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君の歌声と。  作者: 結季奏
12/20

12話

かつっと、足に何かが当たった。


しゃがみこんで砂を掘る。

顔の大きさぐらいの瓶。

中には紙切れが入っていた。


夢のような気がした。

もしかしたら、ユキヤの……?


〜僕と彼女が初めて出会ったこの場所に遺書を残そうと思う。この手紙が読まれるのはいつになるのか、そして誰が読むのかも分からない。いや、誰にも読まれずに海に沈んでいるのかもしれない。



……ユキヤだった。

この手紙を書いたのはユキヤだ。

……遺書?

突然の夢みたいにフワフワした感覚。

手が震えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー……


もしも、この手紙をユキコ本人が見てくれたならどんなに嬉しいだろうか。


初めて出会った満月の夜のこと。

ユキコに一目惚れした。

合唱団に誘ったのは、それが理由だ。


ユキコと歌った思い出は忘れない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


それだけだった。

しかし、もう一枚。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー……


僕の遺書はこれだけでは完成しない。

どうか探して欲しい。僕の他の遺書も。

きっと僕からのメッセージに気づいてもらえるはずだから。

そして、もしも南川ユキコという人物に出会ったら伝えてほしい。

僕のメッセージを。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……






紙と瓶は新しいものだ。

きっとまだ何日もたっていないはず。

ユキヤはこの世界にいるはず。


いても立ってもいられない衝動に駆られて走りだした。


「お嬢さん♪どこ行くの?」


振り返る。

金色の輝く髪の毛。

口にはタバコ。

ああ、見覚えのある顔。


「タクトさんですか?」


「そうだよ♪見たよね?遺書」


楽しそうにタクトさんは笑っていた。







「ユキヤのこと知ってるんですか?」


「うん。もちろん♪知ってるに決まってる」


「遺書のこと知ってるんですか?」


「ああ」


「……っ教えてください!ユキヤは今どうしてるんですか!」


「えーと。それは、教えられないかな♪」


がくりと膝をついた。


「な……んで?」


「秘密主義!あはは。教えてほしいの?」


「………」


「まあ、知りたいよね。でもそれをユキヤは望まないよ。それにね君は……

んー。やっぱり言わない!」




現実離れしすぎた、会話。遺書。

私は、気を失った。






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