IF編【もしもリーシャに会わなければ...】前編
閑話になります!
キャラ紹介のあとがきの宣言通りIF編となります。
今回はタイトル通り、もしもリーシャと合わなかったらというIF話です。
時間軸は、タナベの村で普通におつかいを頼まれ、何事もなく普通に終わらせ、何事もなく普通にフーの街についた4日後くらいの、2章の開始して少し経過したくらいですかね?
とりあえず異世界に馴染めず、楽しむに楽しめなくなってしまったクジラの話という感じです。
単発のつもりが、長くなってしまったので3つに分けます。
それではどうぞ!!
「はぁ、異世界って来る前は結構憧れを持ってたけど、実際はこんなにもつまらなくてくだらない世界なんだな...」
クジラは、フーの街の中央広場にて、どの世界でも変わらない澄んだ青い空を眺めながら呟いた。異世界に辿り着いてちょうど1週間ほど経った今、彼はある事を決意していたのだ。
それは、家を買う事だ。
何故家を買う事を決意したのかというと、誰とも馴染めないこの世界で、これといった目的もない彼は完全に疲れ切っていたらしい。しかし、臆病者であるが故に、自ら命を絶つことなどできない。よって、閉鎖的で孤独なマイホームを買う事を選んだのだ。もう彼は明るい未来などに、一片の興味も持っていなかった。
「さて、そろそろギルドに行くか...。お金なら十分にあるだろう...」
リュックサックの中に入った大量の1万モールをジャラっと鳴らし、自分の心とは正反対にサンサンと輝き続ける太陽を鬱陶しく思いながら、彼は歩き始める。
何故彼が大量の1万モールを持っているのか?それは簡単だ。彼は希望と明るさを失った代わりに、
『どうせ、ここは自分のいた世界ではないから構わない』
『こんな残念な自分に同情して、神様も許してくれるだろう』
というようなネガティヴさを手に入れた。それにより罪意識も薄くなり、具現化魔法でお金を複製してしまったのだ。
ここで、お金の原型がわからなければ細かく具現化できないのでは?と疑問に思ったかもしれない。
数日分だけ前、クジラがフーの街についた初日の行動を語ることにしよう。
彼はフーの街に到着すると、地面にお金が落ちていないかと街中を這いずり回った。そして、1モール、10モール、100モール、奇跡的に1000モール硬貨までを入手する事が出来たのだ。この時点で彼はおかしくなっていて、それぞれ10枚ほど複製してしまう。
そうして、次は安い宿屋を探すために1軒1軒回り、本編とは違い裏通りにあって、かなりボロボロな街で最安価の宿屋へ泊まる事にした。
そうして次の日、前日によってさらに罪悪感も薄れ、1000モール硬貨を100枚ほど具現化し、どこかお金の両替が出来るところは無いかと店主に尋ね、ギルドを知る。場所の確認が取れると彼はすぐに行動へ移し、両替に向かって1万モール硬貨を入手した。1万モール硬貨は、ざっと500枚は複製したのだろう。
そして、その翌日が本日であり、このような経緯があって今に至るのだ。
「ふぅ、ここまで歩くのも面倒だな...。でも、家を買えば外に出なくてすむ...」
クジラは被虐的な笑みを浮かべながらギルドに入り、真ん前の掲示板にある売り家の張り紙を眺めはじめた。
「4500万...、高すぎるな。ひとりだけの空間なんだから、ボロくて小さい家でいいから持ち金で足りる家は無いのか...っ?」
目を真っ赤に充血させながら張り紙の売値を確認していく。完全に目がおかしくなっており、ギルドの従業員も軽く引き気味だ。
見続けること10分、彼はようやくある激安物件を発見する。
「...これだっ!100万モールの曰く付き激安物件!あはは、今の僕にぴったりじゃないか。すいません店員さーん、この家買いたいんですけどー?」
クジラは値段と曰く付きという言葉に笑顔を浮かべながら、店員に声をかけ、即決で買わせてもらう意思を伝え、1万モール硬貨を100枚その場で出した。
店員はそんなクジラに引き気味で、二つ返事で了承してお金を受けとった後、書類を出して、クジラに書くように促す。
「すいません、僕異国人でしてこの国の文字書けないんです。クジラって書いて頂けませんか?拇印はしっかり押しますんで」
「はっ、はい!クジラ様ですね!とりあえず書きましたので、拇印の方お願いします!」
「わかりました。...よし、これでいいですか?」
「ええ、結構です。早速家の方へ行かれますか?」
「はい、暮らせるのなら今日から暮らし始めます」
「そ、そうですか...、今家の鍵を取ってきますので、ギルドの外にてお待ちください」
「わかりました」
店員は若干引き気味であったが、会話してみてまだマトモな感じであり、ホッと安心しながら曰く付き激安物件の鍵を取りに行った。クジラはそれに軽く会釈し、ギルドの外へ出る。
3分ほど待たせただろうか?ギルドの店員が鍵を手にして外へとやってきた。
「クジラ様、本当にあの物件でよろしかったんですか?」
店員は激安物件にそこまで良い気持ちを抱いていないようで、少し暗い顔をしながら再確認を取る。きっと、遠回しに今ならまだ契約取り消しは可能だと言いたいのだろう。それほどに凄い曰く付きらしい。
「えぇ、僕は住む場所があればいいんです。呪われたって、祟られたって別にどうでもいいです。殺されたらそこまでだと考えていますしね」
クジラはその言葉に飄々と返事を返し、
申し訳無いと思うけども、家の場所まで案内して欲しい。案内だけしたらそこでもう帰って構わないから。
そのような意思を伝え、店員をなんとか納得させる。
「...わかりました、でも、本当にやばいと感じたら逃げてくださいね?」
店員は根負けし、仕方がなく家の場所だけ案内をする事にし、彼にそのような忠告を入れた。ここまで念を押すからには本当に何かあるのだなと、クジラはそこまで興味なさそうな様子で考えている。自分に対して言ってくれているのに、彼はまさしくその話を他人事のように思っていた。本当におかしくなりかけているみたいだ。
そんなクジラを改めて不気味がる店員と、何を考えているかわからないクジラの2人は曰く付き激安物件へと歩いて行った。
次回中編です。




