大切な目的?
6章268話になります!
本日2回目の投稿です!!
それではどうぞ!!
「さて、リーシャ...」
クジラは、少し重苦しいような声でリーシャの名前を呼ぶ。
「もう...、出発するの...?」
彼女はその一言だけで、継いで話されるはずだった言葉の内容を全て理解し、返事を返した。
そう、2人と2匹がこの村を出る時がやってきたのだ。
「...そうだよ。だから、荷物を持って外に出るよ。確か、リーダーが朝ごはんは用意するって言ってたから、朝ごはんをごちそうになったら、それと同時に出発しようか」
クジラはそのように告げ、リュックサックを背負ってすぐに外へと出れる状態になる。
「...はぁぁ、残念だなぁ。もう少し滞在しても良かったのに...」
リーシャは重い溜息を吐き、もう少しこの村に居たかったと呟く。
「あはは、また来ようよ。...今度はこの旅が終わって、あの2人と和解出来てからみんなでね」
クジラは和解したらみんなで来ようと言って、リーシャの頭を撫でた。
「えへへっ...。仲直り、出来たらいいなぁ」
リーシャは今になって、よくよく考えればあの時、少し言い過ぎたと後悔して、もっと良い解決法があったのではないかと思い悩んでいたみたいだ。
少しだけ人が良すぎる気もするが、喧嘩した相手は仮にも家族と認めたような人間の為、このままにしておくのも嫌なのだろう。
「リーシャなら大丈夫だよ。それじゃ、行こう」
クジラはゆっくりと撫でる手を離し、外に向かって歩き出した。
「おお、何度見ても驚かされる光景だね。今日の狩ってきた魔物は、昨日狩ってきた魔物よりもひと回りくらい大きい気がするなぁ」
外に出ると、広場に横たわる大型魔物の死体に驚く。初めて見る光景では無いが、何度見ても驚く程にインパクトがあるのだ。
「はぁ〜。あの美味しい魔物を食べられるのは、朝ごはんが最後なのかぁ...」
リーシャは昨晩のご飯で、自業自得なアクシデントによって満足に肉を堪能出来なかったので、とても悔しそうに呟く。
マンモスのような魔物の肉は、本当に絶品だったみたいだ。
「そうだね、当分は食べられないだろうし、十分味わって頂こうね」
クジラは、いちいち名残惜しそうな声を漏らすリーシャを見て、苦笑しながら返事を返す。
「はぁぁ...。そうだね〜...」
リーシャは、再び大きくため息を吐き、彼の後ろをトボトボ歩いた。
『フタリトモ、オハヨウ』
雪猿は、2人が自分の方へと歩いてくるのを視認すると、軽く手を振って挨拶をする。
「うん、おはようリーダー」
「...うわ〜ん、もう少し滞在してた〜い」
リーシャは雪猿のどこか寂しげな顔を見ると、心の中で半分くらい固まっていた旅に出る決意のようなものがぶっ壊れてしまったみたいだ。
子供が駄々をこねる時のような声を出しながら、もう少しこの村にいたいと言い出す。
『ボクトシテモ、ダイカンゲイ、ダヨ?...デモ、ダメ。タビ、タイセツナモクテキ、アルンデショ?』
雪猿は、リーシャの前でしゃがみ、目線を同じ高さにしながら話した。どうやら、2人の旅に何か大切な目的があると勘違いしているみたいだ。
ララに会い、リーシャの両親に結婚報告に行くという、空間移動を使えば1日で済み、いつ行ったって構わないような軽い目的しか無いので、彼らの旅自体には急いだりするような大切な目的は無い。
ただの完全フリープランの観光旅行であって、海外に長期滞在して様々な場所を見て回るバックパッカーと似たような感覚である。
「うん...。私はララちゃんに会いたいから、出発する...」
ララに会って話がしたいという気持ちが強いみたいだ。なのでリーシャは、自分の甘えた気持ちをグッと抑え、出発すると雪猿に告げた。
『ウン、ソレデヨシ!モクテキ、オワッタラ、イツデモキテイイカラネ?』
「うん...、今度は1週間とか長い期間滞在させてもらうね?ね、クジラ?」
次は1週間ほど滞在すると言って、クジラに同意を応じる。
「うん、それがいいね。今度は2人じゃなくて、僕達の大切な家族も連れてきてもいいかな?」
『ウン!タノシミニマッテル!』
雪猿はクジラの言葉に快く頷き、2人の家族も大歓迎だと言ってくれた。
『ソレジャ、サイゴノゴハン、タベヨ?ナカマタチ!フタリノ、ゴハン、モッテキテ!』
そして、最後のご飯を食べようと言い、猿達にクジラとリーシャの朝食を用意させるのだった。




