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10話
「ユキコ!」
そう、私を呼ぶ声がする。
「誰?……」
「僕だよ」
振り返るが……誰の姿も見えない。
「誰なの?」
「……僕は……」
遠くの方でうっすらと影が見えた。
見知らぬ制服を着た男の子。
その影はだんだんと近づいてくる。
「ユキヤ……??」
その影はすうっと消えた。
ただただ白い空間に1人。
夢を見ているのだ。
ふと、そんな事を思った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー…
けたましく鳴り響く目覚まし時計。
針が指す時刻は午前10時。
完全に遅刻だ。
もう授業も始まってしまっている。
そういえば、今日も不思議な夢を見た。
見たことのないはずのユキヤの顔がはっきりとわかったのだ。
……といっても本当にそんな顔なのかはわからないが。
にこり、と笑ったような気がした。
夢の中の出来事の記憶はどんどん薄れてしまっている。しかし、懐かしい気分は胸の中まだある。
ユキヤを見てみたい。声が聞きたい。
ユキヤの歌声をまた。
少しでも可能性があるのなら。
学校をさぼり、私は、ある場所に向かった。




