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829/2000

ドレスの製作者



6章249話になります!


本日2回目の投稿です!!


それではどうぞ!!










『マズ、ボクタチサルハ、モトモトコノムラデ、ニンゲント、キョウゾンシテタ。2ネンマエノ、ハイソンニナルトキマデ...』


雪猿は、廃村になった理由を話し始めた。

どうやら、人間が村を捨てる以前も、猿達は、人と一緒に暮らしていたみたいだ。


『ハイソンニナル、1カゲツマエ...、カナ?ムラニイタ、ジュジュツシ、ドレス、ツクッタ』


廃村になる1か月前に、村にいた呪術師があの素晴らしく美しい赤いドレスを、作り上げたらしい。雪猿は部屋の隅にハンガーにぶら下がっているドレスをチラッと見ながら話す。


「え?服屋とか、仕立て屋じゃなくて、呪術師?呪術師があのドレスを作ったの?」


クジラは、予想もしなかった製作者を聞き、ついつい聞き返す。


『ソウ。スゴイユウシュウ、ダッタ』


「まぁ、あんな尋常じゃない魅了効果を持つドレスを作るくらいだから、優秀じゃないわけないよね。それで、その呪術師はさ、なんでそんな物を作っちゃったの?」


『ジュジュツシ、ムスメ、デキアイシテタ。ダカラ、ムスメニ、シアワセニナッテホシカッタ』


雪猿が言うには、呪術師は娘を溺愛していたらしい。その為、娘には苦のない幸福な人生を歩んで欲しかったみたいだ。


「なんか展開読めたぞ?あのドレスを呪術師は娘に着せて、金持ちの元へと嫁がせようとしたって事でしょ?」


クジラは、雪猿の少ない言葉数から展開を先読みしてみせる。


『ソノトオリ。クジラ、カシコイネ』


「むぅ、クジラぁ。なんでネタバレしちゃうのさ?面白くなくなっちゃうよぉ...」


リーシャは、クジラが話の核心部を話してしまった為、かなりムカッとしながら彼に文句を言う。まぁ、ネタバレが嫌いな人にとっては、クジラの行為はブチ切れても仕方がない程の嫌がらせだ。


「あはは、ごめんごめん。次からは先読みして話したりしないよ。リーダー、続きをお願いできる?」


クジラはあまり悪びれずに謝罪し、雪猿に話の続きを要求する。


『ワ、ワカッタ。ドレスヲ、ミニツケタ、ムスメハ、ジュジュツシノ、ケイカクドオリ、カネモチカラ、キュウコンサレタ。デモ、オカネモタナイ、オトコカラモ、ナンジュッカイモ、イイヨラレタ』


雪猿はクジラに話の続きを頼まれ、頷き返した後、話の続きを再開する。

呪術師の娘は、呪術師の計画通り、金持ちから求婚されたみたいだが、普通の庶民から、何十回という、相当な数の求婚をされたらしい。おそらく、お金持ちの男から言い寄られた回数と庶民から言い寄られた回数を比較すると、庶民からの方が数十倍多いのだろうと予想できる。


「うわぁ、私はそんなの嫌だなぁ。そもそも、クジラ以外に言い寄られたら勢い余って殺しちゃうかも」


リーシャは、さらっと恐ろしい事を言いながら、ドレスに拒絶の眼差しを向けた。同じ女だからこそ、呪術師の娘の気持ちを多少理解する事が出来たみたいだ。


『デモ、ムスメノココロ、ウゴカセタオトコ、イナカッタ。ソノセイデ、ジケンハオキタ』


呪術師の娘は、初めから見た目と心の中の出来が良かったのかは、よくわからない。だが、これだけはいえる。娘はきっと、ドレスの力で男共がワラワラと求婚してくる毎日を繰り返していた事で、自分本体に魅力が溢れていると勘違いしていき、心が自己中心的かつ傲慢な女に変わってしまったのだと...。

きっとそれにより、全てが自分の理想通りの男が現れない限り、結婚はしないという自分ルールが娘の中で出来上がっていたのだと思われる。


「事件か...。多分男達が...」


「がうぅぅ!!」


クジラは、自分でもう先読みした事を口にしないと言ったのに、再び同じ事をしようとした為、リーシャが怒りながら飛びかかった。


「ごめん!言わないよ!うっかり先読みするところだったけど、言わないから安心して!」


クジラは、飛びかかってきたリーシャを上手くキャッチして抱きしめ、全力で謝罪をして怒りを冷ます努力をし始める。


『コレカラガ、クライマックスデ、イチバンハナシタイ、ブブンナノニ...』


雪猿は、話を強制中断させて目の前で喧嘩を始める2人を見て、少し寂しそうに言葉を呟いていた。






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