやすみなさい。
窓を全開にして、布団をかぶった。